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情勢解説

民主労総メーデー大会…建設労組幹部「尹政権糾弾」焼身抗議

【2023年5月12日】

全国民主労働組合総連盟(民主労総)は5月1日、ソウル・光化門近くで「労働改悪阻止と尹錫悦(ユン・ソンニョル)審判」を前面に掲げた5・1総決起メーデー大会を開催した。全国同時多発で行われた同大会には民主労総、進歩政党、市民社会団体から約13万人が結集した。

梁慶洙(ヤン・ギョンス)民主労総委員長は大会辞で△日本には屈辱外交を展開△新冷戦の中で韓米日軍事同盟へと暴走△物価暴騰対策どころか公共料金値上げ△経済危機対策どころか軍事同盟推進△検察共和国で民主主義を後退させる恐怖政治など、尹政権の失政をあげては「諸悪の根源である尹政権にゼネスト(全面スト)で対抗しよう。ゼネストは巨大な民衆抗争の導火線となるだろう」と7月ゼネストに総結集することを宣言した。

梁委員長はまた△不平等と格差を解決する第一歩は最低賃金の引き上げ△公務員・教師を減らし公共機関を民営化しようとする政府に対抗し雇用を守る△富裕層と財閥に増税し健康保険を強化し公共性を拡大する国家の責任強化が必要とし、「賃金と雇用、民生と公共性」を守るための労働者の闘いだけが生きる道だと力説。加えて「こうした闘いの力で労働者の政治勢力化の方向性を打ち立てていかなければならない」と強調した。

参加者は大会後、都心をデモ行進した。

韓国労働組合総連盟(韓国労総)は同日、ソウル・永登浦区で約3万人が結集する中、2023全国労働者大会を開催し、「尹政権の反労働政策に対抗する粘り強い闘いの大長征に突入する」と宣言し、反尹錫悦闘争に全面的に取り組むことを明らかにした。

建設労組幹部が焼身抗議、民主労総・野党・各界団体が尹政権を厳しく糾弾

尹政権の労働組合に対する弾圧を糾弾して、1日のメーデーに焼身自殺を図った民主労総建設労組江原支部の幹部、ヤン・フェドン氏が、翌2日に亡くなった。

ヤン氏は他の組合員2人とともに組合員の採用を建設業者に強要し、その過程で工事を妨害した業務妨害などの疑いが持たれていた。ヤン氏は遺書で「正当な労組活動をしただけなのに悔しい。尹錫悦検察独裁政治のいけにえになった」として、建設労組への弾圧を糾弾した。

民主労総は2日、緊急記者会見を開き「正当な労働組合活動に対する弾圧により、同志を焼身に至らせた尹政権を糾弾する」とし、「大統領の謝罪と国土交通部長官の辞退、建設労組弾圧の中止を要求する」と主張した。また「この正当な要求に対する答えがなければ、その対価は政権の終わりにつながることを肝に銘じなければならない」と強調した。

事態の深刻性を受け止めた野党は一斉に立場表明。李在明(イ・ジェミョン)「共に民主党」代表は「尹政権のおこないに憤りを禁じえない」とし、「労働者を死に追いやる労組弾圧を即刻中止するよう要求する」と述べた。正義党、進歩党も声明を発表し、事態の責任が尹政権にあるのは明らかだと主張した。ヤン氏は「無実の拘束者を釈放し、悪者を捕らえ、国を正しく立て直してほしい」と野党宛ての遺書を書いていた。

4日には竜山・大統領室前で建設労組の闘争決意大会が開催され、建設労組への弾圧中止を求め「尹錫悦退陣」と声をあげた。大会前には建設労組への弾圧中止を求める市民社会宗教団体の共同記者会見も行われた。

尹政権は労働弾圧を中止しろ

尹政権は「労働改革」の名の下に、「建設現場で雇用を強要するなどの不法行為」に対応するとして、昨年末に国土交通部に専任チームを立ち上げ、200日間にわたる警察の取り締まりを開始。2月には尹大統領自身が「検察、警察、国土交通部、雇用労働部が協力して強力に取り締まれ」と指示した。民主労総によると、去年末から現在まで建設労組の事務所13カ所と幹部40余人に対する家宅捜索が行われ、15人が拘束され950余人が召喚調査された。

尹政権は民主労総をいわゆる「悪魔化」するために、まずは建設労組に狙いを定め、「建暴(建設現場における暴力行為)」という新語までつくり出して集中弾圧を繰り広げたものだ。

法に従って労働権を保障されるべき労組に対して、政権が一方的に悪意に満ちたレッテルを貼り、恣意的な法の執行により、その存在を排除しようとする行為は、民主社会においてはあってはならないことであり、尹政権の行為は糾弾されて当然だ。

また建設現場における不法行為は、根本的には建設会社側の利益追求と特有の下請け構造から生じているものであり、その改善のために奮闘しているのが労組だ。

政府はこうした事実を歪曲し責任を労組に転嫁し弾圧することに専念。ついには労働者を死に追いやった。建設労組、民主労総は尹政権を厳しく糾弾し、全面的に対決する姿勢を明らかにしている。事態の責任は全的に尹政権にあり、尹大統領は謝罪し労働弾圧を即刻中止しなければならない。