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情勢解説

罷免を承服しない内乱首謀者・尹錫悦…裁判所は再拘束しろ

尹錫悦、「内乱首謀罪」公判

昨年12月の「非常戒厳」宣言を巡り内乱首謀罪で起訴された前大統領の尹錫悦(ユン・ソンニョル)の初公判が4月14日、ソウル中央地裁で開かれた。

検察は、当時の国政状況に対する尹錫悦の認識をはじめ、非常戒厳を巡る事前の謀議と準備などに言及し、憲法秩序を乱す目的で暴動を企てたと指摘した。尹錫悦は「戒厳は国民に向けた平和的メッセージ」だと強弁し、起訴内容を全面否認した。

第2回公判は21日に開かれ、検察側証人として出廷した陸軍首都防衛司令部のチョ・ソンヒョン第1警備団長とキム・ヒョンギ第1特戦隊隊長への反対尋問が行われた。

尹側は、陸軍首都防衛司令官から国会に入り議員たちを引きずり出すよう指示を受けたとのチョ氏の証言を執拗に追及したが、チョ氏は「指示を受けたのは事実だ」と反論し、「軍事作戦にはあり得ないことだが、なぜそうしたのかはよくご存じだろう」と反問した。キム氏は尹錫悦の面前で「わたしは人に忠誠を誓わない。国家と国民を守れとした組織に忠誠を誓う」と明言し、暗に尹錫悦を批判した。

尹錫悦は戒厳を刃物に例えて、「刃物は、料理したり患者を手術することもできる一方、殺害したり殺人もできる」とし、「刃物を使ったからと無条件に殺人だとみなすことはできない」と詭弁を繰り広げた。

公判にあたっては、地下駐車場の使用、写真撮影の不許可(第2回は冒頭写真撮影を許可)、被告人席の配置(最前列ではなく第2列)など、朴槿恵(パク・クネ)と李明博(イ・ミョンバク)の場合にもなかった尹錫悦への特恵が指摘されている。

各党、大統領選に向け発進

 旧与党「国民の力」と第1野党「共に民主党」は15日、大統領選(6月3日投開票)の候補者を選ぶ党内予備選をスタートさせた。

国民の力では金文洙(キム・ムンス)前雇用労働部長官ら11人が候補登録し、共に民主党では李在明(イ・ジェミョン)前代表、金慶洙(キム・ギョンス)元慶尚南道知事、金東兗(キム・ドンヨン)京畿道知事の3人が立候補した。国民の力は5月3日、共に民主党は4月27日に最終確定する。

立候補がとりざたされる大統領権限代行の韓悳洙(ハン・ドクス)首相は明確な立場表明をしていないが、国民の力は党内候補ではないと線引きし、野党からは「選挙管理に専念すべき」と批判・けん制の声が出ている。

祖国革新党は、独自候補を出さず野党の有力候補を連帯支援する方針。進歩党は金在妍(キム・ジェヨン)常任代表を選出し、保守系の改革新党は李俊錫(イ・ジュンソク)前代表を確定した。

円卓会議、「第2次宣言」発表

共に民主党、祖国革新党、進歩党、基本所得党、社会民主党の5野党による連帯機構「内乱終息 民主憲政守護 新しい大韓民国 円卓会議」(円卓会議)は15日、「円卓会議は内乱の完全な終息と民主憲政守護、新しい大韓民国の建設のために次のように宣言する」として、6項目の合意内容からなる「第2次宣言」を発表した。

△大韓民国の至急で重大な課題が内乱終息と民主憲政守護という点について共同認識し、内乱勢力の再執権を阻止するために諸政党が連帯する△内乱終息のために内乱特検を実施し、出帆宣言(2月19日)で明らかにした「反憲法行為調査特別委員会」を設置する△民主憲政守護の多数連合を実現するための制度的基盤をつくる。そのために大統領選直後、院内交渉団体の要件緩和をまとめ、決選投票制を導入する△社会大改革、基本権強化、地方分権など国家の未来の課題を大統領選の公約として推進し、次期政府の国政課題として実践できるようにする△検察、監査院、防諜司など権力機関の改革を推進する△尹錫悦罷免で共にしたすべての民主憲政守護勢力が参与する第2期円卓会議の出帆と、新しい大韓民国を建設するために力を集める。

平和連帯、韓米「2プラス2」糾弾

韓悳洙首相は21日、経済安全保障戦略TF(タスクフォース)の会議を開催し、韓米両国の財務・通商担当相が参加する「2プラス2」の通商協議を米ワシントンで24日に行うと明らかにした。韓国からは崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官と安徳根(アン・ドックン)産業通商資源部長官が出席する。

これに対し、自主統一平和連帯(平和連帯)と全国民衆行動は22日、ソウル光化門の政府ソウル庁舎前で記者会見を開き、通商・安保におけるトランプ米政権の不当な圧迫を糾弾し、内乱共犯者の韓悳洙と崔相穆が繰り広げようとする売国交渉の中止と二人の辞退を求めた。

裁判所は尹錫悦を再拘束しろ

内乱首謀者・尹錫悦は、民主主義を踏みにじり憲政秩序を破壊しようとした戒厳クーデターについて国民への謝罪もなく、自らの反省もないどころか、憲法裁判所の罷免決定も承服していない。また、法廷での発言が示すように尹錫悦の詭弁は時間の経過と共に度をこすばかりで、言語道断の極致である。

不拘束状態の尹錫悦がもたらす害悪は深刻だ。罷免決定後も支持者の結集を促すかのようなメッセージを送り、「尹錫悦新党」を推進した弁護団との会食の様子を公開するなど、平然と政治活動を展開している。

裁判所は尹錫悦を即刻、再拘束しなければならない。もともと、前例のない法解釈で拘束を取り消したところに問題の所在がある。主要な内乱従事者が拘束裁判を受けているのに、首謀者が不拘束裁判を受ける不公正な状態が続いている。これでは裁判所に対する国民の信頼は揺らぐばかりだ。尹錫悦の再拘束と断罪を強く要求する。

円卓会議が第2次宣言を発表し、多党制と連合政治のための政治制度改革を実現することに合意した。内乱終息と内乱勢力の執権阻止のための連帯を制度的に保障すると同時に、現在の2党体制の弊害を克服する具体的な方向を提示したもので、全的に歓迎したい。

課題は言うまでもなく「尹錫悦罷免で共にしたすべての民主憲政守護勢力が参与する第2期円卓会議の出帆」と掲げたように、まずは広場の市民の結集体「内乱清算・社会大改革 非常行動」(注:「尹錫悦即刻退陣・社会大改革 非常行動」が4月8日に改称した)との強い連帯を実現することである。院内外を貫く広範で強力な民主連合勢力の構築が急務だ。(4月23日)

※写真-第2次宣言を発表した円卓会議