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情勢解説

就任2カ月、尹大統領の支持率30%台に急落…略式会見、中止発表・翌日再開!?

【2022年7月15日】

就任から2カ月を迎えた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領。国政遂行についての世論調査結果で肯定評価(支持)が30%台に急落、否定評価(不支持)は50%中後半台へとかけあがり、一部の調査ではついに60%をこえた。

7月7日発表の世論調査会社・韓国ギャラップが肯定評価30.0%、否定評価49.0%と発表したのに続いて、11日発表のリアルメーターでは肯定評価37.0%、否定評価57.0%。政党支持率にも変化があらわれ、「共に民主党」41.8%、「国民の力」40.9%と共に民主党が逆転した。韓国社会世論調査研究所が同日発表した結果では、肯定評価が前週より8.3%下がり34.5%、否定評価が8.9%上がり60.8%となった。

各世論調査結果であらわれた否定評価の理由としては、「側近中心の偏重人事(人事破綻)」「経済・民生の解決策が不足」「独善的な政治懸案の処理」などが挙げられている。

こうした中、大統領室は11日、尹大統領が「国民との距離を近づける」として、出勤時に続けてきた略式会見(いわゆる「ぶら下がり取材」)を「コロナウィルス感染拡大によりしばらく中止する」と発表、合わせて「大統領の公開行事でのオープン取材もできるだけ少なくする予定」であり、「大統領のブリーフィングもできるだけ書面中心で行う」と明らかにした。

これに対して、共に民主党のシン・ヒョニョン報道担当は「国政遂行評価が30%台に過ぎないと発表された日に、略式会見中止発表とは偶然なのか」と皮肉り、「周辺に感染者が発生したからといって無条件にシャットダウンするのは、(尹大統領が主張する)科学防疫ではない」と批判した。

大統領室の発表にもかかわらず、尹大統領は翌12日、出勤時の略式会見を従来(記者団から1~2メートル)よりさらに離れる形式で行った。大統領室の関係者は当惑を隠せず、距離をとるよう記者団に要請した(「民衆の声」)。

略式会見中止を中心とする大統領室の発表は、尹大統領の言動が物議をかもすことが多く、特に出勤時の会見が政権にとって負担となっており、そのために略式会見を中止し、他の会見も制限したり書式に代えるなどの措置で支持率の下落を止めようとの計算から出たものだ。大統領室の思惑とは関係なく会見を続けた尹大統領。準備不足の面があるのは事実だが、会見そのものを否定する声が多いわけではない。国政遂行がきちんとできていないと厳しく指摘されていることと、尹大統領がその重大な事実を真剣に受け止めていないことが問題なのだ。