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情勢解説

尹候補、対朝鮮先制攻撃を主張…批判集中

【2022年1月21日】

 「国民の力」の尹錫悦大統領候補は1月11日に開かれた新年記者会見で、朝鮮のミサイル発射を防ぐ計画はとの質問に対し、「キルチェーン(Kill-Chain)における先制攻撃のほかに防ぐ方法はない」と応えた。尹氏の先制攻撃発言に対して国民の力を除く各政党は「危険極まりない発言」と非難、全国民衆行動(準)や韓国進歩連帯など市民社会団体からも批判の声があがった。進歩連帯のキム・ジェハ常任代表は「先制攻撃は南北の戦争を意味し、朝鮮半島における戦争は全民族の共滅」だと指摘、「そうした先制攻撃をなんのためらいもなく主張する尹氏は、すぐさま大統領候補を辞退すべきだ」と追及した。

 朝鮮の核ミサイルを制圧する「キルチェーン」の概念が初めて出現したのは、李明博政権時代の2010年。ミサイル攻撃の準備段階の兆候を把握し事前に制圧する能力が中核をなす先制攻撃の概念だ。いうまでもなく、ミサイル技術の発展などがあり確証ある方策ではない。そもそも先制攻撃論は国連憲章と憲法の平和理念に反するだけでなく、南北間の信頼構築や対話環境造成をさらに困難にするだけである。祖国と民族を戦争に巻き込むかもしれない発言を裏付けもなく、責任感も持たずにするようでは、大統領候補の資格はないといわざるを得ない。