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NATO首脳会議、グローバル軍事同盟を志向…韓米日軍事同盟化・合同軍事演習に反対する
【2024年7月26日】
「NATO共同声明」朝ロ関係強化を非難
北大西洋条約機構(NATO)の創設75周年を迎え米ワシントンで行われたNATO首脳会議は7月10日(現地時間)、共同声明を発表し「われわれは多数の国連安全保障理事会決議に違反する北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)の(ロシアへの)砲弾と弾道ミサイル輸出を強く糾弾し、北朝鮮がロシアとの関係を深めていることについて大きな懸念を持って注目している」との立場を示した。
首脳らは、北朝鮮とイランが弾薬や無人航空機(UAV)の提供など直接的な軍事支援によってロシアのウクライナ侵略に加勢しているとしながら、このような行為が「欧州・大西洋の安保に深刻な影響を及ぼし、国際不拡散体制を弱化させる」と非難した。
また、イランがロシアに弾道ミサイルと関連技術を移転すれば「重大な緊張を高める」行為になると警告した。
首脳らは中国をロシアのウクライナ戦争を助ける「決定的な支援者」と規定し、中国の支援によりロシアが隣国や欧州・大西洋の安保に与える脅威が増加したと指摘。中国にロシアの戦争努力に対するあらゆる物質的・政治的支援を中止するよう求めた。さらに、中国の野望と強圧的な政策がNATOの利益と安保、価値に反し続けているとの見方を示した。首脳らは中国が核兵器を急速に拡充させているとして、核兵器の危険を減らすための対話に参加し、宇宙とサイバー空間において責任ある行動を取るよう促した。
NATO首脳らは翌日、インド太平洋地域のパートナー国(IP4、韓国・日本・オーストラリア・ニュージーランド)と欧州連合(EU)の首脳と会議を行い、「共通の安保課題と協力分野」について認識を共有した。また、IP4の首脳会談では北朝鮮とロシアの軍事協力を非難する共同声明を採択した。
韓国「NATO共同声明」歓迎
韓国外交部のイム・スソク報道官は11日の定例会見で、NATOが共同声明で北朝鮮とロシアの軍事協力強化に懸念を示したことについて「歓迎の意」を示した。
イム氏は「ロシアと北の違法な武器取り引きや軍事・経済協力強化に対するNATO首脳の一致した声は欧州とアジアの安全保障が結びついているという認識によるもので、ロ朝に対する強力なメッセージになったと評価する」と述べた。また、「ロシアと北が違法な協力に対する国際社会の深刻な懸念や断固として対応するという意志を厳重に受け止め、関連活動を直ちに中止することを促す」と強調した。
尹大統領「インド太平洋軍司令部」訪問
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は9日(現地時間)、ハワイ州ホノルルのインド太平洋軍司令部を訪問した。韓国大統領では29年ぶり。
尹大統領は同司令部で「北の核・ミサイル能力の高度化と持続的な挑発が朝鮮半島と域内の安保を損ねている」とし、「いつにも増して確固たる連合防衛体制が緊要であり、そのためのインド太平洋軍司令部の役割は重い」と述べた。
韓国大統領室は、尹大統領がNATO首脳会議に先立ち、太平洋地域の軍事・安保戦略の要衝地であるインド太平洋軍司令部を訪問して韓米同盟の強力な結束と力を誇示したと説明した。
韓日首脳会談
尹大統領は10日(現地時間)、米ワシントンで岸田文雄首相と会談し、「岸田首相との堅固な信頼に基づき、両国が緊密な意思疎通を続け協力の成果を積み重ねていることをうれしく思っている」と述べた。両首脳はNATO首脳会議に出席するためワシントンを訪問した。
尹大統領は北朝鮮とロシアが「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結し、軍事的・経済的接近を加速させる動きは、東アジアはもちろん、世界の安全保障に「深刻な懸念」をもたらしていると指摘。「日増しに厳しさを増す国際安全保障状況の中で、両国が3年連続でIP4としてNATO首脳会議に参加することは戦略的意義が非常に大きい」と評価した。また、「両国がNATO加盟国と緊密に連携しながら北大西洋の安全保障と北東アジアの安全保障が決して切り離せないことを友好国と一体となった対応で確認していきたい」と強調した。
韓米首脳会談、「核指針」採択
