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統一部長官、ドイツで「平和的2国家論」強調

鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官は10月3日、ドイツ・ザールブリュッケンで開催された「第35回ドイツ統一の日」記念式に政府代表として出席し演説。東西ドイツが相互承認により関係を発展させたことに言及した上で、「朝鮮半島における南北間の敵対的現実を克服し、平和に向けた現状変更の道へと進むために『敵対的2国家論』を『事実上、平和的2国家論』へと転換していく」と強調した。9月25日の記者会見では、北との関係について「事実上の二つの国、国際法的に二つの国家」との認識を示しながらも、永久的な分断を意味するものではないとしていた。
30日にはベルリン自由大学で開催された「2025朝鮮半島国際フォーラム」で基調演説。「朝鮮半島は『平和的2国家』と『交流、関係正常化、非核化(END)』を通じ、平和共存と共同成長のための平和を決断するとき」だと主張した。
29日にベルリンで開催された会見では「北は米国本土を打撃できる3カ国(※朝中ロ)の一つになってしまった」として、「冷静に認めるべきことは認めなければならない」と強調した。
一方、魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は23日の会見で、「政府は二つの国家論を支持せず、認めていない」と言及している。
政府が8月13日に発表した国政運営5カ年計画では、南北関係において南北基本協定の締結を推進すると明らかにした。
「2国家論」整理し平和統一へのプロセスを確立しよう
鄭氏と魏氏の異見が示すように、李政権は朝鮮が主張する「敵対する2国家論」についての立場が整理できていない。
南北基本合意書(1991年)前文「双方(南北)の関係が国と国との関係ではなく、統一を志向する過程で暫定的に形成される特殊関係」に対する認識は変わらないのか、南北基本合意書と南北基本協定はどこが違うのか、南北関係の最終目標は「平和共存」なのか「平和統一」なのかだ。
李政権が掲げる「(朝鮮の態度に関わらず)南北関係の改善と朝鮮半島の平和実現を進める」ことは支持すべき原則だが、「2国家論」に対する整理を踏まえながら、国民の総意を基に平和統一へのプロセスを確立することが求められている。ただ、「平和共存の固定化」は結局「永久分断」と変わるところがなく、認められない。これは前提として事前にくぎを刺しておかなければならない。
※写真-鄭東泳統一部長官
(2025年10月8日)