情勢コーナー

情勢解説

韓日首脳会談、「韓日・韓米日協力の強化」確認…野党・市民社会、対日屈辱外交を糾弾

【2024年9月13日】

韓日首脳会談、開催

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は9月6日、ソウルの大統領室庁舎で退任を前に訪韓した岸田文雄首相と会談した。午後3時半すぎに始まった首脳会談は少人数会合と拡大会合をあわせて約1時間40分行われた。両首脳の会談は今回が12回目で、今年に入って3回目。

金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長が会談内容を記者会見で伝えた。

両首脳は核問題を含め北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)に対応するための韓日・韓米日間の協力が重要だと改めて確認し、北朝鮮がロシアを後ろ盾とした挑発をできないよう、冷静な対応態勢を維持することを申し合わせた。

岸田首相は、尹大統領が8・15光復節に発表した南北統一構想「統一ドクトリン」への支持を改めて表明し、尹大統領はこれに謝意を示した。

歴史問題を巡っては岸田首相が、1998年の韓日パートナーシップ宣言をはじめとする歴代内閣の歴史認識を日本政府が継承していると改めて表明。日本植民地時代の徴用(強制労働)問題について「心が痛む」と言及した。「佐渡島の金山」のユネスコ世界文化遺産への搭載については首脳間で言及はなかった。

尹大統領は会談の冒頭で、韓日・韓米日の協力進展のために、自身と岸田首相が築いてきた協力の前向きなモメンタム(勢い)を維持することが重要だとの考えを示した。尹大統領は、さらに明るい未来に向かう歩みを続けられるよう、双方が前向きな姿勢で共に努力していくことを期待すると述べた。

岸田首相は未来に向けて韓国と協力していくことがとても重要だと応じ、両国間の緊密な連携が地域の平和と安定に欠かせないと強調した。

両者は、次期首相に誰がなっても両国関係の重要性に変わりはないとし、来年に両国の国交正常化60周年を迎えるのを前に、尹政権発足後から続く関係改善の流れを維持すべきだとの考えで一致した。

野党・市民社会団体、対日屈辱外交を糾弾

第一野党「共に民主党」のハン・ミンス報道担当は7日、記者会見で「岸田首相から歴史問題に関する誠意ある謝罪の言葉はついになかった」「し烈な外交戦を知らないアマチュア大統領の外交は、カモにされる外交、屈辱外交になってしまった」と批判し、冷厳な外交の現実を直視すべきと忠告した。

進歩党のチョン・ヘギョン議員は5日、記者会見で「容認できない首脳会談」だとし、「尹大統領は『佐渡島の金山』の件で、強制動員の歴史を消去したことを感謝されようと岸田首相を呼んだのか」と皮肉った。

韓日歴史正義平和行動と自主統一平和連帯、「日本の放射能汚染水海洋投棄阻止共同行動」は6日、大統領室庁舎近隣で記者会見「親日売国 尹錫悦を糾弾する! 歴史歪曲・独島領有権主張 岸田を糾弾する!」を開催し、「尹政権の対日外交は『親日売国』だ」「岸田首相の訪韓で、尹大統領がまたどのような屈辱的合意をするのか、市民社会は非常に憂慮している」とし、岸田首相の訪韓、韓日首脳会談の開催を糾弾した。また、5日には光化門広場でリレーデモ、6日夕にはキャンドル集会を開催し抗議の声をあげた。進歩系青年学生団体は6日、ソウル龍山駅広場で緊急記者会見と糾弾パフォーマンスを展開した。

対日屈辱外交糾弾、尹政権は退陣しろ

今回の韓日首脳会談は、昨年8月のキャンプデービッド合意に基づく「韓米日軍事同盟の構築」と、そのために欠かせない「韓日軍事同盟の構築」を、米日新政権の誕生に影響されずにさらに進展させることを韓日間で確認するために設定された。韓米日3カ国首脳はキャンプデービッド会談1周年を迎えて、合意を再確認する共同声明を発表している。

今回、「浮島丸事件」の犠牲者名簿(乗船者名簿)の一部が韓国政府に伝達されたが、佐渡島の金山に関して両首脳からの言及は一切なかった。歴史問題について岸田首相は私見だと強調しながら、「過去に多くの韓国人が大変なつらい経験をしたことに心が痛む」と述べたが、これは謝罪でもなく日本政府の立場を示したものでもない。そして、この言葉を尹大統領はそのまま受け入れた。

韓日両政府は過去の歴史問題を正しく解決するのではなく、「未来志向」の名の下に歴史問題の抹消を図り、来年の「国交正常化60周年」を契機に、「新しい韓日・日韓関係」を樹立しようと想定している。

親日事大売国の尹政権。退陣しかないことがますます明らかになった。

※写真ー首脳会談前に握手する尹錫悦大統領と岸田首相