尹大統領とバイデン米大統領は11日(現地時間)、ワシントンで会談し、対北朝鮮の核抑止に関する新たな指針「韓米朝鮮半島核抑止核作戦指針に関する共同声明(韓米核指針)」を採択した。両氏は共同声明で「北朝鮮による韓国へのいかなる核攻撃も即刻、圧倒的、決定的な対応に直面する」と警告した。
韓米核指針は、韓米両政府が昨年に設置した「核協議グループ(NCG)」で策定された。米軍の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の3本柱で構成される核戦力の常時配置や展開、韓米両軍の統合運用で、北朝鮮の核攻撃を抑止すると定めた。
韓国大統領府の金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長は「米国の核兵器に朝鮮半島の任務が特別に割り当てられる」と説明。「米国の核資産(戦力)に北朝鮮に対する核抑止と対応という任務が文書で明示されたのは初めて」と強調した。
尹大統領は16日の閣議で、韓米核指針について、韓国は北朝鮮によるいかなる核脅威にも機敏かつ効果的に対応できる体制を構築することになったと説明し、「韓米同盟は名実ともに核を基盤とする同盟に格上げされた」と述べた。
朝鮮「NATO共同宣言」糾弾・「核指針」反発
朝鮮中央通信は13日、NATO首脳会議の共同宣言について「最も強力に糾弾する」とする外務省報道官談話を伝えた。報道官は宣言が「世界規模での新冷戦と軍事的対立をあおっている」と批判した。談話は12日付け。
共同宣言は、北朝鮮の軍事支援がロシアのウクライナ侵攻を助長していると指摘し、朝ロの軍事協力の深まりに懸念を表明。これに対し報道官は「米国が追求するNATOの『グローバル化』戦略が、世界的な戦争の危機を招きかねない」と警告した。
朝鮮国防省報道官も13日に談話を出し、韓米首脳がNATO首脳会議に合わせた会談で、対北朝鮮の核抑止に関する新たな指針を承認したことに反発。「敵対国家がこれ以上の挑発的で不安定をもたらす危険な行動を中止するよう警告する」とし、「無視する場合の代償は、誰も想像ができないだろう」と主張した。
グローバル軍事同盟・合同軍事演習に反対する
今回のNATO首脳会議の共同声明は、ロシア・朝鮮・イラン・中国の4カ国を平和の破壊国とみなした。ウクライナ戦争において、ロシアに対する朝鮮・イラン・中国の直間接的な軍事支援を遮断することにまずは目的を置いているが、特に中国の動向を重要視し最大限の警戒を示している点を見過ごしてはならない。
このような認識の下にNATO首脳会議が進める戦略方針は、NATOと米国のインド太平洋同盟国(IP4、韓国・日本・オーストラリア・ニュージーランド、※ニュージーランドは米国・オーストラリアとの三カ国軍事同盟ANZUSから一時脱退)の軍事協力の強化であり、欧州・大西洋とインド太平洋を結ぶ軍事同盟ネットワークを構築することにより、「平和の破壊国」に対抗し、さらにはこれを抑え込み、世界中で起こるあらゆる紛争に対処(介入)するところにある。
朝鮮国連軍司令部の活性化による軍事ネットワークがこれに重なれば、まさに米国が主導する全地球的規模のグローバル軍事同盟ネットワークが完成すると言っても過言ではない。
IP4は2022年からNATO首脳会議に参加するようになったことを考慮すると、米国とNATOはこの方針の具体化を着々と進めてきたといえる。韓米日・韓日の軍事協力の強化=韓米日・韓日軍事同盟化はこうした脈絡の中に位置づけられるし、尹大統領のインド太平洋軍司令部訪問は、韓国が率先してインド太平洋同盟軍の構築に向けた旗振り役をしたということだ。
韓米首脳会談では韓米核指針を採択した。朝鮮の核兵器に対する抑止と対応のために、米国の核資産(核兵器)を有事・平時を問わず朝鮮半島での任務に割り当てることが初めて文書で確約された。尹大統領は「韓米同盟は名実ともに核を基盤とする同盟に格上げされた」と満足感を示すだけで、その危険性については触れない。8月に予定される韓米合同軍事演習「ウルチ・フリーダム・シールド」では韓米核指針に基づいて核戦争演習が行われる。ほとんど常時に近い頻度で米国の核兵器が韓国に配備されれば、朝鮮半島および東アジアの軍事緊張は核戦争も想定される次元へと進展する危険性をはらむ。
8月10日にソウルで開かれる「戦争助長、韓米日・韓日軍事同盟推進 尹錫悦政権退陣! 8.15汎国民大会」では、韓米日・韓日軍事同盟化と核演習を含む合同軍事演習に徹底して反対の声を上げなければならない。
※写真-ハワイのインド太平洋軍司令部を訪問した尹錫悦大統領