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情勢解説

日本、福島汚染水海洋投棄を強行…支持・擁護の尹政権…高まる反対世論、広がる抗議行動

【2023年9月2日】

日本政府・東京電力、福島汚染水海洋投棄開始
東京電力福島原発射能汚染水について、日本政府は8月22日の関係閣僚会議で、国際原子力機関(IAEA)の総括報告書や国内外の理解が進んだことをあげて、24日から海洋放出(海洋投棄)する方針を決定、東京電力は24日午後、海洋放出を開始した。

韓米は支持・擁護、朝中は反対・批判
韓国のハン・ドクス首相は24日、国民向け談話を発表し「(日本側が)今後約30年間続く放出の過程でも透明かつ責任を持って情報を公開することを期待し、促したい」とする一方、「国民を最も脅かすのは科学に基づかない偽ニュースと、政治的利益のための虚偽扇動」だと言及した。
朝鮮は24日、外務省報道官名義の談話を通じて日本政府を非難し海洋投棄の即時停止を求めた。朝鮮中央通信が報じた。朝鮮は「地球の生態環境を破壊し人類の生存を脅かす反人倫的な行為だということは誰も否定できない」と主張し、核の脅威と騒いで核兵器のない世界を主張している日本のこのような行為は日本の二面性を示していると指摘した。
中国外務省の汪文斌副報道局長は24日の記者会見で、「断固たる反対と強い非難を表明する」と述べ、税関当局は日本産の水産物輸入を同日から全面的に停止すると発表。香港政府とマカオ政府も日本産食品の輸入規制を強化した。
朝中両国は25日の国連安保理会議で「汚染水海洋投棄は人類に対する犯罪行為」だと批判した。
ブリンケン米国務長官は15日、韓米日外相会談(オンライン形式)後の記者会見で「米国政府は日本の海洋放出の計画が安全で、満足している」と述べ、米国政府として安全との認識を示していた。

韓日で一斉に反対・抗議行動
24日午前には東京電力本社前で海洋投棄に反対する市民らによる抗議行動が行われた。(別掲記事を参照)
韓国では海洋投棄に反対してきた野党と全国の漁業関連団体、環境団体や市民社会団体が一斉に反対・抗議の声をあげ、記者会見、座り込み、デモ、集会など多様な反対運動を開始した。
「共に民主党」と正義党、進歩党、民生党、済州緑色党、労働党の6野党は24日、済州島の日本総領事館前で共同記者会見を開き、汚染水の海洋放出は「自国の問題解決のために世界に災いを広げる希代の海洋犯罪行為であり、第2次世界大戦に続き再び犯罪国家の道へと進むも同然だ」と批判した。また、8割を超える国民が反対の立場を示しているにもかかわらず、日本政府の立場を擁護した尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は共犯にほかならないと指摘した。
民主労総、尹錫悦政権退陣運動本部、全国非常時局会議などは、日本の海洋投棄を糾弾し尹政権の対応を要求して、23日午後から26日の汎国民大会までの「72時間非常行動」を展開した。
こうした中、「福島放射能汚染水海洋投棄中止! 投棄容認尹錫悦政権糾弾! 汎国民大会」が26日、ソウル世宗大路で5万人の市民が参加し開催された。「日本の放射能汚染水海洋投棄阻止共同行動」と「共に民主党」、正義党、進歩党、基本所得党の院内4野党が共催。
各党から決意表明が続いた。イ・ジェミョン民主党代表は汚染水海洋投棄を糾弾した上で、尹大統領に対し「日本政府を支持・擁護する使い走り、代理人、代弁人」だと批判。国民と共に先頭に立ち闘うと強調した。カン・ソンヒ進歩党院内代表は「汚染水海洋投棄を阻止するためにも尹政権を必ず退陣させなければならない」と強調した。
24日に汚染水海洋投棄に抗議して日本大使館に突入、連行され48時間後に釈放されたカン・ジェボム進歩大学生ネット代表は「この地、この海、この未来の主人公であり主権者の大学生として汚染水海洋投棄が中止されるまで闘う」と決意を明らかにした。
ヤン・ギョンス民主労総委員長は「福島原発には広大な土地があった。海洋投棄の唯一の理由は費用節減」だと指摘。尹政権は科学的に安全だとするが、「30年間の汚染水海洋投棄、誰も安全を保障できないのを『科学』だとしている」と反論した。
汎国民大会で採択した「決議文および国民への行動提案」では、△日本政府は福島放射能汚染水海洋投棄を即刻中止しろ△放射能汚染水海洋投棄を容認した尹政権を糾弾する△放射能汚染水海洋投棄を尹政権は国際海洋法裁判所に提訴しろと決議。また、△放射能汚染水海洋投棄の中止と尹政権の糾弾を内容とするキャンドル行動を次週内に全国各地(市・郡・区)で開催する△学会、法曹界、保健医療分野、労組、農民会などの各界が地域部門で時局宣言を発表する△首都圏集中大会および広域同時多発大会を開催するようにし、9月2日午後4時、世宗大路で汎国民大会を開催することを国民に提案し、汚染水海洋投棄を止めるためにさらに多く集まり、さらに多く行動しよう、海を守り生命を守り未来を守る道をともに進もうと訴えた。
汎国民大会終了後、参加者は大統領室前までデモ行進した。

日本の汚染水海洋投棄と尹政権の対日屈辱外交を糾弾する!
内外の反対世論にもかかわらず、日本政府は汚染水海洋投棄を強行した。これに対し朝鮮と中国は反対の意思を明確にする一方、米国は韓米日3カ国協力の強化のために「良好な韓日関係」を最優先する立場から、支持のお墨付きを与えた。韓国政府は「賛成したことはない」としながら、反対したこともなく、海洋投棄を事実上、容認している。ハン首相は国民の不安を払拭するどころか、原因を偽ニュースと虚偽扇動に責任転嫁し、尹大統領の光復節演説で示された「日本を支持・擁護し国民を敵とする」政権の姿勢がここでも如実にあらわれた。日本の汚染水海洋投棄と尹政権の対日屈辱外交を厳しく糾弾する。
汎国民大会は野党と共同行動の共催で5万人が結集する抗議行動となった。「国民への行動提案」も具体的に示され、汚染水海洋投棄反対の行動は各界各層、全国規模へと広がりながら国民行動へと発展する可能性を示している。国民行動の組織的成果が反尹政権戦線と尹政権退陣戦線の拡大強化へとつながることにより、11・11総決起の成功はより確かなものとなるだろう。