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「関税は銃だ」…米国の相互関税、韓国に向けた経済戦争
トランプ米政権の関税政策が世界経済に衝撃を与えている。当然、韓国も例外ではない。この政策は経済的手段をこえた「政治的兵器化」と見るべきだとする民プラスの記事(4月9日)を紹介する。
「ワンストップ・ショッピングは美しく効率的な手続きだ」
8日、トランプ米大統領が韓悳洙(ハン・ドクス)権限代行・首相との通話直後に残したこの発言は、単なる経済的提案ではない。
それは「経済を武器化」する米国式帝国主義の再現であり、グローバル供給網を戦場として再編しようとする覇権戦略の宣言だ。
関税で包囲し、交渉で手なずける
韓国時間の9日午後1時1分を起点に米国は韓国に25%の相互関税を発効した。
造船、自動車、鉄鋼など韓国の核心輸出産業に対する途方もない打撃が確実視される中、トランプは韓悳洙との通話直後、自身のSNSで「韓国のおびただしい(対米貿易)黒字、関税、造船業、米国産液化天然ガス(LNG)の大規模購入、アラスカパイプラインの合作投資、韓国に提供した米国の大規模軍事保護に対する支払いについて話した」とし、韓国に対する事実上の「経済請求書」を公開した。
トランプが述べたいわゆる「ワンストップ・ショッピング」は米国式の一括取り引き戦術だ。防衛費分担金、エネルギー購入、造船協力をひとつのパッケージにくくり、相手国の自律的選択肢を封鎖する方式。
こうした関税は単なる貿易紛争ではなく、米中間の覇権競争の中で「友軍の経済主権を制限する新しい方式の帝国主義」と読み取るべきである。
トランプの措置は国際供給網を米国中心へと再構築すると同時に、韓国の国家戦略自体を米国の利害関係に従属させる手段だ。
内乱共謀でも足らず対米屈従で経済をつぶす韓悳洙
こうであるにもかかわらず、韓悳洙は米国の25%相互関税賦課に一切、抗弁することもなく、ホワイトハウスが権限代行体制下の韓国政府と協力していくと表明したのに対し、感謝を表したに過ぎなかった。
韓悳洙は首相室を通じ「造船、LNGおよび貿易均衡など3大分野で、米側と一段高い協力の意志を強調した」とトランプとの電話会談の結果を伝えた。
「米国の新政府下でも、韓米同盟関係がさらに拡大・強化していくことを希望する」とも付け加えた。
すなわち、韓国の要求は一切、伝達しないまま、「造船、LNGおよび貿易均衡」全分野で米国の要求におとなしく従うということだ。
この通話内容についてホワイトハウスの経済顧問が「米国の勤労者と農民にとって非常に肯定的なもの」だとし、「交渉のテーブルで(相手国から)相当多くの譲歩があった」と満足げに明らかにした。
韓悳洙は通話同日、米メディアのインタビューで「韓国が中国、日本と協力し米国に対抗するのか」との質問に、「わたしたちはその道は選ばない」と答え、米国に直接協力するとの意を明らかにしたところからもよく示されている。
先月30日、韓中日通商長官会議で論議された韓中日FTAを米国の関税爆弾に対抗する交渉手段に使用する考えはみじんもなく、米国に向けてカードをすべて見せていることにほかならない。
トランプと韓悳洙が通話した日、ホワイトハウスのケビン・ハセット国家経済委員会(NEC)委員長はメディアのインタビューで「(トランプ)大統領は貿易合意を推進する過程で、わが同盟と貿易パートナーを優先するとの点を明確にした」とし、「韓国と日本など、そのように対応しろと指示された」と述べた。
韓中日の関係改善を対米交渉のてことして試みることさえ許さないとの迂回したメッセージというわけだ。
防衛費とLNG強制投資まで、「韓国は米国のATМ機」
一方、トランプは「任期1期目に、韓国は初めて数10億ドルに達する防衛費を支払い始めた」と述べると共に、バイデン政権がこれを返したと批判し、防衛費の再交渉の必要性を提起したりもした。
また、アラスカLNGパイプラインへの投資要求、米国産エネルギーの購入圧迫は、既存の安保同盟をいつでも取り出して使える財布のように、経済的従属関係へと転換しようとする意図を示している。
トランプの目標は単なる関税の引き下げ交渉ではない。それは「誰が世界経済の規則を使うのか」に対する明確なメッセージである。
現在、米国の基調は交渉ではなく統制であり、供給網は取り引きではなく戦略だ。トランプは韓国を「マネーマシン」だと表現し、その「利用価値」を数字に換算してきたものだ。
露骨な収奪、韓米同盟の新たな素顔
韓国政府は通商交渉本部長を急ぎ米国に派遣したが、関税問題は単純に輸出損失の問題ではない。
それは韓国が米国主導の供給網再編をどの程度まで受容するのか、経済的独立性と自律性がどこまで許容されるのかの問題だ。
造船、エネルギー、安保をひとくくりにしたいわゆる「関税パッケージ交渉」は、韓国に新たなジレンマをもたらす。
それは単なる交渉ではなく、強要された選択であり、米国中心の秩序に合わせて韓国の戦略を転換しろとの露骨な圧迫だからだ。
関税は新たな銃、供給網は新たな戦線
トランプの関税政策は経済的手段をこえた「政治的兵器化」である。
供給網はいまや物流ではなく、地政学だ。わたしたちは現在、銃声のない戦争を目撃しており、その戦線上に韓国が立っている。
韓国は自律的経済戦略と多国的連帯を通じ、この戦線で自らを守り抜く準備ができているのか?
原文
http://www.minplusnews.com/news/articleView.html?idxno=16058