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朝鮮のロシア「派兵」、「朝ロは否定せず」?…尹政権は戦争挑発・介入をやめろ

【2024年11月8日】

韓国・ウクライナの朝鮮「派兵」情報

韓国の国家情報院は10月18日、北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)がロシア軍を支援するために派兵を決定し、約1500人がロシア極東で訓練していると発表。23日には、新たに1500人がロシアに到着し、派兵規模は年末までに1万人に達するとの見通しを国会に報告した。

ウクライナ国防省情報総局は10月24日、ロシアを支援するため訓練を受けた最初の朝鮮部隊が「既に前線に着いた」と発表した。ウクライナが越境作戦を行うロシア西部クルスク州で23日に朝鮮将兵の存在が確認されたという。

尹大統領、殺傷兵器供給を検討

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は10月24日、ウクライナへの兵器支援に関連し、「殺傷兵器を直接供給しないという大原則を持っていたが、北の軍の活動次第ではより柔軟に検討できる」とし、北朝鮮がロシアとの協力に基づき特殊軍をウクライナ戦争に派遣するなら、「段階別にウクライナを支援し、また朝鮮半島の安全保障に必要な措置を検討してから施行していく」と述べた。

29日にはウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談し、「今後の戦場の状況を綿密に観察し、実効的な段階的対応措置を取っていく」と述べた。

朝鮮・ロシアの主張

朝鮮中央通信によると、朝鮮外務省のキム・ジョンギュ次官(ロシア担当)は10月25日、ロシアを支援するために朝鮮が派兵したと韓国など国際社会が指摘していることについて、「そのようなことがあれば、それは国際法の規範に合致する行動だと考える」とし、「それを不法なことにしたい勢力は明らかに存在すると思う」と述べた。

ロシアのプーチン大統領は24日の記者会見で、衛星写真を根拠に質問した米NBCテレビの記者に対し、「画像は重要だ。画像があれば、何かを反映しているはずだ」と述べた。同時に、ウクライナ危機をエスカレートさせたのは西側諸国だと指摘。「ロシアはNATОのどの加盟国から誰が来ているか、どのような活動を行っているのか把握している」と述べた。

その上で、朝鮮と6月に締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」の相互防衛に関する第4条に言及。「この条項の枠内で何を行うかはロシア次第だ」と述べた。

国連安全保障理事会(安保理)は30日、国連本部で会合を開いた。

朝鮮のキム・ソン国連大使は、ウクライナ-ロシア戦争開始後、米国と西側諸国はウクライナに戦車や戦闘機など多様な軍事装備の供給を拡大してきたとし、「重要な点はウクライナが6月にロシア領土に向けてミサイル攻撃を始めたこと」と述べた。

続けて、朝鮮とロシアは政治、経済、軍事、文化を含むあらゆる分野で関係を発展させる権利があり、朝ロ条約によって国際法上の規範に完全に沿っているとしながら、「ロシアの主権と安保利益が米国と西側の危険な試みによって脅かされているなら、われわれはそれに対応する必要がある」と主張した。

ロシアのネベンジャ国連大使は、派兵について「全てうそ」としながら「西側(の批判)は国際平和と安全保障を脅かす本当に重要な問題から注意をそらそうとする試み」と強調した。

また、米国と同盟国が「北大西洋条約機構(NATO)はウクライナのゼレンスキー政権に軍事力と情報を提供する権利があるが、ロシアの同盟国には同じことをする権利がない」という論理を強要しているとして、派兵の正当性を主張した。

韓米日、「派兵」中止を要求

韓米日3カ国の安全保障担当高官は10月25日、米ワシントンで会談し共同声明を発表。北朝鮮がロシアに軍部隊を派遣したことに「重大な懸念」を表明、ロシアのウクライナ侵攻の影響をインド太平洋地域へと拡大させるものだと非難し、派兵中止を求めた。会談には、シン・ウォンシク国家安保室長、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)、秋葉剛男国家安全保障局長が出席した。

