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文在寅大統領、北京冬季五輪「外交ボイコット」は検討していないと明言

【2021年12月17日】

 サキ米大統領報道官は12月6日の記者会見で、中国政府による新疆ウイグル自治区での「人権侵害」への対抗措置として、来年2月の北京冬季五輪に外交使節団を派遣しないと発表した。米選手団は参加する予定。サキ氏はまた、バイデン政権は同盟国に今回の決定を通知しており、追随するかどうかは「それぞれの国の判断に委ねる」と述べた。中国外務省は「外交ボイコット」を宣言した米国政府を強く糾弾し、「スポーツの政治化を中止すべき」と主張。朝鮮外務省はホームページに中国外務省の発言を紹介した。国際オリンピック委員会(IOC)の報道官は、AFP通信に「政府当局者や外交官の出席は各政府の純粋に政治的な決定であり、政治的に中立な立場からIOCはそれを尊重する」と語った。一方、オーストラリアを国賓訪問した文在寅大統領は13日(現地時間)、首都キャンベラでモリソン首相と首脳会談を行った後の共同記者会見で、外交ボイコットに関連し「韓国政府は(ボイコットを)検討していない」と述べた。文大統領は「北京冬季五輪に対する外交ボイコットについては、米国をはじめとするどの国からも(ボイコットに)参加するよう勧誘を受けたことはない」と説明した。また、文大統領は「韓国は米国との同盟を外交と安保の根幹としているが、経済的側面においては中国との関係も非常に重要だ。朝鮮半島の平和と安定、そして北(※正しくは朝鮮)の非核化のために中国の建設的な努力が求められる」として、韓国は米国との堅固な同盟を基盤に、中国とも調和の取れた関係を維持するよう努力していると説明した。韓国と朝鮮、米中が参加する朝鮮戦争の終戦宣言については、「関連国がすべて原則的に賛成の立場を示した」と述べる一方、朝鮮が米国の対朝鮮敵視政策を根本的に撤回することを前提条件として求めており、まだ対話に入れていないと明らかにした。米国主催の民主主義サミット(9~10日、約110カ国・地域の首脳らがオンライン形式で参加)では、文大統領は「韓国は民主主義の価値を証明する代表的な国」とし、「権威主義が国民を抑圧するたびに、韓国国民は平和的な市民革命で民主主義を守って進展させた」と述べたが、中国について直接的な言及は避けた。

 文在寅政権は安保は米国、経済は中国と、それぞれの関係をバランスをもって維持することを基本原則としている。しかし、米国が対中包囲網の構築で中国への圧迫を強化し、それに伴い米中関係の緊張が激化する情勢のもとで、米国からは韓米同盟をてこにした圧力をかけられ、中国とは経済面だけでなく朝鮮半島の平和維持の課題でも良好な関係が必要とされるなど、韓国政府は綱渡り的な外交を強いられているのが現状だ。民主主義サミットでの文大統領の発言は、そのことをよく示している。そうした中、バイデン政権が打ち出した北京冬季五輪の外交ボイコットに、韓国政府が追従しなかったことを評価し支持したい。情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ(米、英、豪、カナダ、ニュージーランド)」は外交ボイコットを決定した5カ国でもあり、その一員である豪州で発言したことは、外交使節を派遣するとの意思表示とみてもよいだろう。米国「ボイコットは各国の判断に任せる」と韓国「ボイコット勧誘はない」が、追従しなかった外見上の理由としてあげられるが、文政権としては、後に南北、朝米首脳会談を生み出す始発点となった2018年の平昌冬季五輪のように、北京冬季五輪には終戦宣言の実現に向けた可能性を残しておきたいというのが本音だと推測される。文大統領は、朝鮮が米国の対朝鮮敵視政策を根本的に撤回することを前提条件として求めているので、まだ対話に入れていないと明らかにした。「敵視していない」「無条件対話を望む」と繰り返すばかりの米国を説得することなしには、終戦宣言の入り口の扉は閉まったままの状態が続くだろう。なお、文大統領の「(終戦宣言について)関連国がすべて原則的に賛成の立場を示した」との発言は、大統領府(14日、朴洙賢国民疎通首席秘書官)によると、終戦宣言は10・4宣言や板門店宣言などですでに関係国が賛成したものであり、韓国政府が強い意志で疎通を重ねて条件が整えば、実現可能な合意だとの意味。