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情勢解説

尹錫悦次期政権が推進する韓米同盟強化に断固反対する!

【2022年4月15日】

尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領の「韓米政策協議代表団」が4月11日、8日間にわたる訪米を終え帰国。団長を務めた「国民の力」の朴振(パク・ジン)国会議員は記者団に、「訪米の結果を尹氏に忠実に報告し、新政権が国益と国民の安全を中心に置きながら、韓米の包括的な戦略同盟を強化していけるよう全力を尽くす」と述べた。「厳しい安全保障環境」の認識のもと、韓米の合同軍事演習の重要性、米国による拡大抑止(同盟国が核攻撃の脅威を受ける場合、米国が「核の傘」やミサイル防衛システム、通常兵器を使って米本土と同水準の抑止力を提供すること)を強化するための「拡大抑止戦略協議体(EDSCG)」の活性化、外交・国防閣僚会議(2プラス2)の年内開催などで意見交換し、首脳会談の早期開催の必要性で一致したという。さらに「韓米同盟に基盤を置いた相互尊重の韓中関係の発展と、正しい歴史認識を土台にした未来志向的な韓日協力関係を構築していくという尹氏の意思を米側に伝達した」とし、「米側は積極的に歓迎した」と紹介した。経済安全保障分野についても、グローバル・サプライチェーンや先端技術、気候変動、新型コロナウイルス対応などをあげて、「実質的で具体的な協議を行った」と説明した。代表団は米ホワイトハウスでサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)やキャンベル国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官、シャーマン国務副長官、クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)らと面会した。バイデン大統領やブリンケン国務長官との面会はなかったが、朴氏は「韓米同盟の発展に向けた尹氏の固い意志とビジョンを示す」親書をバイデン氏に伝達したと明らかにしていた。

一方、尹氏は7日、在韓米軍の平沢基地を訪問し、ラカメラ司令官(韓米連合軍司令官兼務)らと面会した。尹氏側はメディアの取材に対し、尹氏とラカメラ氏が同盟強化に対する両国の努力について意見交換したと伝えたが、11日、政権引き継ぎ委員会の関係者が両者は韓米合同軍事演習が重要であるとの認識で一致したと明らかにした。

「韓米政策協議代表団」の訪米結果は朴氏の帰国報告に重複しながら加えれば、4日にシャーマン国務副長官と会談した際に△韓米同盟を「包括的戦略同盟として一段階格上げする」ことに合意し△代表団が朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」を目指すことを明らかにし△EDSCGの活性化に合意し△代表団が日米豪印の枠組み「クアッド」作業部会に参加する立場を明らかにし米側が期待を表明するなど、米国務省とは具体的な重要事項について意見一致し合意している。代表団は、韓米が朝鮮の「核問題」や新たな課題である経済安全保障などに共同で対応するため、同盟を包括的な戦略同盟へ一段階引き上げて対処しようと尹次期政権が急派したもの。だが、米国側は韓米同盟を地域同盟にとどめずグローバル同盟と位置づけて、韓国に対朝鮮だけでなく対中国、対ロシアについても米国への協力を強要するだろう。朝鮮の「核問題」は、拡大抑止の強化とCVIDの要求で解決するものではないことは明らかだ。また、韓米が主張する朝鮮の「核問題」は「朝鮮の非核化」を意味するのだろうが、南北間(板門店宣言、ピョンヤン共同宣言)、朝米間(朝米共同声明)の合意は「朝鮮の非核化」ではなく「朝鮮半島の非核化」である。政権も出帆していない時期に代表団をあわてて送ること自体が、「前のめり」だが、尹次期政権が目指す「韓米同盟の強化」は、結果的に韓国政府の対米従属を深めながら、韓国を米国の覇権政策の前哨基地化させ、朝鮮半島と東アジアにとどまらず、より広範な地域へと広がる軍事緊張のなかに巻き込まれる危険性を指摘せざるを得ない。尹次期政権が推進しようとする韓米同盟の強化に断固反対する。