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韓米日安保協力覚書(MOC)を締結…「朝中ロ対応」三角同盟の出帆

「韓米日3カ国軍事同盟」の構築が急速度に進展している。7月28日の3カ国国防担当相による「安保協力覚書」の締結は、軍事同盟の対象、地域、目的などを具体的に決定し、韓米日軍事同盟を事実上、出帆させたといえる。民プラスから解説記事(7月29日)を紹介する(一部省略・補足)。

7月28日、東京に集まった韓米日国防担当相は「3カ国安保協力フレームワーク(TSCF)」についての「協力覚書(MОC)」に署名し、即時発効したと発表した。韓米日軍事同盟に合意した昨年のキャンプデービッド宣言と同様に、こうして国会の審査や同意手続きを省略したまま韓米日軍事同盟が出帆した。

3カ国安保協力フレームワーク協力覚書「朝中ロ対応の韓米日同盟出帆」

ではこの協力覚書のどの部分から韓米日軍事同盟の出帆だと評価するのか。覚書の具体的内容は公開されていないので、細部内容は米国防総省ホームページに掲載された「記者会見声明」と韓国国防部の報道資料を土台に類推するほかない。

核心は次の「記者会見声明」の一文だ。「TSCFは高位級政策協議、情報共有、3カ国訓練、国防交流協力を含む国防当局間の3カ国安保協力を制度化し、朝鮮半島、インド太平洋地域およびそれをこえる地域の平和と安定に寄与する」

これは、3カ国は高位級政策協議など国防当局間の3カ国安保協力を制度化することに合意し、安保協力の対象地域を「朝鮮半島、インド太平洋地域およびそれをこえる地域」としたということ。朝鮮半島地域は「朝鮮の脅威」、インド太平洋地域は「中国の脅威」、それをこえる地域は「ロシアおよびイランの脅威」を想定すると解釈すればよい。

このことは韓国国防部の報道資料でも確認される。報道資料には、3カ国国防長官は「インド太平洋水域におけるあらゆる一方的現状変更に強く反対する点を再確認した」とある。これは3カ国の軍事協力が中国を対象にしていることを示す。また3カ国長官は「3カ国の相互運用性増進を目標とするフリーダムエッジ」を高く評価した。韓国国防部は「相互運用性」と表現したが、米国防総省の声明に「相互作戦運用性」と表記されたこの用語は同盟国間の軍事協力を指す用語である。

キャンプデービッド宣言がそうであったように、安保脅威の具体的な対象と軍事協力の細部内容(地域および分野、目標など)が明示されていれば、それがまさに同盟だ。したがって「3カ国安保協力フレームワーク」は韓米日軍事協力が同盟であることを意味し、さらに協力覚書が署名され発効したということは同盟が出帆したことを意味する。

「統合」の終止符はどのように打たれるか

米国のこうした軍事動向を「統合」とうキーワードで説明してきた。

第一に、北大西洋条約機構(NATO)とアジア同盟の「統合」。NATOとインド太平洋地域における米国の同盟国(IP4、韓・日・豪・ニュージーランド)を「統合」する試みが2022年から本格化している。

第二に、米日同盟と韓米同盟の「統合」。プノンペンの韓米日首脳会談(2022年)から始まり、キャンプデービッドの韓米日首脳会談(2023年)で完成した韓米日軍事同盟は東京の韓米日国防長官会談(2024年)を通じて出帆した。7月に実施された韓米日軍事演習「フリーダムエッジ」は韓米日軍事同盟の出帆を前にした「祝砲」だったのかもしれない。

第三に、米日作戦の「統合」。日本は自衛隊の作戦を統合指揮する「統合作戦司令部」を新設し、駐日米軍の司令部も自衛隊との作戦協力を強化するために「統合軍司令部」へと昇格される。ここには米国の核戦力と自衛隊戦力が「統合」される効果もある。

第四に、米国の核戦力と韓国の在来式戦力の「統合」。6月に韓米核協議グループが内容を取りまとめ、7月にワシントンで韓米首脳が追認した「核作戦指針」がそれだ。

最後は韓日の「統合」。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になってからすでに「韓日統合」の障害物は克服され、昨年から「韓日の統合」が模索されている。昨年、韓米日によるミサイル警報および探知追跡訓練、対潜水艦訓練、ミサイル防御訓練が実施された。残るは軍需物資に関する協力すなわち「軍需支援協定=物品役務相互提供協定(ACSA)」だ。昨年8月、尹錫悦が光復節慶祝辞で国連軍司令部の後方基地(在日米軍基地)7か所の役割を強調したこともACSA締結のための整地作業だったわけだ。

「韓日統合」は事実上の韓日同盟。今回の協力覚書が韓日同盟へと進む法的ステップの意味を持つとすれば、韓日ACSAは軍事的ステップとなるだろう。

※写真-「安保協力覚書」に署名する韓米日国防担当相

原文 http://www.minplusnews.com/news/articleView.html?idxno=15173