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情勢解説

尹錫悦弾劾訴追案可決、尹錫悦を罷免・逮捕・処罰しろ!

【2024年12月27日】

尹大統領の弾劾訴追案可決

韓国国会は12月14日の本会議で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する2回目となる弾劾訴追案を賛成多数で可決した。大統領の職務権限は同日停止され、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が大統領職を代行する。

 弾劾案は在籍議員(300)全員が採決に参加した中、賛成204、反対85、棄権3、無効8票で可決された。野党・無所属(192人)を除き、否決を党の方針と決めた与党「国民の力」から12人が賛成に回ったとみられる。

 野党側は尹大統領が宣布した非常戒厳令を「明白な憲法違反」だとし、国会に弾劾訴追案を提出した。

 憲法裁判所(憲裁)は憲法に基づき、弾劾訴追案の議決書を受け付けた日から180日以内に弾劾の可否を判断する。罷免が決まれば60日以内に大統領選を行う。憲裁裁判官の定員は9人で、3人は大法院長(最高裁長官)が指名し、3人は国会が選出して大統領が任命、3人は大統領が指名・任命する。現在、国会が選出する3人が欠員となっている。大統領の弾劾は裁判官6人以上が妥当と判断すれば罷免が決定する。

弾劾訴追案可決に対し、第1野党「共に民主党」の朴賛大(パク・チャンデ)院内代表は本会議後、記者団に「国民と民主主義の勝利」と評価した。国会前に200万人が結集するキャンドル行動を主導した「尹錫悦即刻退陣・社会大改革 非常行動(尹錫悦退陣行動)」は声明を通じて、「主権者とすべての国民の勝利」だと強調した(後掲)。韓統連は声明「尹錫悦弾劾訴追案可決! 逮捕・退陣を実現し社会大改革を進めよう!」を発表した(後掲)。

一方、尹錫悦は弾劾訴追案可決直後に「決してあきらめない」とする談話を発表した。

韓代行、米・日首脳と関係維持を再確認

韓代行は15日、バイデン米大統領と電話会談し、強固な韓米同盟を再確認した。19日には石破茂首相と電話会談し、両国関係発展のため引き続き協力することで一致した。

与党代表、辞任表明

国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は16日、国会で記者会見を開き、「最高委員の辞任により最高委員会が崩壊し、これ以上党代表として正常な任務遂行が不可能になった」として、辞任を表明した。韓氏は尹錫悦の弾劾訴追案が可決された後、代表職を続ける意向を示したが、党大会で選出された最高委員5人全員が辞意を表明し、韓東勲体制は解体されることになった。弾劾訴追案を巡って韓氏は立場を二転三転させるなどし、党内外から批判されていた。

同党は再び非常対策委員会体制に転換することになった。

韓代行、6法案に拒否権行使

韓代行は19日の臨時閣議で、コメの超過生産分の政府買い上げを義務付ける糧穀管理法改正案など国会で野党が単独で可決した6法案に拒否権を行使した。

 野党は先月28日、国会本会議で同6法案を可決。政府と与党はこれらの法案に反対する立場を示してきた。

 共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「韓代行の拒否権乱発で3権分立の破壊が持続している」と批判した。

尹錫悦、合同捜査本部の出頭要請を拒否

尹錫悦の内乱容疑などを捜査する合同捜査本部は20日、尹錫悦に2度目の出頭要請を行ったと発表した。同本部はこれに先立ち、18日に取り調べを受けるよう求める出頭要請書を送ったが、尹錫悦側は受け取りを拒否し、出頭要請に応じなかった。尹錫悦は憲裁が送付した書類の受領も継続して拒否している。

同捜査本部は警察庁国家捜査本部、独立機関の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)、国防部調査本部で構成。

警察庁国家捜査本部は20日、戒厳当時に開かれた閣議に出席した韓首相ら9人を被疑者または参考人として調べたと明らかにした。

非常行動、尹錫悦の罷免・処罰-韓悳洙の弾劾を要求

尹錫悦退陣行動は21日、ソウル光化門一帯で「尹錫悦即刻罷免・処罰! 社会大改革! 汎国民大行進」を主催し、30万人の参加者は「尹錫悦の12・3内乱事態はいまだ進行中」とし、「尹錫悦の即刻罷免と処罰、弾劾審判の早期実現」を要求した。

共に民主党など5野党の議員らが壇上に上がり、内乱首謀者・尹錫悦の罷免・処罰、内乱共犯・韓悳洙の即刻弾劾などを訴えた。

同行動は24日にソウル慶福宮駅一帯で「退陣要求クリスマスコンサート」を開催し、28日には光化門で汎国民大行進を再び実施する予定。

尹錫悦を罷免・逮捕・処罰しろ!

 尹錫悦に対する弾劾訴追案がついに可決された。国民主権を守り抜いた偉大な国民の勝利であり、連綿と続いた民主化運動の成果がもたらした民主主義の勝利である。

 しかし、内乱首謀者・尹錫悦と腹心の軍幹部、同調・加担した与党「国民の力」は、戒厳・内乱行為に対し何ら反省することなく、平然と開き直り、証拠隠滅と裁判遅延を画策している。韓代行は国政の安定を掲げながら、結局は拒否権行使を乱発し、尹錫悦路線を継承する本質を露呈した。閣僚は戒厳時の閣議での言動も問われており、韓代行は弾劾の対象である。

 戒厳・内乱の実態を迅速に徹底究明し、尹錫悦を罷免・逮捕・処罰し、同調・加担勢力を厳重処罰しなければならない。

 尹錫悦退陣行動はキャンドルを継続し、こうした戒厳・内乱勢力を完全に一掃する上で力を発揮すると共に、掲げる社会大改革の実現に向けて着実に前進しなければならない。

戒厳・内乱勢力の蠢動は続いている。同行動が主張するように「いまは手を緩めてはならない」。

(2024.12.23)

※写真-弾劾訴追案可決の知らせを聞き、歓喜する市民たち