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尹錫悦大統領、「検察共和国」実現へ…韓東勲法務長官を任命、人事検証組織の新設
【2022年5月27日】
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は5月17日、韓東勲(ハン・ドンフン)氏を法務部長官に任命した。韓氏は尹大統領の検察時代の後輩で、最側近とされる。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に、同政権で法務部長官を務めた曺国(チョ・グク)氏の親族に関する疑惑などの捜査を指揮した。当時の政府と検察のあつれきの影響で左遷されたものの、新政権発足に伴い、法務部長官に抜てきされた。この日までに18官庁のうち16官庁の長官が任命されたが、教育部長官候補は3日に辞退、保健福祉部長官候補は23日に辞退した。尹大統領は21日、前日に韓悳洙(ハン・ドクス)氏の首相任命同意案が国会本会議で可決されたのを受けて、同氏を首相に任命した(首相の任命は国会の同意が必要)。韓氏の任命手続きは、韓氏が金・張(キム・ジャン)法律事務所から高額の顧問料を受け取り、前官礼遇(裁判官や検事を辞めて転身した弁護士に対して、なるべく裁判で勝たせるようにすること)したなどの疑惑が解明されていないとして、167議席(定数300)を有する第一野党「共に民主党」が反対し難航した。同党は本会議直前に議員総会を開き、内部投票の末に任命同意案に賛成することを決めた。
法務部は24日、公職者の人事検証を担う人事情報管理団長を新設する政令改正立法予告を官報に告示した。同部は「公職候補者らの人事情報収集・管理の権限を、従来の大統領秘書室長以外に法務部長官にも委託する」と説明し、来月、人員の増員など関連制度の改正を進める方針。人事情報管理団長は法務部長官直属で、人事検証組織は最大4人の検事を含む計20人で構成される。尹大統領は、大統領府の民情首席秘書官室が公職者の人事検証や不正監視などを行い強大な権力を持っていたとして、同室を廃止し、その役割を法務部などに担当させる考えを示していた。
検事総長出身の尹大統領は最側近の韓氏を法務部長官に任命し、韓法務部長官は就任するとすぐに「文大統領系」の検事を排除し、「尹大統領直系」の検事らを前面に配置する検察人事を断行した。さらには、高位公職者が主対象と予測される、公職者を人事検証する法務部長官直属の人事情報管理団長を新設することを明らかにした。国会聴聞会を経なければならない検事総長人事を後回しにし、尹大統領の意向に沿った検事を配置することで「大統領―法務部―検察」のラインを優先して構築したものだ。こうした体制が、検察の政治的中立を維持し不正腐敗に立ち向かう公正な検察、国民から信頼される検察をつくり出すかは、はなはだ疑問だ。一連の措置は、尹大統領が「検察共和国」「新公安統治」の実現を目指していることを示している。