情勢コーナー
「ホルムズ派兵」反対!…李政権はトランプ政権の理不尽な要求に屈してはならない
李大統領、トランプ大統領の決断で「朝鮮半島情勢に変化も」
李在明(イ・ジェミョン)大統領は9月2日、仁川で開かれた大統領直属諮問機関、民主平和統一諮問会議(民主平統)の米州地域会議に出席し、トランプ米大統領が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)との対話に意欲を示していることについて、「トランプ大統領の決断により、朝鮮半島情勢が変化する可能性がわずかながらも生じた」と評価した。
李大統領は「国内の政治情勢の変化や国際情勢の変動に伴う緊張が繰り返されないよう、対立と対決を前提とした休戦体制を協力と繁栄を基盤とする平和体制に必ず転換しなければならない」と強調。「米朝の信頼構築や対話再開に向けた建設的な議論のための環境をわれわれがつくらなければならない」とし、韓国の役割も重要との認識を示した。
また、「朝鮮半島の平和はわたしたちだけの問題ではない。北東アジアの安全、ひいては世界平和の中心的な課題」とし、「この重大な課題の当事者として、(米軍主導の韓米連合軍が持つ)有事作戦統制権を取り戻し、その責任を果たす」と語った。
そのうえで、米朝対話だけでなく、南北対話の再開も重要とし、「南北対話の時計は7年間も止まったままだ。それでも(対話再開へ)歩み続けなければならない」と力説した。
大統領府、ホルムズ派兵は「検討段階」
青瓦台(大統領府)の関係者は4日、記者団に対し、中東のホルムズ海峡への派兵を検討しているかどうかについて、「朝鮮半島の対応態勢に大きな支障がない範囲内では動けると考えている」と明らかにした。
また、「ホルムズ海峡で実質的な貢献を行うためには、朝鮮半島の対応態勢を考慮しなければならず、対応態勢についてさまざまな検討を行っている」と述べた。
米国との安全保障・通商交渉がホルムズ海峡への派兵問題により難航しているかとの質問には、「政府はこれまでホルムズ海峡で実質的な貢献を行うという立場を表明してきた」と述べるにとどめた。ただ、米国との安全保障交渉は「現在、進展が容易ではない状況」と明らかにした。
通商交渉を巡っては、「さまざまな分野があり、互いに影響し合い、中には停滞要因となるものもある。これには投資問題もあり、半導体が議論の対象となっているのは事実」と述べ、米国の半導体分野への投資要求が懸案の一つになっていることを示唆した。
イラン外務省報道官は7日、青瓦台関係者の「検討段階」発言に関連して「深刻な結果を招く」と警告した。
各界601団体、「ホルムズ派兵」反対…反対運動が拡大・本格化
自主統一平和連帯(平和連帯)と全国民衆行動は5日、青瓦台前で「侵略戦争に派兵はない! 政府のホルムズ派兵検討撤回要求 緊急記者会見」を開催。前日の青瓦台関係者の「検討段階」発言に関連して、「戦闘・非戦闘を問わず、戦争中の米国を支援すれば軍事支援となり、韓国は戦争の当事者となってしまう」と警告した。
平和連帯と全国民衆行動は政府に対し、ホルムズ派兵検討と軍事資産派遣計画を全面撤回し、米国の派兵圧迫を拒否するよう要求した。また憲法が侵略的戦争を否認している以上、戦争に加担するのではなく平和的解決に乗り出すべきだと強調した。
9日には、各界の601団体が結集しソウル世宗文化会館前で記者会見を開催。参加者は米国にはホルムズ派兵要求を中止すること、李政権には派兵要求を断固拒否することを求めた。記者会見後は、米大使館前を経て青瓦台まで行進した。12日にはソウル都心で市民大行進も予定され、派兵反対運動は拡大し本格化する展望だ。
平和連帯、韓米日合同軍事演習「フリーダム・エッジ」中止要求
韓国と米国、日本による海上や空中、サイバー分野など多領域での共同訓練を実施する韓米日合同軍事演習「フリーダム・エッジ」が7日から、韓国南部・済州島沖の公海上で開始した。11日まで実施。訓練には3カ国のイージス駆逐艦など艦艇6隻や海上哨戒機、戦闘機、空中給油機などが参加した。
これに対し平和連帯は7日、ソウル光化門の米大使館前で記者会見「東アジアの危機を高める韓米日戦争演習『フリーダム・エッジ』を中止しろ」を開催し、中国を牽制(けんせい)するための韓米日3カ国間の軍事力統合を完成させる意図を示したものだと批判した。
朝鮮外務省報道官は8月31日の談話で、「フリーダム・エッジは朝鮮や地域の国々の脅威となる」と反発し、「強硬に対応する」と主張した。
李政権はトランプ政権の理不尽な要求に屈してはならない
トランプ大統領は金正恩委員長との対話に意欲を燃やし、「(朝鮮に)誤ったシグナルを送る可能性がある」として、韓米合同軍事演習「乙支フリーダム・シールド(UFS)」の期間短縮を指示した。また、朝鮮の核兵器保有数に言及しながら朝鮮が「核兵器保有国」であることに「含み」を持たせた。朝鮮が米国に要求する△核兵器保有国として認定△対朝鮮敵視政策の核心である合同軍事演習の中止を念頭に置いた措置や発言であるのは間違いない。金委員長との親交の深さをアピールすることも忘れなかった。
これは、トランプ政権が米朝首脳会談の可能性をちらつかせることで、長期化する米-イラン戦争から世論の視線を転じさせ、同時に中間選挙への悪影響を抑え込み、局面転換を図ろうとしたものとみられる。朝鮮側は金与正氏がトランプ氏の「提案」を完全否定し、朝鮮外務省は米国の対朝鮮敵視政策に変化はないと強調した。
韓米は、合同軍事演習は「定例的」で「防御的」な訓練だと主張し、対朝鮮敵視政策ではないと強弁してきた。しかし、朝鮮側の発言を引用するまでもなく、合同軍事演習はまぎれもなく対朝鮮敵視政策である。それを今回、必要があったにせよ、トランプ大統領が認めたのは留意すべき点だろう。2018年の朝米対話局面の造成にも合同軍事演習の中止が大きく寄与した。
一方、韓米軍事同盟がトランプ大統領の意向のままに動いていることがいまさらながら明らかになった。UFS期間短縮の件は韓米間で協議されておらず、トランプ大統領の一方的な指示である。韓米軍事同盟における重要な協議・決定から韓国は排除された。無視された李大統領はトランプ大統領の「決断」を称賛している場合ではない。同盟間でこうした不当な扱いを受けているにもかかわらず、李政権は米側が要求するホルムズ海峡への派兵について汲々とするばかりだ。市民社会団体が指摘するように、派兵は戦争当事者となることを意味する。
李政権が任期内の返還を求める軍事作戦統制権についても、今回のUFS期間短縮を理由に、米側が「必要な検証が済んでいない」と難癖をつけ返還を渋る可能性を指摘しておかなければならない。
そして韓米日合同軍事演習「フリーダム・エッジ」は、UFS期間短縮などなかったかのように、「定例的」「防御的」だとして予定通り実施された。
トランプ大統領の言動に振り回され、一喜一憂する必要はない。トランプ政権は米国の国益だけを優先し、同盟国を軍事強要と経済収奪の対象としかみていないのだ。ホルムズ派兵など、李政権はトランプ政権の理不尽な要求に屈してはならない。反米感情が強まる中(情勢短信参照)、国民は李政権の対米姿勢を注視している。 (9月9日)
※写真-601団体が結集した「ホルムズ派兵」に反対する各界記者会見



