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国連演説…尹大統領「北とロシアの武器取り引き、座視しない」…朝鮮とロシア、尹政権を批判

尹大統領「武器取り引きを座視しない」

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は9月20日(日本時間21日未明)、米ニューヨークで国連総会の一般討論演説に臨んだ。

尹大統領は「北がロシアに通常兵器を支援する見返りに、大量破壊兵器の能力強化に必要な情報と技術を得るなら、ロシアと北の軍事取引はウクライナだけでなく、韓国の安全保障と平和を直接狙った挑発になるだろう」と述べ、「韓国と同盟国、友好国はこれを座視しない」と強調した。

尹大統領は国際社会が強く連帯し原則に基づき一貫した行動を取るなら、違法な挑発を阻止できると訴え、「韓国は世界平和の促進と構築へ責任ある役割を果たしていく」と表明した。

北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)の核・ミサイル開発については「韓国の平和への直接かつ実存的な脅威にとどまらず、インド・太平洋地域と全世界の平和に対する重大な挑戦」と指摘。さらに「国連安全保障理事会の常任理事国が他の主権国を武力侵攻して戦争を起こし、国連安保理決議に違反する政権から武器と軍需品の支援を受ける現実は自己矛盾」と批判した。こうした状況から安保理改革の必要性が幅広く支持されているとも述べた。

尹大統領は2030年国際博覧会(万博)の韓国・釜山誘致に対する支持も訴えた。大統領室によると、尹大統領はこのために国連滞在中に41カ国の首脳と会談したという。

ロシア側、尹演説に遺憾表明

朝鮮とロシアの武器取引について警告した尹大統領の国連演説に対し、駐韓ロシア大使館は21日、フェイスブックを通じて「米国政府が始め、米国と韓国のメディアが追いかけたロ朝協力をおとしめる宣伝戦に(尹大統領が)加勢したことに深い遺憾」を表明した。

朝鮮、尹演説を批判

 朝鮮中央通信は25日、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が今月に訪ロするなどロシアとの関係を強化していることに関し、「隣国同士が親しくするのはごく自然で、問題になる理由は一つもない」と主張した。その上で、尹大統領の国連演説に対し「われわれとロシアの関係を悪辣(あくらつ)にけなした」「初歩的な政治知識も国際関係の常識もまったくない」と批判した。

金星大使、自衛力強化を明言し安保理の不公平性を指摘

朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は26日(現地時間)、国連総会で一般討論演説を行い、「朝鮮半島はいつ核戦争が起きるか分からない一触即発の危機に瀕(ひん)した」として、自衛力を強化する方針を表明した。金氏は「敵対勢力の無謀な軍事的冒険と挑戦が増えるにつれて、国家防衛力強化のためのわれわれの努力も正比例するだろう」とし、「国の自主権と安全を守ろうとする共和国の決心は絶対不変だ」と強調した。

尹大統領の国連演説に関連し「自主的な主権国家間の平等で互恵的な関係発展は、米国の植民地に過ぎない大韓民国が干渉する問題にはなり得ない」と指摘。

国連安保理は朝鮮に対しては「主権国家の正当な権利」である衛星発射を指摘し、人権問題を問題視するが、韓米合同軍事演習と米国の戦略資産展開については「ただの一度も憂慮を表明していない」とし、日本の放射能汚染水海洋放出も沈黙していると、その不公平性を批判した。

朝ロ首脳会談がつくる新しい国際秩序…米国と韓国は国際的孤立の道へ

韓米日三カ国、そしていわゆる西側諸国は、朝鮮とロシアの軍事協力、さらにはウクライナ事態へ朝鮮からの軍事協力があるのではと、朝ロ首脳会談の内容に神経をとがらせた。しかし、そのことを一方的に憂慮する前に、韓米日三カ国の軍事協力、米国を含むNATOのウクライナに対する軍事支援についてはどうなのかと反問したい。

朝ロ首脳会談は軍事を含む多方面にわたる関係強化に合意したのは事実だが、重要なのは朝ロが反帝国主義共同戦線、具体的にいえば、反米(+追従国)共同戦線の構築とその強化を確認したという点にある。国連安保理国であるロシアと朝鮮の関係がこれまで以上に強化されれば、すでに表れている現象ではあるが、朝鮮に対する国連による不当な決議や制裁はその効力を失っていく。

朝鮮にとっては、決議や制裁に縛られず、自主的で互恵平等な国連加盟国との国際関係を築いていける新しい国際秩序がつくりだされることを意味する。米国政府の国連を舞台とする対朝鮮包囲圧迫政策は破綻したといえる。こうした変化は韓国にも当然押し寄せるが、尹政権は米国に追従して朝鮮との対決姿勢を強め、中ロとの関係を不必要に悪化させている。このままならば、米国と共に国際社会で孤立の道へと進むことにならざるを得ないだろう。