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情勢解説

内乱首謀者の尹錫悦を弾劾・逮捕しろ! 共犯「国民の力」を解体しろ!

【2024年12月13日】

尹大統領「国民向け談話」発表、与党も弾劾賛成

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12月7日午前10時、国民に向けて談話を発表した。3日夜の非常戒厳令宣布に関して謝罪し、「わたしの任期を含め、今後の政局安定策はわが党(与党「国民の力」)に一任する」と表明。辞任ついては言及しなかった。

 尹大統領の国民向け談話発表後に、国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は国会で報道陣に対し、「大統領の正常な職務遂行は不可能で、早期退陣は不可避だ」と述べた。与党は5日に弾劾訴追案反対方針を決めたが、6日に賛成に転じた。非常戒厳令宣布と同時に尹大統領が主な政治家を「逮捕、収監しようとしていた」との情報を把握したためだと説明した。

 第1野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は記者会見を開き、「国民の目の高さにまったく合っておらず、国民の裏切られたという思いと怒りを増大させる発言」だと非難。「大統領の即時退陣もしくは弾劾による早期退陣以外に事態を解決する道はない」と主張した。他の野党も「唯一の収拾方案は弾劾」と強調した。

与党議員退場で弾劾廃案に、国会前100万人が糾弾

 国会は7日午後5時、本会議を開き、6野党が提出した尹大統領弾劾訴追案の採決を行った。在籍議員(300人)のうち195人が採決に参加。定足数不足で採決が成立せず、弾劾案は自動的に廃案となった。

弾劾案は在籍議員の3分の2である200人以上が賛成すれば可決される。採決には野党・無所属議員192人のほか、与党「国民の力」から安哲秀(アン・チョルス)議員、金睿智(キム・イェジ)議員、金相旭(キム・サンウク)議員の3人が参加した。

国民の力は本会議前、弾劾案を否決させるとの方針を決めた。

弾劾案では「戒厳に必要ないかなる要件も満たしていないにもかかわらず、憲法と法律に違反し非常戒厳を発令」したことや、「国民主権主義と権力分立の原則、政党活動の自由、表現の自由に対する侵害」などを弾劾訴追の理由にあげた。

この日は全国各地で尹大統領の弾劾・退陣を求める集会が開催された。国会前では100万人の参加者が本会議の推移を見守り、弾劾案の廃案が決まると糾弾の声を国会に向けて一斉にあげた。

韓統連は東京、大阪、神戸で集中宣伝活動を展開し弾劾・退陣を訴えた。(「報告記事」参照)

共に民主党、弾劾を再推進

共に民主党の李代表は本会議後、「内乱行為の責任を問い必ず弾劾する」と主張。同党は11日に改めて弾劾訴追案を提出する方針を示した。(14日の本会議で採決。否決されれば以後、毎週提出)

国民の力は本会議後、「国政のまひと憲政中断の悲劇を繰り返すことはできなかった」とする所属議員一同を名義にした声明を出した。

与党・首相で政権運営、国会議長「違憲」と批判

国民の力の韓代表は8日、記者会見を開き、尹大統領が今後、「外交を含む国政に関与しない」とする談話を発表した。韓代表は、韓悳洙(ハン・ドクス)首相と定期的に意見交換し、「国政に空白が生じないようにする」と強調。与党と首相が共に今後の政権運営を担う考えを示した。

韓代表と共に会見に臨んだ韓首相は「韓米同盟を堅固に維持し、韓米日の安保協力を強く維持していくことが重要課題だ」と語った。

これに対し、禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は会見で「大統領の権限を首相と与党が共同で行使しようというのは明白な違憲だ」と指摘。「国民主権と憲法を無視した極めて傲慢な行為だ」と批判した。その上で、大統領の職務を即刻停止させ、混乱収拾に向け与野党が協議するよう訴えた。

共に民主党は「大統領の職務停止のみが憲法に定められている手続きであり、そのほかの主張は違憲であり内乱を持続させる行為だ」と主張した。

検察、尹大統領「内乱首謀者」、金前国防長官逮捕

ソウル中央地裁は10日、検察の請求を受けて金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防長官の逮捕状を発付した。検察は金氏が内乱の首謀者ではない重要任務の従事者だったと位置付け、「尹氏と共謀して内乱を起こした疑いがある」と逮捕状に明記した。

