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情勢解説

軍事緊張と戦争危機をもたらす韓米日の合同軍事演習・軍事同盟に反対する

【2024年9月27日】

4カ国協力枠組み「クアッド」首脳会議

米国、日本、オーストラリア、インド4カ国の協力枠組み「QUAD(クアッド)」の首脳会議が9月21日、米東部デラウェア州ウィルミントン近郊で開催され、共同声明「ウィルミントン宣言」を発表した。

声明では、中国の名指しを避けつつ「力または威圧による現状変更を試みる行動に強く反対する」とし、インド太平洋地域の船舶動向を合同監視するなど、海洋安全保障の連携強化で一致した。

北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)の核兵器の追求と相次ぐ弾道ミサイル発射を糾弾するとともに、「朝鮮半島の完全な非核化」を再確認。北朝鮮に対し、国連安全保障理事会の決議に伴うあらゆる義務を守り、追加挑発を自粛して実質的な対話に乗り出すよう求めた。4カ国首脳は「北朝鮮との軍事協力を強化している国」に対する懸念を表明し、ロシアとの協力強化をけん制した。

会議にはバイデン米大統領、岸田文雄首相、アルバニージー豪首相、モディ印首相が出席した。

バイデン氏は会議で「4カ国はかつてないほど戦略的に連携している」と述べた。

米日首脳会談が会議前にバイデン氏の私邸で開催された。

韓米日外相会談

韓米日3カ国の外相は23日、国連総会に合わせて米ニューヨークで会談し、米国と日本の政権が交代しても緊密な連携を継続することで一致した。また、北朝鮮の挑発と脅威に断固として対応するため、3カ国が安全保障で協力する重要性を改めて確認した。協力の制度化のために3カ国首脳会談の年内開催の推進と韓米日事務局の設立発表に合意した。

趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官は会談で、「北のいかなる挑発にも緊密に協力し、断固として対応する」との姿勢を強調。ブリンケン米国務長官は「米日は政治的な転換期を迎えているが、3カ国協力はそのような変化と関係なく3カ国の未来にとって重要」だとして、「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田首相のビジョンと決断力、政治的な勇気が3カ国協力を強化させた主な理由」と強調した。上川陽子外相は3カ国の戦略的な協力がいつにも増して重要になっているとし、北朝鮮への対応を含むさまざまな分野で協力を強化する考えを示した。

3カ国外相会談が開催されるのは2月以来となる。

韓日国防担当高官会談

 金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官は11日、ソウル市内のホテルで開かれた「ソウル安保対話」に合わせ、鬼木誠防衛副大臣と会談した。両氏は未来志向の国防交流の推進に対する意見を交換し、韓日や韓米日の安全保障協力強化が重要であるとの認識で一致した。

金氏は「北の核・ミサイルが高度化し、ロシアと北の軍事協力が強化されている厳しい時期において、韓日及び韓米日の緊密な協力は必須」と強調した。鬼木氏は韓日、韓米日の安保協力が重要な時期という認識について同意し、韓日の国防交流が積極的に推進されることに期待を示した。

防衛省の政務三役(防衛大臣、副大臣、政務官)が訪韓したのは2015年の中谷元・防衛相(当時)以来9年ぶり。

「韓米日軍事同盟の構築」に反対する

岸田首相は訪韓(9月6日、尹錫悦大統領と会談)に続いて訪米。バイデン大統領と会談しクアッド首脳会議に参加した。10月1日に退陣する見通しの首相としては異例ともいえるあわただしい外交は、朝中ロを念頭にしながら、米・日の新政権登場後も、キャンプデービッド合意「韓米日3カ国軍事協力の強化⇒韓米日軍事同盟の構築」を維持し、「自由で開かれたインド太平洋の実現」の名の下にクアッド米日豪印4カ国の協力をさらに深化させようとする米国の意向に沿い、日本政府が旗振り役を引き受けた(もしくは「引き受けさせられた」)ものである。当然、岸田氏には退陣後の次期政権へ「外交成果」として継承を図る思惑があるだろう。

韓米日3カ国の外相も米・日の政権が交代しても緊密な連携を継続することで一致。さらに、ブリンケン氏は韓日首脳会談の結果も踏まえて韓日首脳が3カ国協力を強化したと持ち上げた。実際、韓日国防担当高官会議が示すように、韓日間の協力は軍事関係でも進んでいる。韓米合意に基づいた米国の核兵器による韓国への拡大抑止策も着々と実動化が進んでいる。6月に初実施された韓米日3カ国合同軍事演習「フリーダムエッジ」は定例化と強化が決定している。

朝鮮半島をこえて東アジアさらにはインド太平洋にまで軍事緊張と戦争危機をもたらす韓米日の合同軍事演習・軍事同盟に断固反対する。

※写真-韓米日外相会談。右から趙兌烈外交部長官、アントニー・ブリンケン国務長官、上川陽子外相