情勢コーナー

情勢解説

トランプ政権、韓日などにホルムズ海峡へ軍艦派遣を要求…韓国政府は断固拒否すべき

米、韓日などに軍艦派遣要求

トランプ米大統領は3月14日、SNSの投稿で、「多くの国々、特にイランによるホルムズ海峡封鎖の試みに影響を受けている国々は米国と協力し、海峡を開かれた安全な状態に保つために、軍艦を派遣することになるだろう」と表明。「中国、フランス、日本、韓国、英国」と明記して軍艦派遣を求めた。

また、ホルムズ海峡に軍艦が派遣されている間に米国がイラン側を「徹底的に爆撃する」とし、事実上、米国の対イラン軍事作戦の一部を担うことを迫った。

トランプ氏は15日の英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューでは、「(軍艦派遣に関して)返答がなかったり否定的な返答だったりしたら、北大西洋条約機構(NATO)の未来にとって非常に悪いことになる」と圧力をかけた。中国に対しても原油の9割をホルムズ海峡から得ているとして、「支援するべきだ」と対応を求めた。

トランプ氏は16日にも、対象とする国々にホルムズ海峡への軍艦派遣を改めて迫った。

ところが、トランプ氏は17日、対イラン軍事作戦に関連し、韓国や日本などの支援は「必要ない」と表明した。ホルムズ海峡への軍艦派遣を要請していたが、事実上撤回した。

トランプ氏はSNSで、「NATOの大半から米国の対イラン軍事作戦に関与したくないとの通告を受けた」と説明。「われわれは彼らを守るが、彼らはわれわれが助けを必要とする時に何もしない」と非難した。

その上で「われわれがこれほどの軍事的成功を収めたという事実ゆえに、NATOの支援を必要とせず、望んでもいない。最初から必要なかった」と強調。さらに「日本、オーストラリア、韓国についても同様だ。世界最強の米国の大統領としていえば、誰の助けも必要ない」と主張した。

トランプ氏はまた、ホワイトハウスで記者団に「NATOは非常に愚かな間違いを犯した」「失望した」とまくし立て、特に英国を批判した。カタールやサウジアラビアなど中東諸国については、「多大な支援をしてくれた」と称賛した。対イラン軍事作戦の期間を巡っては、「まだ離れる準備はできていないが、近い将来に離れる」と語った。

毎日のように発言内容が変わるトランプ氏だが、20日にはホルムズ海峡の航行の安全確保について、「欧州や韓国、日本、中国などは多少なりとも関与せざるを得ない」と述べた。

大統領府、軍艦派遣要求に「熟考すべき問題」

青瓦台(大統領府)の洪翼杓(ホン・イッピョ)政務首席秘書官は17日にテレビ番組に出演し、トランプ米大統領が韓国や日本などにホルムズ海峡への軍艦派遣を求めたことについて、「慎重に対応する」との立場を改めて示した。

洪氏は「(トランプ大統領が)支援を要請したほとんどの国、英国やフランス、日本も否定的な立場のようだ」と説明。「トランプ大統領の立場が毎日のように変わっている」として、「きょうは支援が必要ではないという立場を示した」と指摘した。

洪氏は「(軍艦派遣は)韓米関係だけでなく、国内の政治的な協議も極めて重要で、両方を熟考しなければならない問題」との認識を示した。

また、「韓国は米国から一方的に恩恵を受けたとは考えていない」として、ベトナム戦争への参戦やイラク戦争などで財政支援や兵力派遣を行ったことをあげた。

その上で、「韓米関係が安全保障同盟の軸であることは確かだが、互いに尊重し、配慮し合うべき同盟関係であることもまた確かだ」として、「(韓米関係は)一方的な関係ではなく、韓国も米国のために相当な犠牲と代償を払ってきたため、韓米同盟を一方的な関係として評価する時代は終わった」と述べた。

安圭伯(アン・ギュベク)国防部長官は24日、国会国防委員会に出席し、軍艦派遣について、「米国から公式な要請を受けていないが、水面下でさまざまな状況に対する緊密な協力と協議を行っている」と答弁した。

日米首脳会談

高市早苗首相は19日午前(日本時間20日未明)、米首都ワシントンのホワイトハウスでトランプ大統領と会談した。

高市氏は会談冒頭のやりとりで、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルド(トランプ氏)だけだ。諸外国に働きかけてしっかりと応援したい」と表明。高市氏は続けて、イランによる核兵器開発やホルムズ海峡の封鎖を強く非難したが、米国とイスラエルによる国連憲章や国際法に反する先制攻撃については触れなかった。

トランプ氏は改めてホルムズ海峡への軍艦派遣を迫った。高市氏は見解を示さず、会談後、記者団に「日本の法律の範囲内で、できることとできないことがあると(トランプ氏に)詳細に説明した」と述べるにとどまった。

