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大統領選挙、接戦続く…李候補、尹候補の「自衛隊、朝鮮半島に進入可能」発言を厳しく批判

【2022年3月4日】

3月9日投開票の韓国大統領選挙。与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補と第一野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補の「2強」は、支持率40%前後でしのぎを削る激しい接戦を繰り広げている。こうしたなか、共に民主党は27日、李氏の「統合政府」構想を支える「国民統合政治改革案」を発表した。これについて李氏は「党の今回の決定が、国民統合を望む国民の期待に応えて、葛藤と分裂を終わらせる転換点になることを願う」とし、政界に積極的な呼応を促すとともに、「言葉でなく実践で示す」と強調した。注目された尹氏と「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補との一本化交渉は27日、最終的に決裂したとし、双方が決裂の責任を転嫁する非難合戦を繰り広げた。ところが両氏は3日、両党の候補を尹氏に一本化することで合意したと発表。尹氏は「安候補の意思を受けて必ず勝利し、一緒に国民統合政府を必ずつくって成功させる」と強調した。両氏は大統領選後、両党の合併を進めることでも合意した。これに対して李氏は記者団に「政治は政治家が行うようにみえるが、事実は国民が行うものだ。 歴史と国民を信じる。国民生活と経済、平和、統合の道を力強く歩んでいく」と語り、野党候補の一本化を政略的なものとみなし、国民の賢明な判断に訴えた。共に民主党は「地位を分けあう野合」と規定し批判、政治ビジョンも提示されないまま成し遂げられた一本化だと指摘した。

一方、選挙管理委員会が2月25日に主催した第2回大統領選挙候補者テレビ討論会で、正義党のシム・サンジョン候補の韓米日同盟に関連した質問に対し、尹氏が有事に日本の自衛隊が朝鮮半島に進入する可能性を示唆した。李氏は26日、特別声明を通じて「韓日関係の悪化は韓国政府のせいだとか、福島原発は爆発ではなく放射能流出はなかったなど、日本極右勢力の主張に同調してきた尹氏が、昨日の討論で、有事に日本の自衛隊が韓国に進入できるとの暴言をした」「大統領候補の発言とはとうていみなすことはできず、尹氏の国家観と対日認識を示した」とし、発言の取り消しと謝罪を求めた。李氏は3・1独立運動103周年を迎えた1日のテレビ演説で、「過去の侵略の事実を反省さえしていない日本の自衛隊が、再び朝鮮半島に足を踏み入れることをわたしは決して容認しない」「完全な自主独立を願った愛国烈士とわが国民の前で、決して恥じない道を進んで行く」と明らかにした。また、大統領府の朴洙賢(パク・スヒョン)国民疎通首席秘書官は1日のラジオ番組で、尹氏の発言について「日本と韓国は軍事同盟ではない」と批判した。尹陣営は李候補の主張は事実と異なると反ばくしている。

李候補と尹候補の接戦が続くなか、両陣営は当然、他の候補の取り込みに関心を向け取り組んでいる。共に民主党の国民統合政治改革案は尹候補と国民の力を除く候補者と政党にウイングを広げたものだ。また、紆余曲折の末に成立した尹候補と安候補の一本化もそうしたものだが、「政権交代」の看板ばかりが先行しながら、具体的な共通政策が十分にないままの一本化には批判の声も多い。また、在外投票終了後に安氏が候補をおりたことにより、同投票での安氏への票は死票となった。貴重な有権者の1票を軽んじるものだ。尹候補の暴言はいまに始まったことではないが、朝鮮に対する「先制攻撃」論、サード(THAAD、高高度ミサイル防衛システム)基地追加配備の主張に続いて、「自衛隊の進入可能」発言まで飛び出した。これまで積み重ねられてきた朝鮮半島の平和と祖国統一の実現に向けた努力を無視し、自主的な歴史認識も欠いた危険ともいえる思考は、大統領候補としての資質に疑問を抱かせる。厳しく批判されて当然だ。