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情勢解説

国会倫理特委は尹美香議員の除名推進をすぐさま中止せよ!…中止要求の世論広がる

【2022年2月14日】

「慰安婦」問題の解決に尽力してきたことで知られる尹美香(ユン・ミヒャン)議員(前「共に民主党」所属、現無所属)の議員資格をはく奪する「除名」手続きが現在、国会倫理特別委員会で進められている。尹氏は議員当選後、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)代表在任中に寄付金と資金を流用したなどの疑惑をかけられ、現在、関連裁判が進行中。野党「国民の力」は裁判結果が出てもいない2020年9月、尹議員に対する懲戒案を倫理委に発議した。同案は1年以上休眠状態だったが、これを目覚めさせたのは国民の力ではなく、与党・共に民主党の宋永吉(ソン・ヨンギル)代表。宋代表は1月25日、緊急記者会見を開き、「人的刷新」と「政治改革」を掲げて、倫理特委に提訴されている尹議員ら4人の議員の除名を推進すると明らかにした。国民の力はこれに対し、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)大統領候補の支持率を上げるための「選挙用の除名カード」だと反発した。一方、院外では、尹議員に対する懲戒案は個人の次元をこえ、「慰安婦」問題の解決のために先頭に立って運動を主導してきた挺対協および後身の「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」の正当性を否定しようとするものだとして、除名反対の世論が広がっている。「金福童(キム・ボットン)の希望」、民族民主烈士犠牲者追慕記念団体連帯会議、全国農民会総連盟、全国民族民主遺家族協議会、韓国進歩連帯、韓国青年連帯など68の市民社会団体は2月7日、共同声明を発表し、「国会は尹議員の除名推進をすぐさま中止せよ」と求めた。6日には「尹議員除名反対共同声明」が19カ国1398人(韓国638、日本564など)の連名で発表された。正義連など「慰安婦」被害者を支援する12団体は9日、ソウルの日本大使館前で開かれた定例の「水曜集会」で声明を発表し、尹議員の除名推進を中止するよう求めた。

大統領選挙運動において李候補と国民の力の尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補が接戦を続ける中、共に民主党は20・30代を意識しながら、「人的刷新」と「政治改革」を打ち出しイメージアップを図ろうとした。しかし尹議員の除名は不当である。議員当選後、魔女裁判式の攻撃と弾圧を受け、現在、法廷で真実が争われている状況で、尹議員を急いで除名しなければならない理由はどこにもない。倫理特委に提訴された他の議員の不正腐敗とはまったく状況が異なる。「慰安婦」問題に粘り強く取り組みながら、その運動を平和運動へと広げ、大きな功績をあげた尹氏を、共に民主党は必要な人材だとして迎え入れておきながら、今度は除名だと騒ぎ立てる。選挙戦を「優先」して、政治的道義をも捨て去ったこうしたやり方は、「人的刷新」でもなければ「政治改革」でもない。倫理特委は世論に応えて尹議員の除名推進をすぐさま中止しなければならない。