各国の反応

英国「これはNATOの任務ではなく、これまでに想定されたこともない(16日、スターマー首相)」。

フランス「現況で海峡の封鎖解除作戦に参加することは決してない。(事態が沈静化すれば)他国と共に護衛の責任を引き受ける用意はある(17日、マクロン大統領)」。

ドイツ「強力な米海軍ができないことを、一部の欧州艦でどうしてできようか。これはわれわれの戦争ではない(16日、ピストリウス国防相)」。

オーストラリア「ホルムズ海峡に艦艇を派遣することはない。要請は受けておらず、われわれが貢献することでもない(16日、キング交通担当相)」。

欧州連合(EU)「(EUの軍事的)任務をホルムズ海峡まで拡大すべきかという議論を要求する加盟国はない。この戦争に積極的に参加したいとは誰も思っていない(16日、カラス外交安全保障上級代表=外相)」。

中国は外務省会見で明確な言及はない。

進歩党と祖国革新党、派兵反対

進歩党は16日、政府に対し「侵略戦争の『下請け業者』にはなりえない。政府はホルムズ派兵に応じてはならない」「政府は侵略戦争に参加しないと公式宣言しろ」と要求した。

同党は「ホルムズ派兵反対および戦争反対国会決議案」を推進するとし(20日、祖国革新党などと4党で提案。24日、「国会と市民による国民請願の訴え」へと発展)、「トランプの戦争に韓日の青年が巻き込まれてはならないとの声を韓日で共に上げよう」と訴え、「韓日青年派兵反対共同宣言」の準備を開始した。

23日には6・3地方選挙の同党候補者300余人がソウル光化門で、緊急記者会見を開催し、米国の派兵要求撤回と政府の派兵拒否を強く要求した。参加者は米大使館に抗議書を、青瓦台(大統領府)に要求書を伝達した。

祖国革新党も「不法侵略の共犯になってはならない」と論評し、軍艦派遣に反対した。

与党「共に民主党」では派兵反対の意思表示をする議員が数名出る中、党としては政府の立場が確定するまでは慎重論を維持する姿勢。

「国民の力」では、派兵に向けて国際協力と国際的義務を強調する声が出る中、安哲秀(アン・チョルス)議員など3議員が派兵賛成を主張した。

市民社会団体など「派兵要求を断固拒否しろ」

自主統一平和連帯と全国民衆行動など主要な市民社会団体は3月16日、ソウルの米大使館前で緊急記者会見を開催し、「派兵は憲法を蹂躙(じゅうりん)する侵略戦争に加担すること」だとし、米国の派兵要求を断固拒否することを政府に要求した。(※韓国憲法第5条①「大韓民国は国際平和の維持に努め侵略的戦争を否認する」)

各界代表150人は18日、ソウル光化門で、全国660団体と政党、個人1715人が賛同した「米国とイスラエルのイラン侵略事態に対する各界共同時局宣言文」を発表し、「不法不当な侵略戦争を糾弾する」「侵略をやめろ! 戦争をやめろ! 政府はホルムズ派兵要求を拒否しろ!」と声をあげた。

19日には市民社会団体と進歩党などが光化門で「侵略戦争糾弾・派兵反対平和行動」を展開した。

韓国政府は派遣要求を断固拒否すべき

米国はイランによるホルムズ海峡封鎖措置に対抗するために韓日など5カ国に軍艦派遣を要求した。自らが引き起こした不法不当な戦争に同盟国と同志国を一方的に引き込もうとする、まさに「米国第1主義」の傲慢(ごうまん)な押しつけである。

派遣に応じればイランの敵対国になるのは避けられない。国家の安保と国民の生命を危険に陥れる行為だ。当然、欧州主要国とカナダ、オーストラリアなどは派遣を拒否し米国と距離を置くなどの姿勢を示している。

日本は、高市首相が「平和をもたらせるのはドナルドだけ」と持ち上げながらイラン攻撃を事実上支持し、派兵は「法の範囲内」でとした。韓国は派遣要求に「熟考すべき問題」として明言を避けている。

しかし、横須賀米軍基地からイージス艦がすでに派遣されており、慶尚北道・星州の在韓米軍が保有する地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD、サード)で使用するミサイルが、近く中東へ移されると報じられている。韓日両政府の意向とは無関係に米国は同盟国を戦争に巻き込んでいる。ましてや韓国軍の戦時作戦統制権(指揮権)は米軍が掌握しているのだ。

ベネズエラ侵略と大統領夫妻の拉致、イラン侵略と軍艦派遣要請、これらは自らの目的と利益のためには国際法と国際秩序を平然と破壊する暴挙であり、なんでも思い通りになるとの傲慢(ごうまん)による横暴であると同時に、衰退する米国の「あがき」のあらわれでもある。米国の国際的孤立はますます深まるだろう。

国連憲章と国際法を蹂躙(じゅうりん)し、「力による平和」の名の下に軍事侵略を意のままに繰り広げるトランプ政権を、国際社会は決して許さない姿勢を厳然と示さなければならない。そして、韓国政府は「平和がすなわち国益」だとの認識を堅持し、トランプ政権の派遣要求を断固拒否すべきだ。イラク戦争への韓国軍派兵を教訓とし、戦争国家・米国の共犯となってはならない。(3月25日)

※写真-進歩党地方選候補者