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尹錫悦大統領の拒否権行使乱発に各界から糾弾の声…「尹政権を拒否する!」
【2023年12月22日】
拒否権乱発に各界が「時局宣言」発表・「時局大会」開催
民主労総、全国民衆行動、参与連帯、「民主社会のための弁護士の集い」、民主市民言論連合など各界の市民社会団体の代表らは12月12日、ソウル市内で記者会見を開催し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の拒否権行使を糾弾する時局宣言を発表した。
参加者らは時局宣言で「労働者と農民そして国民の長きにわたる切迫した要求と闘争によりつくられた改革立法が、尹大統領の拒否権の乱発により紙くず同然になった」とし、糧穀管理法、看護法に続き労組法2・3条と放送3法に対し拒否権を行使したことを批判した。
続けて「労組法改正は憲法が規定する労働3権をきちんと保障するための改正であり、放送3法はメディアの独立性を保障し、政権の御用放送ではなく公正な放送を保障する法」と指摘した。
時局宣言を発表した各界の市民社会団体は16日、ソウル光化門で「拒否権乱発 尹錫悦政権を拒否する! 時局大会」を開催し、労働者と農民そして国民の生存権を拒否した尹大統領の名分のない拒否権乱発に怒りの声をあげた。
時局大会ではソン・ソンヨン市民社会団体連帯会議共同代表、全国非常時局会議のキム・サングン牧師に続き、ユン・テックン民主労総委員長職務代行が発言。「憲法が保障した労働3権を否定する大統領、メディアを掌握し国民の耳と口をふさぐ大統領、国会を壊し国民の生命を脅かす大統領、民主主義を後退させ戦争だと脅かす大統領をそのままにしておけるか」「わたしたちの手で引きおろそう」と訴えた。
参加者は大会後、「憲法じゅうりん 国会否定 拒否権乱発 尹錫悦政権を拒否する!」との幕を掲げデモ行進した。この日は釜山、蔚山、済州などでも「大統領拒否権糾弾 時局大会」が開催された。
尹大統領の拒否権乱発を糾弾する!
労組法改正は「黄色い封筒法」とも呼ばれる労働組合および労働関係調整法の改正であり、争議行為の範囲拡大、ストライキを行った労働者に対する企業の損害賠償請求の制限などが柱。放送3法は放送法・放送文化振興会法・韓国教育放送公社法の改正案をまとめた通称。公営放送理事会の理事を増やし理事の推薦権限を放送・メディア関連学会など外部に拡大することを骨子とする。
これらの法案は与党「国民の力」が反対する中、過半数の議席を握る最大野党「共に民主党」の主導により11月9日の国会本会議で可決された。しかし、尹大統領は12月1日、両改正案に対して拒否権を行使した。拒否権の行使は穀物管理法改正案、看護法制定案に続き3回目。
憲法によると、大統領が拒否権を行使した法案が再び可決されるためには「在籍議員の過半数出席と出席議員3分の2以上の賛成」が必要となる。だが、国会(定数300)の3分の1以上の議席を占める国民の力(111議席)が否決の方針を決めており、共に民主党が野党系議員全員を集めても可決は見込めない状況の中で、改正案は8日、国会本会議で否決され最終的に廃案となった。
大統領の拒否権(再議要求件)が憲法に明示された理由は、国会の立法権をけん制するためであり、立法手続きに問題があったり内容に違憲的要素がある場合に行使するのが正常なかたちだ。拒否権は憲法を守るために大統領に与えられたのであり、野党に対応しろと与えられたものではない。しかし、現状は野党に対応するための政治的手段に転落しているといわざるを得ない。
各界の市民社会団体が尹大統領の拒否権乱発に対し糾弾闘争を開始した。3権分立という民主主義の基礎を平然と破壊する尹政権を許してはならない。