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論評紹介

(論評紹介)「日本の首相の台湾に関する発言、東北アジアを揺るがす理由」(民プラス、11月18日)

日本の高市首相は台湾有事に自衛隊が軍事介入できるとの趣旨の発言をし、東北アジアの情勢は大きく揺れている。高市首相は7日、国会で現職の日本首相としては初めて「台湾有事」が、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に該当しうると明らかにした。

日本の首相の「台湾有事介入」発言が誤っている理由

日本の首相の発言は、国際法・憲法・歴史のすべての側面から相当に論難を抱えている。日本は国際法的に国連憲章第51条により個別的・集団的自衛権を保有するが、戦犯国として制定された平和憲法第9条のために、戦後長い間、集団的自衛権の行使自体が禁止されてきた。

2014年、安倍内閣が安保法制を改定し、「制限的集団自衛権」を持つようになるが、これはどこまでも自国と密接な国が攻撃を受け、日本の存立が脅かされ、国民の生命に明確な危険がある場合にだけ適用される非常に制限的なもの。

台湾は国連加盟国ではなく、日本と相互防衛条約も締結していないため、台湾有事での日本の軍事介入は国際法上の集団的自衛権の要件を充足できない。同時に、戦犯国である日本の平和憲法第9条が明示する戦争・武力行使の禁止という趣旨とも正面から衝突する。

さらに、日本は過去の侵略戦争の責任者である戦犯国であるために、周辺国の同意なしに軍事介入の可能性を示唆すること自体が歴史的にタブーである。こうした理由から、日本の首相の「台湾有事介入」発言は法的正当性のない危険な主張だと言える。

これに対し、中国政府は直ちに厳重な立場を明らかにした。中国外交部は今回の発言を「とんでもない挑発」と規定し、日本大使を呼んで厳重に抗議し、自国民に日本への旅行を控えるよう勧告までし、対応の水位を高めた。中国にとって台湾問題は核心的利益であり、「レッドライン」であるために、日本の公開的な軍事介入の示唆はそれ自体が非常に敏感な事案だ。

軍事大国化へと向かう日本:専守防衛から域外戦略へ

今回の発言の影響が大きい理由は、法的・歴史的正当性のない危険千万な主張であり、日本の軍事的行動基準を構造的に拡張させる機会になりうるためだ。台湾有事を「存立危機事態」と規定する場合、自衛隊の集団的自衛権行使の範囲は事実上、大きく広がり、朝鮮半島を含む東アジア全域で日本の域外における軍事介入の可能性が開かれることになる。

最近、日本は長距離打撃ミサイル、空母級戦略資産、宇宙・サイバー能力など事実上の「先制攻撃能力」に該当する戦力を急速に強化している。防衛費も2027年までに国内総生産(GDP)比2%(現在1.6%)に引き上げる計画。こうした軍事大国化の流れに沿いながら、日本の安保戦略は既存の「専守防衛」をこえて積極防衛、さらに域外戦略へと転換していることを示している。

もちろん、日本の国内政治の脈絡も無視できない。台湾海峡の緊張を「直接的な安保脅威」と規定するのは、平和憲法(憲法第9条)改定の名分を強化する効果がある。日本の保守政治圏は長らく、平和憲法が現実的脅威に対応できないと主張してきた。今回の台湾有事・存立危機事態発言は改憲論理を強化する基盤となる可能性が大きい。

こうした日本の安保政策の方向は、米国のインド太平洋戦略と緊密に連動している。米国は中国を軍事・経済的にけん制するために、台湾海峡の安定維持、同盟国の拡大と安保構造の再編、米日同盟の強化、韓米日協力の活性化などを推進している。米国は日本を対中国抑制の「前進基地」として活用し、日本の軍事的役割の拡大を継続的に要求してきた。

韓国の安保環境に及ぼす影響

結果的に、日本の軍事的役割拡大は東北アジアの軍備競争をさらに激化させると予想される。日中間の軍事的緊張が高まれば、周辺国もまた防衛強化の次元で国防費を増額せざるをえない。すでに韓国が米国から国防費増額の圧力を受けているように、周辺国の負担を加重させる要因となるだろう。

特に韓国の立場では、こうした流れは駐韓米軍の「戦略的柔軟性」論議に名分を提供する可能性がある。日本が台湾問題を事実上、自国の安保事案と規定するとすれば、米国は韓国にも、台湾海峡におけるより積極的な協力を要求する可能性が大きい。この過程で駐韓米軍の域外活動範囲の拡大が争点化されうる。これは韓中関係と韓米関係の間で、韓国がさらに困難な戦略的選択を強要される状況を招く可能性がある。

高市首相は「国家存立危機に沿った判断」だとしたが、日本の安保強化がむしろ東北アジア全体の不安定化を強める逆説的な状況を生み出している以上、論難は簡単におさまらないだろうとみられる。

原文

https://www.minplusnews.com/news/articleView.html?idxno=17001