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情勢解説

国会は国家保安法廃止案の審議をすぐさま開始せよ!

【2021年11月19日】

国会法制司法委員会は11月9日、全体会議を開き、国家保安法廃止、差別禁止法制定に関する国会同意請願など5件の請願に対する審査期間延長要求の案件を上程。同委員会は「十分な時間をかけてしっかり審査する必要がある」(「共に民主党」パク・グァンオン委員長)として、国会法に基づき審査期間を2024年5月29日(国会会期末)まで延期することを与野党一致で議決した。国会法125条5項によれば、国民同意請願は所管の常任委員会に回付され、最大5カ月間の審査を経て本会議付議の可否を決定することになっている。両請願はすでに5カ月が過ぎた状態だが、同条6項で「特別な事由がある場合」には所管常任委員会の議決で審査期間の延長が可能となっており、これを根拠にしたもの。

国会の延長措置に対して「国家保安法廃止国民行動」は10日、声明を発表し、「国民の重い意思を軽視する行為であり、深刻な職務放棄だ」と糾弾。「延長決定は到底、容認も受容もできない」とし、「すぐさま国家保安法廃止案の審査と議決をするよう重ねて強く求める」と明らかにした。

73年間、民主と人権を圧殺し統一運動を弾圧してきた悪法・国家保安法。その廃止を求める世論は高揚し、国民行動の推進により10日余りで10万人の国民同意請願を実現し、そのなかで17年ぶりに与党議員による廃止法案も共同発議されるなど、同法廃止法案を具体的に国会の場にあげた。ところが国会は廃止案を審議するどころか与野党で延期を決定し、国民世論に完全に背を向けた。延期決定は、もともと国家保安法の廃止を望まない野党「国民の力」の意向に加えて、来年の大統領選挙を前にして、同法廃止で保守層をむやみに刺激したくない与党「共に民主党」の選挙戦略上の「配慮」が重なった結果なのは明らかだ。国会は延長を撤回し直ちに論議に入るべきであり、共に民主党は国民世論を尊重し、国家保安法廃止のために自身の多数議席を有効に使わなければならない。また、国民同意請願の趣旨は「国民の直接参与の機会を拡大する」だが、国会法の該当条項はこれを形骸化するもので、至急改善が求められる。国会は国民の声を聴くところから始める、これが存在意義のひとつだ。