情勢コーナー
情勢解説
米国は「新冷戦」軍事緊張をつくりだすな!
【2021年12月24日】
ブリンケン米国務長官は12月14日、訪問先のジャカルタで演説し、北東アジアから東南アジア、メコン川流域、太平洋島嶼国に至るまで「中国の攻撃的な行動」への懸念が広がっていると強調した。その上で、インド太平洋政策について、中国への対抗を念頭に「同盟国や友好国と連携し、外交、軍事、情報を組み合わせた戦略を採用する」と訴えた。ブリンケン氏は、バイデン大統領が数カ月以内に、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の首脳を米国に招待し、首脳会議を行う計画だと明らかにした。また、インド太平洋地域の同盟国である日本、オーストラリア、韓国、フィリピン、タイを挙げ、関係深化を目指す方針を確認。韓米日や米日豪印による協力枠組み「Quad(クアッド)」など、同盟国同士を結び付ける多国間の連携も推進すると語った。
バイデン米政権の「開かれたインド太平洋戦略」に基づいた対中国包囲網の構築は、ロシアと朝鮮も標的としながら、「新冷戦」とも呼ぶべき軍事緊張状態をつくりだしている。ブリンケン国務長官が発言しているように、米国は、同盟国とパートナー国を総動員する対中国包囲網を、韓米同盟と日米同盟からなる韓米日3カ国軍事協力体制にQuadとAUKUS、NATOさらにはASEANを連携させて完成させようとしている。この間の民主主義サミット、G7外相会合、韓豪首脳会談などでは、そうした米国の意向が反映された。韓国政府は韓米同盟を盾にした米国の一方的な主張と押しつけに流されてはならない。中国との良好な関係をも維持する国益に沿った自主外交の展開が求められる正念場を迎えている