情勢コーナー

情勢解説

尹大統領の拒否権を拒否…4野党・全国非常行動が一斉に糾弾

【2024年1月12日】

尹大統領が特別検察官任命法案に拒否権行使

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は1月5日、夫人の金建希(キム・ゴニ)氏が輸入車ディーラー「ドイツ・モーターズ」の株価操作事件に関与した疑惑と、ソウル郊外の京畿道城南市・大庄洞開発事業を巡る賄賂疑惑をそれぞれ捜査するため特別検察官を任命する法案(※「金建希特検」「(大庄洞)50億クラブ特検」と呼ばれる)に対し、再議要求権(拒否権)を行使した。

 国会は先月28日の本会議で、過半数の議席を握る第一野党「共に民主党」と野党「正義党」などの主導で法案を可決していた。尹大統領が拒否権を行使したことから、政府は法案を国会に差し戻して再議を要求することになる。 再議決には在籍議員の過半数の出席および出席議員の3分の2以上の賛成が必要。

4野党が国会で合同糾弾大会

「金建希・50億クラブ特検」国会通過を主導した4野党(「共に民主党」、正義党、進歩党、基本所得党)は1月5日、国会本館前で「金建希・50億クラブ特検拒否糾弾大会」を共同開催し、尹錫悦大統領の特検拒否に「国民が審判するだろう」と声をそろえて糾弾した。国会での再議決推進を予告した4野党は「国民の力」に向け「国民の側に立つならば賛成票を投じろ」と要求した。

4野党・全国非常行動が光化門で緊急行動

尹錫悦政権退陣運動本部、全国非常時局会議、全国民衆行動、キャンドル行動、市民社会連帯会議など82の市民社会団体で12月12日に構成された「拒否権を拒否する全国非常行動(全国非常行動)」は1月6日、ソウル光化門で「拒否権乱発 尹錫悦拒否 緊急行動」集会・デモ行進を開催した。緊急行動には4野党の院内代表と所属議員らも参加し、「拒否権乱発 尹錫悦政権を糾弾する」などのスローガンを叫んだ。

尹大統領の拒否権行使を糾弾する

憲法に規定された大統領の法案拒否権は、法案が憲法に合致しているかどうかなど再議が必要な場合に、大統領が国会に要求する権利。野党への対抗のために政治的に利用したりするものではなく、ましてや家族の「防御」に駆り出すものでないことはいうまでもない。

尹大統領は今回を含めて計4回・8本の法案に拒否権を行使し、数々の改革立法を葬り特検も拒否した。拒否権の乱発は国会の立法権を極度に侵害し、三権分立という民主主義の基本を揺るがすものだ。国民の怒りは広がり、退陣戦線をこえる規模の反尹戦線ともいえる全国非常行動が立ち上がっている。尹大統領の拒否権行使を糾弾し、尹政権を総選挙で厳しく審判しなければならない。