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情勢解説

継続する韓米・韓米日合同軍事演習…進展する韓米日軍事同盟化

【2023年4月21日】

B52H戦略爆撃機参加

韓国国防部は4月14日、米空軍のB52H戦略爆撃機が同日に朝鮮半島上空で韓国空軍と合同訓練を行ったと明らかにした。北朝鮮(※正しくは朝鮮)が前日に固体燃料式の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」を試射したことに対し、拡大抑止力の強化を誇示したものとみられる。核兵器を搭載できるB52H戦略爆撃機の朝鮮半島への展開は9日ぶり。韓国空軍の戦闘機F35AとF15K、米軍の戦闘機F16も訓練に参加した。国防部は韓米が米戦略資産を迅速に朝鮮半島に展開できることや、向上した連合作戦能力、相互運用性などを確認したと伝えた。この日、朝鮮半島に展開されたB52Hは、先月末に爆撃任務のため米領グアムに配備された4機のうち2機とみられる。B52Hは射程200キロの空対地核ミサイルをはじめ最大31トンの爆弾を載せて6400キロ以上を飛行し目標を爆撃できる。先月には米戦略爆撃機B1Bが2度にわたり朝鮮半島に展開され、米原子力空母「ニミッツ」が韓国に入港して韓米合同訓練を行った。国防部は「今後も韓米両国は米戦略資産の展開頻度を増やして強度を高め、北のいかなる核攻撃も容認しないという強力な同盟の意志を行動で示す」と強調した。

また、米空軍と日本航空自衛隊は13~14日、朝鮮半島東・東海の上空でB52H戦略爆撃機2機を含めて合同訓練を実施した。

韓米空軍訓練実施

韓国と米国は17~28日の日程で、韓国南西部の光州基地で連合作戦や戦時任務遂行能力の向上のための連合編隊軍総合訓練を実施した。訓練には戦闘機など約110機と約1400人が参加。韓国軍からは戦闘機F35AやF16、空中給油機KC330など60機余り、米軍からは空軍の戦闘機F16や空中給油機KC135、海兵隊の戦闘機F35B、FA18など40機余りが参加。同訓練は韓米の空軍が空中戦力を一つの基地に展開し、上半期に実施する過去最大規模の連合編隊軍総合訓練となる。「コリア・フライング・トレーニング(KFT)」と呼ばれる同訓練は、2009年に始まった大規模航空訓練「マックスサンダー」に類似したものとみられる。

韓米日合同軍事訓練実施

韓国、米国、日本が17日、北の核・ミサイル高度化に対応するためのミサイル防衛訓練を東海の公海上で実施した。韓国海軍によると、訓練には韓国海軍の駆逐艦「栗谷李珥」、米海軍のミサイル駆逐艦「ベンフォールド」、海上自衛隊の「あたご」など3カ国のイージス艦が参加。北朝鮮による弾道ミサイル発射を想定し、仮想のミサイル標的を用いて探知、追跡、情報共有などの手順の熟達を図った。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後、韓米日が海上ミサイル防衛訓練を実施したのは、昨年10月と今年2月に続き、今回が3回目。今月初めには、韓国南部・済州島南方の公海上で対潜水艦戦訓練と捜索・救助訓練を実施した。

韓米日防衛実務協議開催

韓米日三カ国は米ワシントンで14日(現地時間)、3年ぶりに防衛実務者協議(DTT)を開き共同報道文を発表した。報道文では△北の核・ミサイル脅威を抑制し朝鮮半島とインド太平洋地域の平和・安定を増進するために安保協力を強化△北の核・ミサイルの脅威の抑制・対応のためにミサイル防御訓練と対潜水艦戦訓練を定例化△台湾海峡一帯における平和と安定の重要性を強調△韓日の軍事情報保護協定(GSОMIA)を活用し防衛当局間の意思疎通を協力・強化するとの両国の意志を米国は全幅的に支持するとした。また、昨年11月にプノンペンで開かれた韓米日首脳会談で合意した、北のミサイル情報をリアルタイムで共有する状況を点検し、既存の韓米日情報共有約定を軸に三カ国間の情報共有システムを迅速に推進することで合意した。

継続する韓米・韓米日合同軍事演習と進展する韓米日軍事同盟化

大規模な韓米合同軍事演習「フリーダムシールド」が終了しても、韓米合同軍事演習に加えて韓米日合同軍事演習も実施され、さらには戦略爆撃機まで参加するなど、朝鮮半島の軍事緊張は増大することはあれ緩和する兆しはみえない。特に、韓米日合同海上訓練は対潜水艦戦訓練とともに北のミサイルに対する防衛(MD)訓練に照準を合わせたもの。MDを実質的に機能させるうえで韓米日三カ国間のリアルタイム情報共有は必須であり、そのために韓日GSОMIAの正常化が急がれ、政治決着による韓日関係の「改善」が図られた。尹大統領は今月末の韓米首脳会談を経て5月の広島G7サミットに招待を受けて参加する。バイデン米大統領は尹大統領と岸田首相を従えて、同サミットを韓米日三カ国の協力体制、特に軍事協力体制・軍事同盟化を世界に誇示する場にしようとしている。