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「慰安婦」裁判控訴審…原告側の逆転勝訴、日本政府に賠償請求
【2023年12月8日】
「慰安婦」裁判、日本政府に賠償請求
日本軍「慰安婦」被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんのほか故クァク・イェナムさん、故金福童(キム・ボットン)さんらの遺族、計16人が日本政府を相手取り損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、ソウル高裁は11月23日、原告の訴えを却下した一審判決を取り消し、日本政府に対して原告側の請求全額(1人当たり2億ウォン=約2300万円)の支払いと訴訟費用の負担を命じた。
高裁は「国際慣習法上、被告である日本政府に韓国裁判所の裁判権を認定することが妥当だ」と述べた上で、慰安婦を集める過程で被告の違法行為が認められることから適切な慰謝料を支払う必要があるとの判断を示した。被害者について「最低限の自由すら抑圧され、日本の軍人との性行為を強要された結果、無数の傷害を負わされたり妊娠・死亡の危険まで甘んじたりするしかなく、終戦後も正常な範囲の社会生活に適応できないという損害を被った」と言及した。被告の行為は韓国の民法上の違法行為に当たるとし、各被害者への慰謝料は原告が求める2億ウォンを上回るとみるのが妥当だと述べた。
李容洙さんや被害者遺族らは2016年12月、日本政府に対し1人当たり2億ウォンの賠償を求める訴訟を起こした。2021年4月にソウル中央地裁は日本の主権免除を認め、原告の訴えを却下した。この年、同地裁は同種の訴訟に異なる判断を示していた。別の慰安婦被害者ら12人が起こした賠償請求訴訟で2021年1月、「日本の違法な行為に国家免除(主権免除)を適用できない」として日本政府に1人当たり1億ウォンの賠償を命じた。日本政府はこうした訴訟に対応しないとの原則を崩さず控訴もしなかったため、判決は確定した。
原告の李容洙さんは記者会見を開き、「これ(今回の判決)は日本にとって始まり」だと指摘したうえで、「日本は原告らに心から謝罪し、判決に従い法的賠償を行うべきだ」と述べた。
会見に同席した、「慰安婦」被害者を支援する市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」の李娜栄(イ・ナヨン)理事長は「被害者の切迫した訴えに耳を傾け、人権の最後のとりでとして責任を果たした裁判所の判決を歓迎する。国際人権法の人権尊重の原則を確認した意味ある判決だ」と評価した。
一方、朴振(パク・ジン)外交部長官は26日、韓中日外相会談のため来韓した上川陽子外相と釜山市内で会談した。上川氏は23日に判決に対し談話を発表。今回の判決は「国際法と日韓両国間の合意に明らかに反するもので極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない」とした上で、韓国に対し「国家として自らの責任で、直ちに国際法違反の状態を是正するために、適切な措置を講ずること」を改めて強く求めた。この日の会談でも上川氏は朴氏に日本政府の立場を改めて伝達。これに対し朴氏は「2015年の(韓日の)慰安婦合意を両国の公式合意として尊重している」と政府のスタンスを改めて表明した。
尹政権は被害者の尊厳を踏みにじるな
ソウル高裁は、日本軍「慰安婦」被害者が日本政府を相手取り提起した損害賠償請求訴訟で、原告に対する日本政府の損害賠償責任を認める記念すべき判決を宣告した。ソウル中央地裁が日本の主権免除を理由に被害者らの訴えを却下した一審判決を破棄し、日本政府の法的責任を認めたもの。「慰安婦」訴訟で韓国高裁が極めて正しい判断を下した。
判決に猛反発する日本政府に対し韓国政府は「2015年『韓日慰安婦合意』を両国の公式合意として尊重している」と懸命に弁明した。尹政権は韓日関係「正常化」の名の下に、日本政府に忖度し、被害者の尊厳を踏みにじる行為をやめるべきであり、日本政府は「日韓条約で解決済み」との姿勢を改め、被害者に対する心からの謝罪と判決に基づく法的賠償をすべきである。
あわせて韓国司法が正義の姿勢を引き続き示すことを望みたい。