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東京で韓日外相会談開催…韓米日軍事協力を確認、韓日間の懸案解決に韓国側が努力表明

【2022年7月22日】

朴振(パク・ジン)外交部長官と林芳正外相は7月18日、東京で会談を行い、元徴用工問題(強制徴用被害者への賠償問題)の早期解決が必要だとの認識を共有した。韓国の外交部長官が日本との2国間会談のため訪日したのは2017年12月以来、約4年7カ月ぶり。林氏は「元徴用工問題をはじめとする日韓間の懸案の解決が必要だ」と具体的な行動を要求。朴氏は「(日本企業の資産)現金化が行われる前に望ましい解決策が出るよう努力する」と応じた。林氏は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場を伝え、朴氏は「官民協議会」設置など韓国側の取り組みについて説明したとみられる。

朴氏はまた、1998年に当時の金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が発表した「韓日共同宣言(韓日パートナーシップ宣言)」の精神と趣旨に基づき、両国関係を発展させていこうと述べた。

両氏は「慰安婦」問題なども取り上げ、両国間の懸案の速やかな解決に向け協議を加速させることを確認した。会談では、東アジアの安全保障環境などを踏まえ、韓日、韓米日の協力が重要だとの認識を共有。ロシアのウクライナ侵攻を非難するとともに、朝鮮の核・ミサイル開発に連携して対応することを申し合わせた。

朴氏は、日本人拉致問題の解決に向け、日本側の取り組みへの支持を表明した。朴氏は会談の冒頭、安倍晋三元首相の逝去に弔意を伝達、林氏は謝意を示した。

今回の会談では冒頭発言が公開されず、会談後に共同記者会見も行われなかった。

朴氏は19日、首相官邸を訪れて岸田文雄首相と面会し、両国関係の改善に向けた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の強い意志を伝えた。

外交部の崔泳杉(チェ・ヨンサム)報道官は19日の定例会見で、外相会談で首脳会談について協議があったかについて、「閣僚を含めさまざまなレベルでの意思疎通と協議を加速していこうとの意見で一致した」とし、「具体的な計画については今後、適切に説明していく」と話した。また、同部の当局者は記者団に対し、「外交部長官が官民協議会の内容を詳しく説明すること自体に意義がある。日本側は傾聴する雰囲気だった」と伝えた。

松野博一官房長官は19日の記者会見で、外相会談に関し、「今後も尹錫悦政権側の対応をよく見極めた上で、日韓関係を健全な関係に戻すべく、韓国側と緊密に意思疎通を図っていく」と述べた。懸案の元徴用工問題については「仮に現金化に至れば、日韓関係にとって深刻な状況を招くので避けなければならない」と指摘した。 

元徴用工問題をめぐっては、日本企業に賠償を命じる韓国大法院(最高裁)判決が2018年に確定。原告への支払いに向け、日本企業の資産現金化が近づきつつある。日本政府は「現金化すれば日韓関係は取り返しがつかなくなる」と警告。18日の会談で朴氏は「現金化前の解決」に意欲を示し、林氏と早期決着を図ることを確認した。外交部は原告側や専門家が参加する官民協議会を設置し、打開策を探っている。具体的には、両国の企業など第三者が自発的に基金を設け、賠償を肩代わりするいわゆる「代位弁済」が取り沙汰されているが、被害者側からは、被告の日本企業が参加し謝罪しなければならないという声が出ている。三菱重工業を相手取った訴訟の原告2人を支援する団体は、官民協議会に参加しない意向を示した。

バイデン政権の対朝鮮・中国・ロシア包囲圧迫網の中心をなす韓米日軍事協力体制を構築するための前提として、韓日関係の「改善」は至急の課題とされている。朴長官は現金化の前に解決できるよう努力すると日本側に約束したが、その根拠に官民協議会が利用されている。官民協議会はまだ2回しか協議をしておらず、さらに被害者の一部は参加しないことを明らかにしているにもかかわらず、同協議会を日本側にアピールするのは、官民協議会で解決策をつくりだしたとする形式をとりながら、日本側が受け入れる提案をするシナリオが想定されていると推測できる。外相会談の中で、官民協議会の説明に日本側は耳を傾けたという。

また、韓日関係の「発展」のために、金大統領と小渕首相が発表した韓日共同宣言が取り上げられている。しかし、現在の韓日間の懸案は同宣言後に起こったことである。懸案をただしく解決しないまま、同宣言に基づいて未来志向で両国関係を発展させようというのは、極めて意図的な政治利用だといわざるを得ない。