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韓米「核作戦演習」計画―朝鮮ICBM発射…韓米は「核戦争の危機」を醸成するな!

【2023年12月22日】

韓米「NCG」開催

韓国と米国は米ワシントンで12月15日(現地時間)、拡大抑止に関する協議体「核協議グループ(NCG)」の2回目会合を開いた。

会合に出席した金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長は会合後、韓国記者団に対し、韓米両国が来年半ばまでに核戦略の企画、運用に関するガイドラインを設け、これに基づいて来年6月ごろに拡大抑止体制を構築し終えることで一致したと伝えた。

ガイドラインについて金氏は、「北の核脅威をどう抑止し、対応するかに関する総体的な指針」とし、来年の韓米合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(UFS、自由の盾)」など両国の合同訓練で「核作戦シナリオを含めた訓練を共に行う計画」と述べた。また、韓米の拡大抑止体制とは別に、日本を含む域内の国々と拡大抑止に関して2国間で対話することも可能だとの認識を示した。

NCGは韓米が4月の首脳会談で設置に合意。7月にソウルで初会合が開かれた。 

朝鮮、ICBM発射 

朝鮮は17日夜に短距離弾道ミサイルを東海(日本海)へ向けて発射した。直後に朝鮮中央通信は、NCGの会合結果を「露骨な核対決宣言」とし、米国が核戦争で2023年を締めくくろうとしていると非難する国防省の談話を伝えた。

同通信は19日、固体燃料式の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」の発射訓練が前日に実施されたと報じた。訓練に立ち会った金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)は「ワシントンがわれわれを相手に誤った決心をする時、われわれがどんな行動の準備ができており、どのような選択をするかをはっきり示した契機になった」と述べた。

火星18は最高高度6518.2キロに達し、73分35秒かけて1002.3キロ飛行した後、東海上の目標水域に正確に着弾したと伝えた。

韓米日安保高官、電話協議

米ホワイトハウスは17日(米東部時間)、北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)のICBM発射を受け、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が趙太庸(チョ・テヨン)国家安保室長、秋葉剛男国家安全保障局長と電話で協議したと発 表した。3氏は国連安保理決議に明白に違反するとして北朝鮮の発射実験を非難した。サリバン氏は韓国と日本の防衛に対する米国の確固たる約束に改めて言及した。

尹大統領、韓米同盟・韓米日協力を強調

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は19日の閣議で、北朝鮮が短距離ミサイルとICBMを相次いで発射したことについて、「朝鮮半島と世界の安全保障に対する重大かつ深刻な挑戦」として、「北の政権は自らの挑発がより大きな苦痛として返ってくることに気付くだろう」と述べた。

また、韓米日による北朝鮮のミサイル関連情報の即時共有システムが「本格的な稼働を始めた」とし、「システムの円滑な作動を確認した」と明らかにした。

NCGの2回目会合にも言及し、「韓米の一体型拡大抑止体制の構築が目前に迫った」とし、「核を基盤とした強力な韓米同盟が構築される」と強調した。

韓米は「核戦争の危機」を醸成するな

朝鮮は18日、ICBMを発射した。韓米がNCGの会合を開き、来年の合同軍事演習で朝鮮の「核・ミサイル脅威(核・ミサイルの高度化)」に対応する「核作戦演習」を実施することで合意したことに反発し、米国本土に達するICBMの能力を誇示したものとみられる。

4月の韓米首脳会談で発表されたワシントン宣言に基づき、米戦略資産が朝鮮半島で頻繁に展開されるとともに、8月のキャンプデービッドでの韓米日3カ国合意以後は、韓米日合同軍事訓練も海上から空中にまで広げられており、こうした軍事行動が朝鮮を極度に刺激しているのは事実だ。加えて従来の韓米合同軍事演習が核作戦演習となれば、軍事対決は「核戦争の危機」レベルへといやがうえでも進むことになり、朝鮮のこれまで以上の反発は必至であり、すでに始まっている。

今年、朝鮮戦争停戦協定締結から70年を迎えた。停戦協定下の準戦時体制が続く朝鮮半島において、核戦争はいうまでもなく戦争の危機を決して醸成してはならない。