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文政権が進める検察改革…国会議長の仲裁案で与野党合意
【2022年4月27日】
与党「共に民主党」が検察改革の一環として推進する検察から捜査権を除外する法案をめぐり、朴炳錫(パク・ビョンソク)国会議長が提示した仲裁案を同党と第一野党「国民の力」が受け入れる意思を4月22日に明らかにし、4月の臨時国会でこれを処理することで合意した。与野党が受け入れた仲裁案には、検察の直接捜査権と起訴権を切り離し、現在、検察が捜査を担う「6大犯罪」の中から公職者犯罪、選挙犯罪、防衛事業犯罪、大規模惨事をはずす内容が盛り込まれた。残りの腐敗・経済犯罪に対する直接捜査権も、「重大犯罪捜査庁」の設置後に廃止される。同法案は、「共に民主党」が15日に国会に提出した、検察の捜査権の全面的廃止などを盛り込んだ検察庁法および刑事訴訟法改正案。同党は提案理由として「検察の国家刑罰権の行使において、公正性と客観性が担保されておらず、検察が身内を守るような捜査や起訴が繰り返されている」とし、「令状の請求や公訴の提起、維持を専門に担当する機関として検察のあり方を再確立して、国民の信頼を回復させる」と説明。4月中の成立を目指した。一方、大検察庁(最高検)は「犯罪捜査をすべて警察に独占させ、検事はひたすら警察が捜査した記録だけを見て、嫌疑が不足していれば警察に再び送り、嫌疑があれば裁判所に起訴する役割にとどまらせている」と指摘、憲法違反と非難した。
キム・オス検事総長は17日、法案提出に反発して辞職願を提出。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日、金検事総長と会談し「国民が検察の捜査能力を信頼しているのは確かだが、捜査の公正性を疑うのも事実」とし、「検察も自己改革と自浄努力を続けなければならない」と指摘、検察側が集団で反発する動きを見せていることについては否定的見解を示した。そして「改革は検察や警察の立場を離れ、国民のためにならなければならない」「国会の立法もそうしなければならない」と強調した。この後、金検事総長は任命権者の意思を尊重するとして、職務を続ける考えを表明した。しかし、与野党が仲裁案に合意したことを受け、検察側は再び強く反発。検事総長は「このすべての状況の責任を取り、辞職願を提出する」と表明し、大検察庁次長検事や各高等検察庁のトップも一斉に辞意を表明した。大検察庁は、仲裁案はこれまでの検察捜査権完全剥奪法案の施行時期を遅らせるものにすぎないとし、「法案が最終的に通過するまで法案の不当性や問題点を広めていく」とのコメントを出した。
いわゆる検察改革は文政権が追求してきた政治課題。検察が政治的・恣意的に行使する過度な独占的権限を、抜本的に制限し是正することを法改正を通じて実現するものであり、基本的には検察の捜査権を廃止し、検察を起訴権の行使に専念させることを求める。検察側は、検察出身の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領と野党「国民の力」の「努力」に期待しながら、検事総長を頂点に総力をあげて既得権益を死守しようと抵抗した。政権側は、次期政権の政治・検察一体化を防ぐためにも、検察改革の総仕上げとなる同法案を文政権の任期内に通過させることを至上課題とした。最終的に国会議長の仲裁で決着したが、与党側の意向はほぼ実現したものとみられる。今回の件では、警察庁は国会論議を尊重するとしながらも、検察側の「警察力量が不足(検察の捜査力で補完すべきとの考え)」とする指摘には「6大犯罪を検察より多く処理した」と反論し、警察職長協議会(5万3000余人)は検察から捜査・起訴権を完全分離することに賛成していた。韓国の検察はその過剰権力を盾に政治検察として君臨してきた。検察が権力におぼれて政治に介入し、「自己改革と自浄努力」(文大統領)を怠った結果が今回の状況を招いた。検察は政治的中立を守り法の正義を公正に実現することで、国民の信頼を得なければならない。