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梨泰院惨事…担当長官と市長・区長、三日目にようやく謝罪/尹大統領、原因究明後に謝罪検討?

【2022年11月10日】

行政安全部長官、警察と消防トップら謝罪

ソウルの繁華街、梨泰院で10月29日、ハロウィーンイベントに押し寄せた多数の人が転倒したり圧迫され150人以上の死者が出た事故を巡り、当局の対策に不備があったとの批判と共に政権の責任を問う声があがる中、事故から3日たった11月1日、行政安全部長官、警察と消防トップらが事故防止対策が不十分だったことを認め謝罪した。

李祥敏(イ・サンミン)行政安全部長官は同日の国会行政安全委員会で、「国には国民の安全に無限の責任があるにもかかわらず今回の事故が発生したことについて、国民の安全の責任を負う主務官庁の長官として国民の皆さんに深く謝罪する」と表明。「事故の収拾と原因究明に注力し、大規模な事件の再発防止のため最善を尽くすことを約束する」と強調した。李氏は事故翌日の30日、「警察と消防を前もって(事故現場に)配置して解決する問題ではなかった」「普段より多くの人が集まったわけではない」などと発言し物議を醸したことに関しても遺憾の意を示した。

同委員会に出席した南華栄(ナム・ファヨン)消防長官代理も「初期の段階で多くの死傷者が発生したが、救助と救急隊員が絶対的に不足し、現場での対応が困難だった」とし、「人命救助に最善を尽くしたが、多数の死傷者が発生し申し訳ない」と謝罪した。尹熙根(ユン・ヒグン)警察長官は同日午前に記者会見を開き、「重い責任を感じる」として、事故前後の警察の対応不備を認めて国民に陳謝した。事故が起きる約4時間前から警察に危険を伝える計11件の通報が寄せられていたにも関わらず、警察が積極的に対応に乗り出さなかったことが明らかになっている。

梨泰院の管轄区である龍山区の朴熙英(パク・ヒヨン)区長は「管内で発生したさんたんたる事故について区民と国民の皆さんに申し訳ない」とするコメントを出した。朴氏は前日、MBCテレビのインタビューで「区庁としてできる限りの役割は果たした」とし、梨泰院のハロウィーンイベントは主催者がいないため、安全対策を立てなければならないお祭りではなく「一種の現象」と見なす必要があると発言し批判を受けていた。呉世勲(オ・セフン)ソウル市長も、記者会見で「市民の生命と安全に責任を負うソウル市長として今回の事故に対し無限の責任を感じ、深く謝罪する」と述べた。

民主党・李代表、政府に謝罪を要求

第一野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は1日の議員総会で、「明白な人災で、政府の無能による惨事」と批判。李代表は「大統領から市長まで話す言葉は『われわれには責任がない』だけ」として、「政府の誰も『責任がある。国民の命を守れなくて申し訳ない』と謝罪しない」と指摘していた。

大統領室、謝罪に否定的

一方、大統領室の関係者は1日、龍山・大統領室で取材陣からの「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の直接謝罪に対する要求が相当に高いが」との質問に、「責任については事故の原因を究明してから、その次だ」「現在は原因究明に力を注いでいる」と謝罪には否定的な立場を示した。尹大統領は31、1、2日と連続して合同焼香所や葬儀場を訪れている。

くり返される惨事、政府は国民の命を守れ!

起こってはならない事故がまたもや発生した。今回の梨泰院惨事と呼ばれる事故では死者は156人、負傷者は157人(1日発表)にのぼり、死者のうち20代が104人を占める。朴槿恵(パク・クネ)政権時の2014年4月16日に発生したセウォル号惨事では、304人の死亡者・行方不明者の内、250人が修学旅行で済州島に向かっていた檀園高校の高校生だったことが思い返される。また若い生命が無残に奪われた。

担当長官や当局は事故の責任回避に汲々としながら、批判の高まり受けて事故からようやく三日目に謝罪するという不誠実さを露呈した。謝罪は責任へとつながるときに意味があるが、これらの謝罪をそのように受け止める国民はいない。また、事故の総責任者である尹大統領は焼香所と葬儀場に頻繁に姿を見せても、いまのところ謝罪する考えはないようだ。しかし、謝罪を求める国民の声は日ごとに大きくなっている。(尹大統領は4日、法要の場で初めて謝罪したが、国民向けの公式謝罪はまたしていない)

事故について真相究明・責任者処罰・再発防止を徹底することはいうまでもないが、惨事がくり返される根本的な問題は、国民の生命と安全を守る義務が国家と政府にあることを、政権自身が自覚していない、あるいはおろそかにしているところにある。経済危機を克服できないまま民生を破綻させ、合同軍事演習の連続強行により朝鮮半島に戦争の危機を呼び込む尹政権は、すでに国民の生存権を守るどころか脅かしている。

セウォル号惨事は最終的にキャンドル革命を通じて朴政権を退陣に追い込んだ。事故現場近くでは、青年進歩党や進歩大学生ネットワークなど10余の青年学生団体のメンバーが、「梨泰院惨事、国家責任を認め謝罪しろ」などと書かれたピケットを掲げ、沈黙デモを惨事直後から開始している。梨泰院惨事で深い悲しみに包まれている国民が尹政権に向ける視線は鋭く厳しい。