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尹大統領、光復節で慶祝辞…「日本はパートナー」「韓米日安保協力」「対北対決」「反対勢力を罵倒」…尹大統領は退陣しろ 

【2023年8月25日】

尹大統領、光復節で慶祝辞

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は8月15日、ソウル市内の梨花女子大大講堂で開かれた、日本帝国主義の植民地支配からの解放を記念する「光復節」式典に出席した。

 尹大統領は慶祝辞で日本を「普遍的価値を共有し共同の利益を追求するパートナー」と位置付け、「韓日は安保と経済の協力パートナーとして未来志向で協力・交流しながら、世界の平和と繁栄に共に寄与できる」と訴えた。

 尹大統領は北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)の核・ミサイルの高度化が進む中、米国、日本との安保協力の重要性が高まっていると指摘。「3カ国が緊密に連携し核・ミサイル情報が即時に共有されなければならない」と述べた。その上で、18日にワシントン近郊で開く韓米日首脳会談は「朝鮮半島やインド太平洋地域の平和と繁栄に寄与する3カ国協力の新たな一里塚になる」と指摘。また「朝鮮半島とインド太平洋地域の安保は大西洋、欧州地域の安保とも深く関連している」とし、「NATOとの協力強化もまた非常に重要だ」と主張した。

 北朝鮮に対しては「全体主義体制と抑圧統治を続けている」と批判。対決姿勢を鮮明にし自由民主主義国家の連帯を呼び掛けた。また「共産全体主義に盲従し、ねつ造・扇動で世論を歪曲し、社会をかく乱する反国家勢力が依然として横行している」とし、こうした勢力に決してだまされたり屈服したりしてはならないと強調した。

野党、市民社会団体が一斉に批判

 尹大統領の慶祝辞に対し「共に民主党」のクォン・チルスン報道担当は「日本の立場を強弁する大統領を理解できない」とし、反対勢力を共産全体主義と罵倒したことを「極右ユーチューバーの独白」のようだと批判。正義党のイ・ジェラン報道担当は「慶祝辞は野党、市民社会団体、労働界に対する宣戦布告」と批判。進歩党のソン・ソル報道担当は「侵略犯罪を認めない日本を相手に韓米日安保協力を云々するのは国民に対する背信」と批判した。6・15南側委員会、全国民衆行動、民主労総も一斉に批判の論評を発表、全国民衆行動は「日本をパートナーにし国民を敵にしようとする大統領はすぐさま辞任しろ」と要求した。

対決を煽る尹大統領は退陣しろ

 尹大統領は光復節の慶祝辞で、日本の朝鮮に対する侵略戦争と植民地支配の歴史に一切言及しなかった。当然、強制動員被害者(元「徴用工」)や日本軍「慰安婦」といった歴史問題にも触れず、現在進行中の日本の福島放射能汚染水海洋投棄計画に対する主張もなかった。むしろ日本を普遍的価値を共有するパートナーと呼び、韓米日の3カ国安保協力の重要性を訴えるのに時間を割いた。また、朝鮮との対決と韓国内での反対勢力との対決をあげて、南北対立と国内の陣営対立を煽った。

 わが民族は日本帝国主義の植民地支配から解放をかち取り光復を迎えたが、真の光復は祖国と民族の分断を克服し、祖国の自主統一を成し遂げたときに享受することができる。尹大統領の光復節の慶祝辞は、民族にとっての光復の意味を完全に破壊し、結局は慶祝辞に値するものではなかった。対決を煽る尹大統領には退陣の道しかないことがますます明らかになった。