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韓米「核協議グループ(NCG)」協議、「拡大抑止」基調を再確認…米戦略原潜、釜山寄港…朝鮮、NCGに反発…韓米日首脳会談、来月開催
【2,023年7月28日】
韓米「核協議グループ(NCG)」初会合
韓米両国は7月18日、ソウル・竜山の大統領室庁舎で拡大抑止に関する協議体「核協議グループ(NCG)」の初会合を開いた。
金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長は会合後に開いた共同記者会見で、韓米同盟が4月の韓米首脳会談で発表されたワシントン宣言を通じて、核をベースにした新しいパラダイムにアップグレードされたとし、「両国の拡大抑止はNCGを通じて韓米が共に協議して決定し、共に行動することができる一体型の拡大抑止体制に進む」と述べた。
会合には金氏のほか、米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官、アバクロンビー国防政策・軍縮管理調整官をはじめとする両国の国防・外交当局者が出席した。
金氏は「米側は北が韓国を核攻撃した場合、即時に圧倒的かつ決定的な対応措置を取ることになる。これは北の政権の終末につながるという決然とした姿勢を示したものだ」と説明した。また「韓米両国は北の核脅威に対する共同対応策を論議し、核戦略企画を具体化していくことにした」とし、「核と通常戦力に対する情報共有を拡大し、いかなる核危機の中でも韓米首脳間の合意がなされるような体系と手続きを用意していくことを確認した」と伝えた。
さらに「韓米両国は、米国の核作戦に対する韓国の非核戦力支援に向けた共同企画と実行策を講じ、そのためにNCGが中心となって核と関連した多様な図上演習やシミュレーションを調整し履行していくことを確認した」と述べた。
キャンベル氏は「朝鮮半島の平和と安定に対する確固たる意志を持っていることは疑いの余地がない。北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)のいかなる挑発、侵攻も抑止し、このための強力な意志と能力を持っていると確信している」と強調した。紛争時の核兵器使用の可能性に関連しては、可能性についてコメントすることは適切ではないと前置きしたうえで、「万一、北朝鮮が核を使用することになれば米国の対応は圧倒的なものになるだろう」と述べた。
朝鮮、NCGを批判
朝鮮の 金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は17日、12日に新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」を発射したことについて、「軍事的攻勢の始まりに過ぎない」とする談話を発表した。朝鮮中央通信が17日に報じた。
金与正氏の談話は10日以降4回目で異例の頻度。NCG初会合が開かれることに言及し、「米国が拡大抑止体制を強化し、軍事同盟体制を拡大するほど、われわれを彼らが望む会談のテーブルから遠ざけるだけだ」と述べ、韓米の拡大抑止強化を批判した。
米戦略原潜、釜山に寄港
NCG初会合後、キャンベル氏は共同記者会見で、核兵器を搭載できる米国の戦略原潜(SSBN)「ケンタッキー」が韓国南部の釜山港に寄港していると明らかにした。キャンベル氏は「数十年ぶりに米国の戦略原潜が釜山港に寄港中」として、「NCGが発足し、政府を挙げての包括的な努力が長期間続けられる」と表明。「このような明確な意思と公約を目に見える形で実現させることが重要だ」とSSBNを展開させた背景を説明した。
SSBNは潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載し、戦略的な任務を遂行する。SSBNが韓国に寄港するのは1981年以来、約42年ぶり。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とバイデン米大統領は4月に開いた首脳会談で、戦略原潜を韓国に派遣することで合意していた。
朝鮮、短距離弾道ミサイル2発発射
韓国軍合同参謀本部は北朝鮮が19日午前3時半ごろから同3時46分ごろにかけて平壌の順安付近から朝鮮半島東の東海上に向け、短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表した。ミサイルはそれぞれ約550キロを飛行し、東海上に落下したという。
北朝鮮が弾道ミサイルを発射したのはICBM「火星18」を発射した12日以来となる。今回の発射は韓米が18日にNCG初会合を開催し、SSBN「ケンタッキー」が釜山に寄港したことに反発したものとみられる。
尹大統領、米戦略原潜を視察
尹大統領は19日、釜山に寄港中のSSBN「ケンタッキー」に乗り込み内部を視察した。
尹大統領は乗艦前に演説し、「韓米はSSBNのような戦略兵器を朝鮮半島周辺に定期的に展開することで、高度化している北朝鮮の核・ミサイル脅威に対し、圧倒的かつ決然とした対応を取っていく」と強調した。
尹大統領は演説で「現存する最も強力な戦略兵器の一つであるケンタッキーを訪問することができて意義深く心強い」と述べた。また友好国の大統領がSSBNに搭乗するのは自身が初めてと承知しているとし、バイデン大統領をはじめとする米側の関係者に謝意を伝えた。尹大統領はまた、米国の戦略兵器が朝鮮半島周辺に定期的に展開されており、これは拡大抑止の実行力を高めようとする韓米両国の意思をよく表していると強調した。
NCG初会合が開かれたことにも触れ、「(会合で)韓米は核兵器と非核兵器を結合した核作戦の共同企画と実行を議論し、朝鮮半島周辺における米国の戦略兵器配備の可視性を高めていくことを確認した」と紹介した。また「北が核による挑発を夢にも思えないようにし、もし北が挑発すれば政権の終末につながることを明確に警告した」と述べた。ラカメラ韓米連合軍司令官(在韓米軍司令官兼務)は同艦について、米国が韓国に提供する拡大抑止の重要な構成要素と紹介した。
韓米日首脳会談、来月開催
尹大統領とバイデン大統領、岸田文雄首相は8月18日に米ワシントン郊外の大統領山荘キャンプデービッドで会談する。韓国大統領室が20日発表した。
韓米日軍事同盟化に反対
NCG初会合では、韓米間の拡大抑止は「核協議グループ通じて協議・決定・行動する体制」で展開することにしたが、これは既存の拡大抑止の基調を再確認したものに過ぎない。
米国政府は核兵器の統制権については、たとえ同盟国であっても移譲したりすることは決してない。NATOの核共有の場合も核兵器使用の最終決定権は米国にある。
一方で、米国政府は朝鮮の核・ミサイル体制の高度化に至急対抗しなければならない状況にある。また、尹大統領の前のめり発言が示すように、韓国政府は核抑止体制のさらなる充実を米国政府に望んでいる。結局、米国政府は戦略原潜や戦略爆撃機といった戦略資産を朝鮮半島に切れ目なく頻繁に配置することで、「実質的な核抑止体制」が構築されたと誇示し、これらの必要性に応えているようだ。
当然、朝鮮は韓米の核抑止体制による戦略資産の投入に強く反発し、朝鮮半島の戦争の危機はおさまるどころか、核戦争次元へと高まる危険性をはらんでいる。
韓米日首脳会談では3カ国の軍事協力強化を確認する中で、韓米日間での北ミサイル情報の即時共有・即時対応と韓米日間の核抑止体制構築が論議される可能性が高い。
<韓米日3カ国の軍事協力の強化=韓米日軍事同盟化⇒韓米日軍事同盟構築>に断固として反対しなければならない。
※写真―記者会見する金泰孝第1次長(左)とキャンベル調整官(中)