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トランプ政権、ベネズエラ軍事侵略…国際社会は米国の暴挙を許すな

ベネズエラに軍事侵略

トランプ米大統領は1月3日、米軍が南米ベネズエラに対する大規模な軍事作戦を行ったと発表した。また、ベネズエラのマドゥロ大統領と妻を拘束し、国外(米国)に移送したとも明らかにした。

トランプ氏は記者会見で「米軍の軍事力と能力を示す最も衝撃的で効果的、強力な行動の一つだった」と強調した。

ベネズエラ政府は声明で「米国の軍事的侵略」を非難し、攻撃の狙いは石油や鉱物などの資源の略奪にあると主張した。声明の中でマドゥロ氏が全土に緊急事態を宣言し、軍を動員すると表明した。ベネズエラの最高裁判所は、ロドリゲス副大統領に代理の大統領に就くよう命じた。

また、トランプ氏はベネズエラに対して「安全で適切な政権移行が実現するまで、われわれが国を運営する」と表明し、ベネズエラを支配下に置き、統治のために「地上部隊投入も恐れない」と主張した。

さらにトランプ氏は4日、ロドリゲス副大統領(大統領代理)に対し「うまく振る舞わないなら、2度目の攻撃を行う」と脅迫し、ベネズエラの隣国コロンビアやメキシコに対しても軍事攻撃を行う可能性を示唆した。

米軍は昨年9月以降、麻薬流入阻止を掲げ、ベネズエラに近いカリブ海や東太平洋で「麻薬密輸船」に対する攻撃を繰り返し、これまでに100人以上を殺害してきた。同11月からは空母「ジェラルド・フォード」を展開し、軍事的圧力を強めてきた。

トランプ氏は同時に、マドゥロ氏に退陣を要求し、ベネズエラに対する地上攻撃を「間もなく始める」と繰り返し主張してきた。マドゥロ政権を「外国テロ組織」に指定したほか、ベネズエラ沖で少なくとも2隻の石油タンカーを拿捕(だほ)していた。

高まる国際的非難

今回の攻撃を巡っては、国連のグテレス事務総長が声明で「国際法が順守されていないことを強く懸念する」と表明。国連安全保障理事会は5日に緊急会合を開いた。欧州連合(EU)や中南米諸国に加え、米議会内でも国際法違反を指摘する声が上がっている。

韓国では進歩党と正義党が4日、ソウル光化門の米大使館前でそれぞれ記者会見を開催し、「米国のベネズエラ侵略と大統領拘束は世界平和と主権尊重に対する乱暴な蹂躙(じゅうりん)」などと糾弾の声をあげた。「平和主権行動 平和をこえて(旧キョレハナ)」は緊急リレー示威を開始した。

また、朝鮮外務省は4日、ベネズエラで強行された米国の覇権行為を、最も重大な形態の主権侵害、主権尊重と内政不干渉、領土保全を基本目的とする国連憲章と国際法に対する乱暴な違反として烙印(らくいん)を押すと強く糾弾。国際社会は、米国の常習化した主権侵害行為に当然な抗議と糾弾の声を高めるべきだと呼びかけた。

国際社会は米国の暴挙を許すな

トランプ政権によるベネズエラ軍事攻撃は軍事侵略であり明白な国際法違反だ。国連憲章第2条第4項は武力行使とその威嚇(いかく)の一般的禁止の原則を定めている。また、主権尊重と内政不干渉は国際法の基本原則。どのような理由があるにせよ、主権国家を軍事攻撃し指導者を拘束・連行する権利はどの国も持っていないし与えられていない。これは、国連憲章と国際法を踏みにじる侵略行為であり暴挙である。

昨年12月に公表された米国家安全保障戦略(NSS)は、「米国が世界秩序全体を下支えする時代は終わった」と述べ、西半球(南北米州)の支配確立を最重視する方針を示した。今回のベネズエラ侵略はこの戦略の一環として具体的に実行されたものといえる。

トランプ氏はベネズエラの政権「運営」と石油「確保」に対する意欲を露骨に示している。米国の意のままに動く「傀儡(かいらい)政権」をたてて、石油資源を奪取する考えだ。それなりに構築されてきた「法の支配」に基づく国際秩序を全面的に否定し、気に入らないものは排除し利益を独占する「力による支配」を目指す姿勢がより明確となった。これこそが「米国第1主義」だ。

米国は中国に対し「台湾に対する武力による現状変更は許さない」と主張してきた。しかし、「武力による現状変更」を強行したのはまさに米国であり、これは二重基準の極致でもある。

国際社会はこうした米国の暴挙を決して許してはならない。(1月7日)

※写真-進歩党の記者会見