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情勢解説

ソウルで「8・15自主平和統一大会」開催…韓米合同軍事演習・韓米日軍事協力に反対!

【2022年8月9日】

李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防部長官は7月29日、米ワシントンでオースティン国防総省長官と会談した。国防部によると、両氏は朝鮮の挑発的な行為に共同で対応し、下半期の韓米合同軍事演習を韓国政府の「乙支(ウルチ)演習」と統合・拡大した「乙支フリーダムシールド(UFS)」として展開するとともに、弾道ミサイル防衛体制や米戦略資産の朝鮮半島展開など抑止力を強化することで一致。韓米の戦略的な意思疎通の強化のため、高官級の拡大抑止戦略協議体(EDSCG)を早期開催することにしたという。国防総省によると、会談では日本を含む韓米日3カ国の安全保障協力が重要との認識でも一致した。

国防部は8月1日に国会国防委員会に提出した業務報告資料で、UFSを危機管理演習、第1部演習(22~26日)、第2部演習(29~9月1日)の3部構成で実施すると説明。合同軍事演習で、戦時体制への迅速な転換とともに、朝鮮による攻撃の撃退と反撃作戦まで一連の流れの習熟を図るとした。

5月の韓米首脳会談では、朝鮮半島やその周辺での合同演習の規模を拡大する協議を始めることで合意。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は国政課題として米国との合同演習の強化を掲げ、大規模な野外機動訓練を再開するなど、合同演習を「正常化」すると明らかにしていた。

韓米日軍事協力体制の構築とも連結しながら、大規模な韓米合同軍事演習が8月22日から強行されようとしている。バイデン政権のインド太平洋戦略+(プラス)「新冷戦」覇権政策に沿った韓米日軍事協力体制は、その行動領域を朝鮮半島にとどめることなく、インド太平洋へと、さらにはウクライナ事態に関与しながら欧州へと広がる可能性と危険性をはらんでいる。

朝鮮は敵視行為の最たるものである韓米合同軍事演習に反対するのはもちろん、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)は7月27日の「戦勝節」(祖国解放戦争勝利記念日、 朝鮮戦争停戦協定締結日)の演説で、尹政権の「先制攻撃」方針に対し尹大統領を名指しで批判した。

韓国内では各界市民社会団体が7月23日、「韓米日軍事協力反対! 韓日歴史正義実現! 屈辱的対日外交糾弾! 平和キャンドル」をソウル市内の「平和の少女像前」で、「民族の自主と大団結のための第5回祖国統一促進大会」を大統領室がある龍山でそれぞれ開催。韓米合同軍事演習反対、韓米日軍事協力反対を訴えた。停戦協定69周年を迎えた27日にも同趣旨の記者会見が大統領室前で開かれ、8月6日には大統領室前で韓米合同軍事演習の中止を求める決意大会も開かれた。また、労働者、青年による統一先鋒隊の行進や市民によるDМZ(非武装地帯)平和行進も展開されている。こうした多様な運動の成果が「光復77周年8・15自主平和統一大会」(8月13日、ソウル、※参照)に結集する。韓米合同軍事演習と韓米日軍事協力に反対し朝鮮半島の平和を求める声を大きくあげよう。

※参考 「危機の朝鮮半島、いまは平和のために行動しなければならないとき」各界市民社会団体が「光復77周年8・15自主平和統一大会推進委」を発足 (2022年7月22日)