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「佐渡島の金山」世界遺産登録…韓国、日本「強制労働はない」に同意…尹政権の対日屈辱外交糾弾!

「佐渡島の金山」世界遺産登録

インドで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は7月27日、「佐渡島の金山」(新潟県佐渡市)の世界文化遺産への登録を韓国を含む全会一致で決定した。

佐渡島の金山を巡っては、アジア太平洋戦争中に朝鮮半島出身者も働いていたことから、韓国側は「強制労働の現場だ」として日本政府に抗議するなどしてきた。世界遺産委は日本に対し、「鉱業採掘が行われたすべての時期を通じた歴史を説明する施設を整えること」などを勧告していた。

日本政府代表は登録決定後、「金山におけるすべての労働者、特に朝鮮半島出身労働者を誠実に記憶に留め、韓国と協議しながら展示施設を強化すべく努力していく」とする声明を読み上げた。

これに対し、韓国代表は「未来志向の韓日関係という視点から世界遺産委の決議を尊重する。全体の歴史を示すという日本の言葉を信頼し履行を期待する」と述べた。

韓国国会が登録に反対

 韓国国会は25日の本会議で、日本政府に対し、佐渡島の金山の世界遺産登録推進の撤回と、世界文化遺産に登録済みの「明治日本の産業革命遺産」(長崎など8県)を巡るユネスコ勧告の履行を要求する決議案を採択した。決議案は出席議員225人全員(在籍300人)が賛成して可決された。

佐渡島の金山で労働を強いられた韓国人被害者の遺族らが、世界遺産委員会の21の委員国に朝鮮半島出身者が同地で強制労働の被害を受けた事実を記録することを求める嘆願書を送った。被害者を支援する市民団体「民族問題研究所」が26日、明らかにした。

第一野党「共に民主党」は27日、佐渡島の金山の世界遺産登録を受け、日本政府が動員の「強制性」を認めなかったことを指摘。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が「日本の歴史歪曲に同調した」と批判した。

日本メディア「韓国は『強制労働はない』に同意」

読売新聞は28日、「『佐渡島の金山』の世界文化遺産登録を巡り、日韓両政府朝鮮半島出身者を含む労働者に関し、現地の展示施設で『強制労働』に関する文言を使用しない一方、当時の暮らしぶりなどを説明することで事前に折り合った」と報じ、「日韓は国交正常化60年を来年に控え、関係改善が進んでおり、両政府関係者には新たな火種を抱えたくないとの思惑が働いたとみられる」と補足した。

同紙は「韓国は当初、佐渡島の金山は『戦時中、朝鮮半島出身者が強制労働させられた被害現場だ』と反発し、対応を求めていた」と明らかにした。しかし「日本は水面下の交渉で、強制労働の文言を使わない代わりに、現地の施設で常設展示を行い、戦時中に朝鮮半島出身者が約1500人いたことや労働環境の過酷さを紹介する案などを打診し、韓国が最終的に受け入れた」と報じた。

韓国、報道は「事実無根」と否定

韓国外交部は28日夕方、読売新聞の報道は「まったくの事実無根だ」と明らかにした。これに先立ち、外交部は記者団に「日本政府は、これまで世界遺産委員会で採択されたすべての関連決定とそれに関する日本の約束を念頭に置き、今後も韓国との緊密な協議のもとで、解釈と展示戦略および施設について引き続き改善するよう努力していく」という日本側代表の発言を参考にするよう述べ、その後、事実無根だと明言した。 

共に民主党のカン・ユジョン院内報道担当は同日の記者会見で「日本による植民地統治期に朝鮮人が強制労働に動員された悲劇的な歴史の現場(佐渡島の金山)が、軍艦島に続き、ふたたび世界的な名所として脚光を浴びることになった」と非難した。

市民社会団体「韓日歴史正義平和行動」は31日、外交部前で「尹錫悦政権の対日屈従外交糾弾 記者会見」を開催した。参加者は、尹政権の反人権的で反歴史的な売国的行為を強く批判し、外交部の謝罪と強制動員の真実究明を要求する抗議書簡を外交部に伝達した。

韓国、「強制性」巡る協議は行わない

韓日は佐渡島の金山の世界遺産登録をめぐる交渉の中で、佐渡市が運営する相川郷土博物館で強制労働に関する展示を行うことで合意。展示は7月28日に始まった。展示では朝鮮半島出身者の強制労働に関し、朝鮮半島で「募集」「官あっせん」「徴用」が導入され、朝鮮総督府が関与したことが明記された。しかし「強制」が含まれた用語は使われておらず、強制労働があったことが示されていないと指摘されている。

これに関して外交部当局者は8月1日、同展示に「強制性」が示されていないとの指摘について、日本側と展示の内容に関する協議は行わない方針を示した。同部の李在雄(イ・ジェウン)報道官は7月30日の定例会見で、「(展示の)内容を見て補完する部分があるか、追加で日本と協議する事案があるか確認する」と述べていた。

尹政権の対日屈辱外交を糾弾する

尹政権は発足以後、韓米日軍事協力の強化のために、韓日関係の改善を主導的に進めながら、歴史問題で関係を悪化させてはならないとの絶対方針の下、今度は「佐渡島の金山」世界遺産登録を、「未来志向の韓日関係という視点から世界遺産委の決議を尊重する」「全体の歴史を示すという日本の言葉を信頼し履行を期待する」と苦しい理由を付けて、日本の主張「強制労働はない」に同意し、世界遺産として認定した。

郷土博物館の展示内容に強制労働の趣旨を込めることで反対世論を鎮静化しようとしたが、日本政府の意向に任せた展示に正しく反映されるはずもなく、外交部は指摘を受けても協議はしないと「開き直り」ともいえる姿勢を示している。そもそも外交部当局者は登録過程で「強制性」が抜けたことについて、「強制性の表現問題はすでに2015年(朝鮮人強制動員の被害があったいわゆる『軍艦島』などが世界遺産に登録された際)に整理された。表現問題について(今回は)日本と協議していない」としており、日本政府関係者は朝鮮人労働者の展示などについて「(強制労働には該当しないという)日本政府の従来の立場を変えるものではない」と述べている。韓日間で「未来志向」の名の下に歴史問題が完全に封じられている。

韓米日軍事同盟の構築と歩調を揃える尹政権の対日屈辱外交。徹底して糾弾すると共に、こうした対日姿勢を平然と継続する尹政権の退陣を求めなければならない。

※写真-「韓日歴史正義平和行動」が尹政権に抗議し記者会見