情勢コーナー
情勢短信
【2024年10月25日】
憲法裁判所研究機関「大統領の拒否権行使は慎重であるべき」
憲法裁判所の研究機関である憲法裁判所研究院のチャン・ヒョフン責任研究官は最近、「大統領拒否権の歴史と行使事由」と題する研究報告書を発表した。チャン氏は報告書で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の拒否権行使を分析し、拒否権行使に関する法改正の必要性と実際上の困難に触れた上で、「拒否権の乱用を防ぐためには、大統領自身が法案に関する国会での議論を尊重し、拒否権を行使することに慎重であるべきだ」とし、「憲法上の理由で法案が否決された場合には、違反の規定や憲法上の原則を明確に提示し法的に説明することが望ましい。政策上の理由で否決された場合には、法案の問題点を整然と提示すべきだ」と提言した。
再・補欠選挙、与野党共に2カ所ずつ獲得+ソウル教育監は民主進歩系
10月16日、4カ所の自治体(釜山市金井区、仁川市江華郡、全羅南道霊光郡、同道谷城郡)の首長とソウル市教育監(教育庁トップ)を選ぶ再・補欠選挙が実施された。即日開票され、金井区と江華郡は与党「国民の力」の候補が、 霊光郡と谷城郡は第一野党「共に民主党」の候補が当選した。ソウル市教育監には前任者に続き民主進歩系候補が当選した。今回の再・補欠選挙では、△霊光郡選挙で、進歩党が地域に根差した農民運動家を候補として擁立し、党は地域に深く入り全面的に候補をバックアップし、その結果、自党候補が一時は世論調査のトップに立つまでに至った進歩党の闘いぶり△ソウル市教育監選挙で、民主進歩陣営の一本化候補が競争主義教育とニューライト教育を主張する保守一本化候補に勝利したことに注目したい。一方、与野各党が地盤で勝利したことをあげて、「番狂わせはなかった」(聯合ニュース)とする評価が出ているが、これは政治が安定していることを決して意味するものではない。4月総選挙で厳しく審判されたにもかかわらず、変わるどころかますます暴走する尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に対し、国民は「再・補欠選挙で政権審判する」(民主党)ような次元ではもうないと見ている。
※写真-ソウル市教育監に当選したチョン・グンシク候補
国家保安法廃止国民行動、月例行動を開始
国家保安法廃止国民行動は10月17日午前11時30分から、ソウル鍾路区の徳寿宮・石壁通りで、「平和と人権のために、決別する決心 国家保安法廃止 月例行動」を実施した。第1回の月例行動は、良心囚後援会と民弁統一委員会、進歩大学生ネット、民族統一愛国青年会(民愛青)からの発言と詩の朗読、歌手のミニコンサートと進行。国家保安法廃止国民行動のパク・ソグン共同代表が「国家保安法の被害者は全国民」「国家保安法はすぐさま廃止されて当然」と強調し、「現政権の終末が目前にある。(国家保安法と)決別する日のために力を集めよう」と訴えた。参加者は「国家保安法を廃止しよう」と声をあげて月例行動を終えた。月例行動は毎月第2木曜日12時から同所で行われる予定。
※写真-月例行動を展開する「国家保安法廃止国民行動」
梨泰院惨事、当時のソウル警察トップに無罪判決
159人が死亡したソウル・梨泰院惨事で、ソウル西部地裁は10月17日、事前の安全対策を怠り事故発生後も適切な対応を取らなかったなどとして、業務上過失致死傷の罪に問われた当時のソウル警察庁トップ(警察署長)、キム・グァンホ被告に無罪判決を言い渡した。キム被告は同事故を巡り起訴された当時の警察幹部のなかで最も階級が高い。地裁は警察などの対応が国民の期待には及ばなかったと認めながらも、「検察が提出した証拠だけで、事故発生や被害拡大と関連して被告人の業務上の過失や因果関係が厳格に証明されたとみなすのは難しい」と判断した。災害を予防し市民の安全を保障する責任の範囲をあまりにも狭く解釈したものだ。裁判を傍聴していた遺族らは無罪判決が言い渡されると声を上げて抗議した。同地裁は9月30日、パク・ヒヨン龍山区長にも無罪判決を下しており、行政と治安の主要な責任者が捜査と裁判の過程でも処罰を免れ、一線の警察にだけ責任を負わせる結果となった。本格的に始動した梨泰院惨事特別調査委員会の活動に期待がかけられている。