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米原子力空母も参加し韓米日合同海上訓練…韓国国防部「合同地上訓練の計画ない」
【2024年1月26日】
韓米日が韓国南方の公海で合同海上訓練
韓国軍の合同参謀本部は1月17日、韓米の両海軍と日本の海上自衛隊が15日から3日間、韓国南部・済州島南方の公海上で合同海上訓練を実施したと発表した。米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」が昨年11月以来、約2カ月ぶりに朝鮮半島近海を訪れ、訓練に参加した。
訓練には韓国海軍からイージス駆逐艦「世宗大王」など2隻、米海軍から第1空母打撃群所属のカール・ビンソンをはじめとする5隻、日本海上自衛隊からイージス護衛艦「こんごう」など2隻がそれぞれ参加した。
韓米日の合同海上訓練は通常5隻程度で実施され、9隻による訓練は異例といえる。
合同参謀本部によると、3カ国は北の核・ミサイルの脅威や水中からの脅威などに対し抑止力と対処力の向上を図ると共に、海洋安全保障に関しても大量破壊兵器の海上輸送の阻止など、ルールに基づく国際秩序の構築に向けた3カ国協力の増進に重点を置いたという。
韓国軍制服組トップの金明秀(キム・ミョンス)合同参謀本部議長は訓練初日にカール・ビンソンを訪問。韓米日の海上訓練を「日増しに高度化する北の核・ミサイル脅威を抑止、対応する上で核心的に寄与してきた」と評価し、今後も3カ国の複数年訓練計画に従って韓米日の連携体制を強化していくと述べた。
韓米日は昨年11月の国防相会談で、複数年にわたる3カ国訓練を今年1月から実施することで一致している。合同参謀本部は同訓練計画の策定後、今年初めて実施する海上訓練としながら「北の核・ミサイル対応能力を高めると同時に、北の脅威に対する共同対応力と意志を示すことに意味がある」と説明した。
一方、朝鮮国防省は19日、韓米日の合同海上訓練を「国家の安全を深刻に脅かす行為」と非難しながら、水中核兵器体系「ヘイル(津波)5―23」の重要実験を朝鮮半島東の東海で実施したと明らかにした。朝鮮中央通信を通じ報道官談話を発表した。これに関し韓国の大統領室関係者は22日までに聯合ニュースに対し、「現在までの分析を総合すると、北の主張は誇張で捏造(ねつぞう)された可能性に重きを置いている」と明らかにした。
韓国国防部、韓米日合同地上訓練「計画していない」
韓国国防部のチョン・ハギュ報道官は18日の定例記者会見で、韓米日3カ国が地上での合同訓練を推進しているとの報道について、「地上での訓練は計画していない」と明らかにした。
「韓国の領土では訓練を計画していないという意味なのか」との質問に対しては、「どこであれそのような訓練はないと承知している」と答えた。
韓米日合同海上訓練に関連して、海上自衛隊の艦艇が旭日旗(自衛艦旗)を掲げて今回の訓練に参加したことを韓国側が認めたかどうかに関しては、「公海上で行う訓練に自国の海軍(海上自衛隊)を象徴する旗を掲げることは当然なことで、慣例的に通用することであり、われわれがそれを容認するしないという問題ではない」と述べた。
定例化し拡大する韓米日合同訓練
昨年8月のキャンプデービッドにおける韓米日3カ国首脳の合意以後、韓米日の合同軍事演習は海上だけでなく空中でも実施され、複数年にわたる具体的な計画に沿って定例化と拡大が図られている。海上、空中とくれば次は地上での合同訓練かと関心が寄せられるのは事実。国防部はそのような計画はないと否定しているが、この件に関しては尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が大統領候補時に物議を醸した自衛隊の「朝鮮半島進入許容」発言を想起せざるを得ない。旭日旗掲揚の件も徐々に対日アレルギーを減じようとする意図からかとの疑念も湧く。
朝鮮半島で米戦略資産を動員した合同軍事演習の展開は、軍事緊張を高め戦争の危機を煽る極めて危険な行為だ。すべての合同軍事演習の中止を強く求める。