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日本政府、教科書から「強制連行」「強制労働」を削除…韓国政府、歴史わい曲を非難

日本の文部科学省は3月29日、来年度(2023年4月)から主に高校2年生以上が使用する教科書の検定結果を公表した。歴史教科書では、日本による植民地時代に行われた朝鮮半島出身者の「強制連行」や「強制労働」という表現に、「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」として「修正」させる検定意見が多くつき、多くの出版社は削除したうえで「動員」「徴用」などに「修正」した。また、歴史を除く社会の教科書12種には独島を「日本固有の領土」であるとする記述が含まれた。

韓国の外交部は同日、日本政府に対し「自国中心の歴史観に基づき、歴史的事実をわい曲する高校教科書の検定を通過させたことに、深い遺憾の意を表明し是正を求める」とする報道官声明を発表した。一方、尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領の報道官を務める金恩慧(キム・ウネ)氏は30日、「まだ(就任前の)当選者の立場のため、個別的な外交事案について立場を表明するのは不適切だと考える」と述べたが、「共に民主党」が尹氏を歴史わい曲問題に沈黙していると非難すると、金氏は31日、「尹氏は韓日両国の発展的な関係を希望しているが、このためには正しい歴史認識と過去に対する徹底的な反省を前提にしなければならないということを、数回にわたって表明してきた」として、「今後も歴史わい曲に断固として対処する」とのコメントを出し弁明に努めた。

  昨年4月、当時の菅義偉内閣は、「日本維新の会」からの質問主意書に答えて、「強制連行」「強制労働」と表現するのは不適切だとする答弁書を閣議決定した。同時に「従軍慰安婦」の「従軍」も不適切だとする答弁書も閣議決定した。文科省はこの政府答弁書を根拠に、教科書会社に「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」と指摘し、「修正」を迫ったもの。教科書検定では2014年に、政府見解に基づいた記述にすることが検定基準に加えられた。侵略戦争・植民地統治の過誤を認めない日本政府の「植民地主義」は、最近では佐渡鉱山の世界遺産申請において、「強制連行」「強制労働」の史実を意図的に除外する動きに表れている。教科書においても、日帝の歴史的蛮行の事実を示す表現を徹底して抹消しようとしている。とどまるところを知らない日本政府の歴史わい曲策動を決して許してはならない。