情勢コーナー
トランプ政権への糾弾世論高まる…李政権に対米自主外交を求める
3500億ドル対米投資、協議再開
具潤哲(ク・ユンチョル)経済副首相兼企画財政部長官は訪米中の10月16日、記者団に対し、韓米関税交渉の最後の争点である3500億ドル(約52兆9000億円)の対米投資を巡り米側が先払いを求めていることについて、韓国政府としては、3500億ドルの先払いは韓国の外国為替市場の安定性を損ねる恐れがあるとの懸念を米側に伝えた。だが、トランプ大統領を説得できるかは不透明との認識を示した。
韓米は7月、米国が韓国に課す関税を25%から15%に引き下げ、韓国は総額3500億ドルの対米投資を行うことなどで大枠合意した。
最近、具体的な内容についての協議が再開。今月末のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた韓米首脳会談までに、最終的な結論が出るのではと憶測されている。
対米投資強要への糾弾世論高まる
韓米首脳会談を前に、トランプ政権による不当で一方的な対米投資の強要に対する糾弾の声が全国で各界から一斉にあがり、李在明(イ・ジェミョン)政権に国民主権政府として対米自主外交を展開するよう求める世論が高揚している。
市民社会の元老と各界人士は16日、ソウル香隣教会で記者会見「トランプ米政権の暴圧を拒否する」を開催し、「経済主権と尊厳を守る汎国民時局宣言」を通じて△韓国経済と国民の生活を破綻させる3500億ドル対米投資に反対する△トランプ政権は略奪的通商圧迫を即刻中止しろ△李在明政権は市民の力を信じ堂々と立ち向かえと主張。
同日、韓国外語大民主同門会はソウル光化門で「経済収奪阻止 主権守護」時局宣言記者会見を開催し、反トランプ闘争を宣言した。
自主統一平和連帯は17日、光化門の米大使館前で時局記者会見「韓国の経済・安保をつぶすトランプ糾弾! 経済収奪、戦争同盟の現代化を防ぎとめ主権を守ろう!」を開催し、「李在明・国民主権政府は自主的な韓米関係を構築するために、政権の運命をかけて国民とともに最後まで闘え」と求めた。
進歩大学生ネットなどの学生団体と全国女性連帯などの女性団体は20日、米大使館前でそれぞれ記者会見を開催。トランプ政権の3500億ドル対米投資・先払い要求を糾弾し、政府に「国益中心の外交で立ち向かえ」と声をあげた。すでに全国22大学で「3500億ドル対米投資反対」の大字報(大型の壁新聞)が登場している。
地方でもトランプ政権を糾弾し対米投資の中止を要求する時局宣言が続いている。
労働・市民社会団体と進歩政党で構成する「トランプの威嚇を阻止する共同行動」は18日、ソウル光化門で「NОトランプ汎市民大行進」を実施。集会と米大使館へのデモを行い、トランプ政権糾弾の声をあげた。民主労総のヤン・ギョンス委員長は「(APECを機に)訪韓するトランプ大統領に民主主義を守り抜いたわが国民の力を示そう」と強調し、進歩党のキム・ジェヨン常任代表は「APECを交渉期限にせず、政府が国民の要求どおり交渉できるよう力を集めよう」と訴えた。21日には光化門で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)罷免闘争以後では最大となる854団体による「対米投資強要するトランプを糾弾する! 対米投資全面再検討 各界時局宣言」(後掲)を発表する記者会見が開催された。その後、共同行動は25日午後2時まで100時間の時局ろう城に突入。25日には大規模な「NОトランプ汎市民大行進(2次)」がソウル(崇礼門)をはじめ全国で一斉に開催される。
李政権に対米自主外交を求める
トランプ政権が韓国政府に要求した3500億ドル対米投資の具体的な内容について、韓米両政府が首脳会談までに合意するのではとの憂慮が広がる中、全国でトランプ政権糾弾の怒りが沸き起こると共に、李政権に対する叱咤激励の声があがっている。国民主権政府として、対米従属ではなく対米自主の外交を推進するよう願う国民世論の発露だといえる。「光の革命」の主人公である市民は今こそ国民主権を発揮して李政権を声援すべきであり、政府は国民を信頼して堂々と交渉に臨むべきだ。「実用外交」の名の下に韓米関係を国民主権より優先することがあってはならない。(2025年10月22日)
資料-対米投資強要するトランプを糾弾する! 対米投資全面再検討 各界時局宣言(リンクをクリックすると資料ページへ移動します)
※写真-NОトランプ汎市民大行進(18日)



