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尹大統領「国政ブリーフィング」開催…民意を無視し現実とかけ離れた認識を露呈
【2024年9月13日】
尹大統領「国政ブリーフィング」開催
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は8月29日にソウル竜山の大統領室で、尹政権が進める「4+1(年金・医療・教育・労働+少子化対策)」改革の報告およびメディアとの質疑応答からなる「国政ブリーフィング(国政に関する記者会見)」を開催した。
不振を極め民生を破たんさせている経済状況については「確実に回復している」とし、医大定員増で医療界の反発を招き混乱状態の医療については「非常診療体制は円滑」だと、現実とまったくかけ離れた認識を示した。
大統領による圧力が取りざたされる海兵隊員殉職事件については「聴聞会で外圧がないことが明らかになった」と否定的態度を示し、検察がキム・ゴニ夫人のブランドバッグ授受に関して特恵(訪問)調査を実施したことについては「何の問題もない」と開き直った。
独立記念館長の人事に関連しては「(館長に任命されたニューライト人士の)キム・ヒョンソク氏とは面識がない」、さらに「ニューライトはよく知らない」と強弁。反労働・労組嫌悪に加えてニューライト史観を展開し物議を醸したキム・ムンス雇用労働部長官の人事については「人事は国家に対する忠誠心と職務能力、この二つを見て決める」と原則論を持ち出して押し通した。「光復節」演説で言及した「反国家勢力」については「スパイ活動をしたり、国家機密を流出させたり、北の政権に追従しながら、韓国のアイデンティティーを全面的に否定したりする人々を指す」と平然と説明。
韓米日首脳会談(昨年8月、キャンプデービッド)で確認した3カ国協力体制は「(米日の新政権が発足して)指導者の変更があっても変わらない」と強調した。
野党「どの国の大統領?」
尹大統領の発言に対し野党は「財政も福祉も外交も安保も最悪なのに、大統領一人で違う国に住んでいるのではと思えるほどだ」(「共に民主党」)、「大統領の惨たんたる認識、これこそ国家非常事態」(進歩党)、「現実とかけ離れた内容があまりにも多い。第二の『長ねぎ事件(※1)』」(改革新党)と厳しく批判した。
尹大統領、国会開会式を欠席
第22代国会の開会式が9月2日、開催されたが、尹大統領は出席しなかった。現職大統領が国会の開会式に出席しなかったのは第6共和国発足後初めて。
大統領室関係者は大統領の欠席について「野党による弾劾と聴聞会が乱発され、『戒厳説(※2)』が飛び交い、大統領への抗議が予想される非正常な国会の開会式に出席するのは簡単ではない」として理由を国会のせいにした。
禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は開会式で、「国会を尊重せずに国政運営の成果を出すことはできない」とし、「国会の声に耳を傾けることが政府が成功する道」と述べ、暗に尹大統領を批判した。
尹政権には退陣しかない
予想されたとはいえ、民意を無視し独善とごう慢に満ちた尹大統領の姿勢が余すところなくあらわれた今回の国政ブリーフィング。尹大統領は「手ごたえ」を感じたのか、メディアや国民との意思疎通のために、こうしたブリーフィングを定期的に実施するという。しかし、総選挙で民意を集めた野党が主導する国会を軽視し、結局は国民を無視していることをあからさまに示した。尹大統領に期待するものは何もなく、尹政権には退陣しかないことが明らかになっただけのブリーフィングであった。
※1 尹大統領は市場視察で長ねぎ価格を正しく把握しないまま自身の民生政策を称賛し、国民から厳しい批判を浴びた。
※2 第一野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表と与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は9月1日、国会で会談し、民生問題に関する両党の共通公約協議機構を運営することで合意した。会談の中で李代表は「最近、戒厳令(が発令される)という話が何度も出ている」「戒厳の解除を国会が要求することを防ぐため、戒厳宣言と同時に国会議員を逮捕・拘禁する計画を立てたという話もある」などと言及した。これに対し大統領室の高官は「戒厳令発令説は話にならない政治攻勢で、あり得ない」と一蹴した。一方、尹大統領は△軍と警察の最高責任者を親尹人士で固め△頻繁に「反国家勢力」に言及し△戦争の危機を助長していることから、「戒厳説」には信ぴょう性があり警戒すべきだとの声が出ている。
※写真ー国政ブリーフィングで発言する尹錫悦大統領