キム・ヨンヒョン国防部長官と米国のオースティン国防長官は30日、米国防総省で開いた定例安保協議(SCM)終了後に共同声明を発表し、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの北朝鮮の派兵を強く糾弾した。31日には米ワシントンでチョ・テヨル外交部長官とブリンケン米国務長官を加えた外交・国防閣僚協議(2プラス2)を開催し、「持続する不法な武器移転、北の兵力のロシア派兵など、ロ朝間の軍事協力強化を最も強い言葉で糾弾した」とする内容の共同声明を採択した。

米大統領・NATOの反応

NATOのルッテ事務総長は10月28日、北朝鮮軍の部隊がロシア西部のクルスク州に配置されたと明らかにした。NATO本部で、韓国政府代表団から北朝鮮のロシアへの派兵動向について説明を受けた後、記者団に述べた。

 バイデン米大統領は29日、北朝鮮の派兵を「懸念している」と表明。北朝鮮兵がウクライナに侵入した場合、ウクライナ軍は攻撃すべきだとの考えを示した。

李代表、韓国介入に反対

第一野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は10月28日の党最高委員会議で、北朝鮮がウクライナに侵攻するロシアに兵士を派遣したことを巡り、「政府が参観団という名前で(現地に人員を)送る考えのようだが、決してやってはいけない」と批判した。

李氏は「北の派兵を機に朝鮮半島での戦争を画策しているのではないかという疑惑が生じているが、今の行動をみればまったく根拠のない憶測ではなさそうだ」と指摘。ウクライナに武器を供与する問題に関しても「他国の戦争に攻撃武器を提供すれば戦争に介入することではないか」として、「あり得ない」と強調した。

北朝鮮に対しては、「派兵は本当に望ましくないことだ。強く非難するしかなく、今でも撤回することを望む」と求めた。

 

尹政権は戦争挑発・介入をやめろ

朝鮮のロシア「派兵」については、ウクライナと韓国が情報をキャッチボールしながら拡散させる中、当初は「情報確認中」としていた米国とNATOが後に加勢し、情報がメディアを通じて既成事実化された。朝鮮外務次官とプーチン大統領の発言は「派兵を否定しなかった」との解説付きで、つまり「派兵を肯定した」との言外のニュアンスでメディアに流された。

しかし、それらの発言は現時点での派兵を肯定したものではない。発言で強調されているのは、包括的戦略パートナーシップ条約4条(相互防衛)と、「国際法の規範に合致する行動」(おそらく国連憲章51条=集団的自衛権を指す)であり、あわせて朝鮮とロシアの関係をき損しようとする勢力が存在し活動しているとの指摘である。さらに、キム大使が「重要な点はウクライナが6月にロシア領土に向けてミサイル攻撃を始めたこと」と指摘し、4条と国際法の規範が発動される条件が生まれていることを示唆した。パートナーシップ条約について言えば、ロシア下院が24日に批准した同条約は、上院の批准を経て大統領が署名し、条約当事者が批准書を交換すれば効力が発生する。つまり、パートナーシップ条約はまだ正式に発効していない。

一方、尹政権は前のめりと言ってよいほど、ウクライナ支援のために米国を軸とするNATOの先兵の役割を率先して果たしている。尹大統領はウクライナに殺傷兵器を提供することも検討するとし、ウクライナ-ロシア戦争に積極的に介入し、朝鮮に打撃を与えようとする意思を露骨に示している。与党「国民の力」のハン・ギホ議員はシン・ウォンシク国家安保室長に「派兵された北朝鮮軍を攻撃し被害を与えて、これを対北心理戦に活用しよう」と提案、安保室長はこれに応えたという事実が政権内の雰囲気を伝える。

しかし、李在明代表が指摘したように、他国の戦争に攻撃武器を提供すれば戦争に介入することになるのは明らか。韓国がウクライナ-ロシア戦争に介入する義務も必要も全くなく、介入すればいたずらに戦争を拡大するだけである。戦争助長から戦争挑発・介入へとますますエスカレートする尹政権。いますぐにでも退陣させなければならない。

※写真-ゼレンスキー大統領と電話会談する尹錫悦大統領