刑法は憲法秩序を乱す目的で暴動を起こした場合に内乱罪を適用すると規定。首謀者と重要任務従事者、同調者の3段階に分けて処罰し、首謀者には死刑または無期懲役、無期禁錮を科すと定める。検察は金氏が尹大統領と共に、戒厳司令官を担った朴安洙(パク・アンス)陸軍参謀総長、呂寅兄(ヨ・ヨニョン)前軍防諜司令官らと共謀したとみる。

金氏らの指示で戒厳軍は国会に進入し、非常戒厳を解除する決議が成立するのを防ごうとしたとされる。検察は憲法で規定された国会の権限行使を不可能にし、憲法秩序を乱したと判断している。

10日の国会審議では尹大統領が直接作戦の状況を確認していたとの証言が出た。国会への軍投入を指揮した郭種根(カク・ジョングン)陸軍特殊戦司令官は「部隊がヘリで向かっている状況で大統領から電話があり、どこに向かっているか聞かれた。国会に移動中と答えた」と説明した。

憲法は、内乱罪について、大統領が在職中に訴追を免れる「不訴追特権」の例外と規定する。

法務部は9日、尹大統領の出国禁止処分を決めた。

一方、国会は10日、独立した特別検察官に非常戒厳を巡る内乱事件を捜査させる法案を可決した。野党提出の法案だが、与党「国民の力」から23人が賛成した。

「尹錫悦退陣行動」発足、国会前で毎日キャンドル

12月11日、市民社会団体の全国的連帯組織である「尹錫悦即刻退陣・社会大改革 非常行動(尹錫悦退陣行動)」の発足が記者会見を通じ発表された。尹錫悦退陣運動本部と拒否権拒否行動が9日に提案し、1549団体が参与した。

尹錫悦退陣行動は△尹錫悦内乱罪捜査および処罰要求活動△内乱共犯および内乱同調の「国民の力」解体要求活動△国民主権および社会大改革のための活動△尹錫悦退陣全国ネットワーク、国際連帯事業などを展開するとした。

11日から毎日、尹錫悦即刻退陣、弾劾のための集会と行進を主催し、弾劾訴追案再採決の14日には国会前で200万のキャンドルを予告。尹錫悦退陣まで毎週土曜日、大規模な尹錫悦即刻退陣集会を全国主要都市で同時開催する予定。

内乱首謀者・尹錫悦を弾劾・逮捕しろ

与党は結局、尹大統領に対する弾劾訴追案を廃案へと追い込んだ。国権をびん乱した尹大統領をその座から引き下ろし憲法の権威を再び取り戻す道が弾劾である。国民を無視し国民の願いを踏みにじる国民の力は、内乱の共犯であり、いまや存在する理由も価値もない反国民政党であることを自ら証明した。同党は一刻も早く解体されなければならない。

また、同党の韓代表は尹大統領の「秩序ある退陣」を掲げて、以後は韓首相と国政運営をするという。完全な危機に陥った大統領を救うポーズを示しながら、すきに乗じて自らの権力を強化し、次期政権獲得への準備と布石を進め、国民は眼中にない。しかし、こうした韓代表の政治言動には何ら法的根拠も政治的正当性もない。禹議長が指摘したように、これは「国民主権と憲法を無視する傲慢な行為」でしかない。

戒厳令宣布後、尹大統領が戒厳軍に対し「国会に進入し議員らを引きずり出せ」との指示を直接下したことが、郭司令官の国会証言で判明した。証言どおりならば、尹大統領は国会状況を把握しながら、非常戒厳令解除決議案を物理力で防げと戒厳軍に直接指示したことになる。これは今回の事態が「内乱」すなわち「国権びん乱が目的の暴動」に該当し、首謀者は尹大統領であることを明らかにしている。また、戒厳軍が政治家らの拘束を準備していたとの証言も出ている。内乱の総指揮者が尹大統領であることがますます明確になっている。犯罪の重大性からしても緊急逮捕の対象だ。尹大統領を即刻逮捕しなければならない。

尹錫悦退陣行動が結成された。民意に沿って行動する野党と共に尹大統領を弾劾し退陣へと追い込む力強い汎国民戦線がつくられた。

国民主権を否定する大統領、政権、政党、政治家は存在できない。内乱首謀者の尹錫悦を弾劾・逮捕しろ! 共犯「国民の力」を解体しろ!

※写真-「尹錫悦退陣行動」発足記者会見