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情勢解説

汚染水放出計画を進める日本政府…放出前提の韓国政府…韓日で高まる反対の声

【2023年8月5日】

韓日局長級会議 

国務調整室の朴購然(パク・グヨン)第1次長は7月26日、日本で前日に開いた東京電力福島第1原発の汚染水の海洋放出を巡る韓日局長級協議について、「韓日首脳会談(12日、リトアニア)の際の議題を話し合った」と明らかにした。汚染水放出に関する政府の定例記者会見で語った。

首脳会談で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は岸田文雄首相に△海洋放出の点検過程における韓国専門家の参加△放出のモニタリング情報のリアルタイム共有△放射性物質の濃度が基準値を上回るような状況が発生した場合の海洋放出の即時停止と韓国側との同事実の共有を要請していた。

朴氏は「日本側に対し、科学的、客観的に安全を担保するためには、長期にわたるモニタリングが実効的かつ透明に行われる必要があるという韓国の立場を強調した」と説明し、局長級協議での議論内容を検討したうえで8月第1週に再度協議を開くと伝えた。ただ、韓国側の要請を日本がすべて受け入れるかどうかについては「国家間の敏感な事案のため日本側もさまざまな調整を行う必要があり、局長級協議の場で結論を出すことはできない。日本が全体的に真摯な態度で臨んでいたという言葉を参考にしてほしい」と述べるにとどめた。

尹大統領が岸田首相に要請した3項目は、汚染水放出を前提としたもので、それさえも日本政府は明確な回答を寄せていない。

尹大統領、水産市場でパフォーマンス

尹大統領は27日、国内を代表する水産市場である釜山のチャガルチ市場を訪問した。漁業者や市場関係者らとの夕食会では、汚染水の海洋放出計画を巡り科学的根拠のない「怪談」が出回っているとの訴えに対し、「賢明なわが国民は怪談に動揺しない」と述べたと大統領室が伝えた。尹大統領は「チャガルチ市場の食べ物をPRする必要がある」と述べ、ウナギをつかんだりアナゴの刺身でビビンバを作って食べたりした。

放出計画に対する大多数の国民の不安は「怪談」で煽られたものではなく、尹政権の対日屈辱外交がつくり出した結果である。尹大統領には国民の生命と国の環境を守る義務がある。パフォーマンスに興じている場合ではない。

高まる反対の声 

韓国各地では汚染水放出に反対する市民団体や漁業関係者の声がますます高まるとともに、訪日闘争も盛んだ。 

釜山一帯の63の市民団体でつくる「福島核汚染水投棄反対釜山運動本部」の代表団が放出反対の署名(11万1678筆)を携えて7月26日に訪日。

京畿道水原市ではこの地域の水産物販売業者や市民団体、政党など約50の団体による「福島放射性汚染水海洋投棄阻止水原共同行動」が世界文化遺産の水原華城の広場に集まり、抗議行動を展開。

全羅南道の漁業者は同道宝城郡内の港に集まり、海上に約200隻の漁船を連ねて抗議した。

「日本の放射能汚染水海洋投棄阻止 韓日市民連帯をめざす日本訪問団」(韓国進歩連帯、環境運動連合、民主労総、全国漁民会総連盟、正義党、進歩党などから26人)が29日から8月1日まで訪日。30日には福島県いわき市で市民団体、労組、地方議員と交流し、31日には経産省前と首相官邸前で抗議行動を展開した。