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特別検察、尹錫悦の戒厳クーデター「反対勢力の排除、権力の独占と維持が目的」

特検、捜査結果を発表

前大統領・尹錫悦(ユン・ソンニョル)の「非常戒厳」宣言を巡る内乱事件を捜査してきた垠奭(チョ・ウンソク)特別検察官は12月15日、6カ月間の捜査の結果を発表した。

曺氏は尹錫悦らが権力を独占・維持する目的で非常戒厳を宣言した事実をつかんだとし、「信念によるものではなく、自分に逆らったり反対したりする人物を反国家勢力と決めつけ、非常戒厳を通じて排除しようとした事実を確認した」と述べた。

文在寅(ムン・ジェイン)元大統領に抜てきされ検事総長を務めた尹錫悦が与党「共に民主党」と対立し辞任した後、同党を「巨大議席を持って自由と法治を否定する勢力」とみなし、この認識が2022年の大統領選に当選してからも続いたと指摘した。

2022年11月25日に行われた当時の与党「国民の力」執行部との夕食会では、「(大統領には)非常大権がある。銃殺されることがあっても一掃する」と発言するなど、政治的敵対勢力を敵視したと説明した。

尹錫悦が大統領就任とともに執務室をソウル・竜山の国防部庁舎に移し、大統領公邸も同じ竜山区内の漢南洞にしたことで、大統領と軍が密着する環境が整ったと説明した。

金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官(当時)らと随時会い、2024年4月の国会議員総選挙のはるか前から非常戒厳を準備してきた事実をつかんだと明らかにした。

非常戒厳を宣言する名分をつくるために、正常でない軍事作戦で北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)の武力挑発を引き起こそうとしたものの、北朝鮮が軍事的に対応しなかったため失敗したことも捜査を通じて分かった。

曺氏は「尹錫悦らは軍を通じて武力で政治活動および国会の機能を停止させ、国会に代わる非常立法機構を通じて立法権と司法権を掌握した後、反対勢力を排除しようとした」とし、「国会で行われる政治活動について、内乱を画策する『反国家行為』『反国家勢力』と決めつけ、非常戒厳を宣言した」と指摘した。

また、非常戒厳宣言の理由は権力の独占と維持であるが、そのように決心した背景には妻と自身が裁判で有罪判決を受けることを回避する問題が含まれていると強調した。

尹錫悦・内乱勢力を断罪しよう

特別検察は180日にのぼる捜査の結果を発表した。特検は、尹錫悦が相当早い時期から非常戒厳を構想し準備してきたと結論付けた。その目的は、自らが主張するところの政治的反対勢力を武力で除去し、権力を独占・維持することであり、ここに妻、金建希(キム・ゴニ)の司法リスクも影響を与えていたというものだ。

特検は、尹錫悦が南北分断状況を利用して戒厳の名分をつくろうとしたことも明らかにした。意図的な軍事作戦で北朝鮮を挑発し軍事対応を誘発しようとしたものだ。まさに国民と国家に対する反逆であり、祖国と民族を破滅に追い込もうとする悪行の極致と言わざるを得ない。

尹錫悦の到底許されない国家犯罪が満天下に明らかになった。次は裁判だ。国会は23日、尹錫悦の内乱事件を専門に担当する裁判部の設置を盛り込んだ「内乱・外患・反乱犯罪などの刑事手続きに関する特例法案」を可決した。内乱首謀者・尹錫悦と内乱勢力を断罪し一掃しなければならない。そのためには、国民が常に主権者意識を持ちながら、一連の裁判をしっかりと見守り積極的に対応することが必要であり重要だ。

(12月24日)

※写真-捜査の結果を発表する曺垠奭特別検察官