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情勢解説

福島原発汚染水海洋投棄…日本政府は着々準備、高まる反対の声

【2023年6月30日】

「共に民主党」汚染水問題で政府を厳しく批判

第一野党「共に民主党」は6月23日、江原道江陵市で党最高委員会議を開き、福島第一原発の放射能汚染水海洋放出を巡り、前日に李在明(イ・ジェミョン)代表が同地の水産業や観光業界の関係者と懇談したのに続き、韓国政府の対応を厳しく批判した。

鄭清来(チョン・チョンレ)最高委員は韓日間の歴史に照らしながら、「汚染水放出はわが海への侵攻」と表現したほか、「嘆かわしいのは日本の報道官を自任する尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権」と非難した。

共に民主党は汚染水放出反対の署名活動に続き、7月1日から1カ月間、ソウルを皮切りに全国を巡回し汚染水放出反対の集会を開催、世論の結集を図る計画。

第二野党・正義党は6月22日から24日まで「福島汚染水阻止タスクフォース」代表団を日本に派遣し、26日から日本大使館前でハンスト闘争に突入した。

韓国漁業団体が反対集会・海上デモ

韓国水産業経営人連合会などの地域漁業団体が23日、全羅南道の莞島で福島原発の放射能汚染水海洋投棄に反対する集会を開いた。集会には漁業関係者約700人(主催者発表)が参加し、養殖場管理船、漁船など約200隻も莞島港沖で海上デモを行った。

連合会は宣言文で「汚染水が海に捨てられれば、われわれ漁民と水産業従事者の生計が脅かされ、子孫の健康と安全も脅かされる」と主張。海洋放出ではなく自国内に汚染水を保管すべきだと強調した。連合会は韓国政府に対し、日本産輸入水産物の流通履歴の管理強化、水産分野被害対策特別法の制定などを要求した。

全羅南道の漁業関係者はこの日の集会を皮切りに、各地で反対活動を行う計画。

共同行動、「第3回全国行動の日」

民主労総、韓国進歩連帯、環境運動連合など市民社会団体と漁業団体で構成する「日本による放射能汚染水の海洋投棄阻止のための共同行動」は、ソウル市庁の東側で「第3回全国行動の日」の集会を開催した。市民や民主労総労組員ら約5000人が参加。

共同行動は「福島原発の放射能汚染水は一度だけ捨てられるのではなく、溶け落ちた核燃料を除去して廃炉するまで、少なくとも30年以上は続くだろう」とし、「日本は汚染水の海洋投棄の代わりに大型タンクによる陸上での長期保管や、セメントに入れて固体化する代案を設けるべきだ」と主張。また「韓国政府は、日本政府を代弁するかのような毎日の定例説明会ではなく、汚染水の海洋投棄に反対し、日本政府に対し積極的な汚染水対応を求めよ」と強調した。

共同行動は来月8日に「第4回全国行動の日」を予定。

労働新聞、日本政府を非難

労働新聞6月2日付けは「人類を犠牲にしようとする日本の厚顔無恥な犯罪的妄動」と題した記事を掲載。

「日本政府は2021年4月、福島原発の放射能汚染水100万トン以上をろ過、希釈した後に海洋放出することを決定。これに対して日本の漁業団体や地元関係者らが強く反対し、中国や南朝鮮(韓国)なども強い反対を示したにもかかわらず、日本政府は海洋放出を強行しようとしている」と汚染水放出計画を非難した。

日本政府、放出に向けた準備を整える

東京電力は26日、福島原発の処理水を沖合に送るための海底トンネルを掘り進めた重機を引き揚げるなどして、去年8月から進めてきた放出設備の工事を完了した。28日からは、原子力規制委員会による放出前の検査が行われる予定で、この検査に合格すると放出に向けた設備面での準備が整うことになる。

日本政府は、規制委員会による検査の結果と、国際原子力機関(IAEA)の処理水計画の安全性に関する包括的な報告書の内容を踏まえて、処理水の放出を始めるタイミングを最終的に判断する方針。

汚染水海洋投棄反対!

日本政府と東京電力は内外で高まる反対の声に耳を貸さず、汚染水海洋投棄の準備を着々と進めている。「未来志向」の韓日関係を題目に唱えて対日屈辱外交を展開するばかりの尹政権には、国民の立場に立ち、国益を守る姿勢で、日本政府に「汚染水を海洋投棄するな」と主張する考えは毛頭ないようだ。汎国民的な反対闘争と国際的な連帯闘争により、汚染水海洋投棄を阻止しなければならない。