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情勢解説

継続する韓米・韓米日合同軍事演習…依然として軍事緊張高まる朝鮮半島

【2023年4月7日】

韓米・韓米日合同軍事演習を強行

韓米両国は3月13~23日の11日間、大規模な合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾、FS)」を実施。20日から4月3日までは浦項で、北朝鮮(※正しくは朝鮮、以下同じ)への上陸と内陸部に向けた進撃を想定した「双竜訓練」を行った。

韓米日3カ国は3日から4日にかけ済州島南方の公海上で、米原子力空母が参加する対潜水艦訓練と捜索・救助訓練を実施。訓練には韓国海軍のイージス駆逐艦「栗谷李珥」、駆逐艦「崔瑩」「大祚栄」、軍需支援艦「昭陽」が、米海軍からは原子力空母「ニミッツ」とミサイル駆逐艦「ディケーター」「ウェイン・E・マイヤー」が、日本からは海上自衛隊の護衛艦「うみぎり」がそれぞれ参加した。

韓国国防部は、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など高度化する水中脅威への韓米日の対応能力を引き上げることが訓練の狙いだと説明。韓米日が対潜水艦戦を想定した訓練を実施するのは昨年9月末以来、半年ぶり。3カ国は、今年2月と昨年10月には朝鮮半島東の東海上でミサイル防衛訓練を行っている。捜索・救助訓練は2008年に始まり16年まで行われた後、中断されていた。国防部は、韓米日の安全保障協力を正常化する意味で7年ぶりに合同訓練を再開したと説明。

核兵器を搭載できる米空軍のB52H戦略爆撃機2機が3月30日、日本の航空自衛隊の戦闘機と共に朝鮮半島東の東海上空に展開した。B52Hは6日、朝鮮半島上空に展開し、韓国空軍のF15KやKF16などの戦闘機と合同訓練を実施した。

朝鮮、合同軍事演習に警告

一方、朝鮮は韓米合同軍事演習に強く反発。朝鮮労働党機関紙・労働新聞は29日、韓米が「ピョンヤン占領」「斬首作戦」を企図しているとして、「仇敵の憎き行動に国中の人民が激怒している」と伝え、「米帝が武力を引き込むほど、わが共和国の戦略戦術的攻勢と力は一層強くなる」と警告した。

朝鮮中央通信は2日に出した論評で、「わが共和国との全面戦争を想定し、13日から11日間という歴代最長の大規模合同軍事演習『フリーダムシールド』を強行した米国と南朝鮮(韓国)の戦争狂気は、連合上陸訓練『双竜』に突入してから絶頂に達している」と指摘し、「必ず代価を支払うことになるということを肝に銘じなければならない」と警告した。

戦争反対平和行動

2月に約760団体で発足した「停戦70年 朝鮮半島平和行動」は29日、浦項の訓練現場を含む一帯で、「双竜訓練」に反対する「戦争反対平和行動」を展開し、「危険極まりない攻撃・占領訓練を中止しろ」と声を上げた。

韓米・韓米日合同軍事演習と韓米日軍事同盟化に反対する!

韓米合同軍事演習はフリーダムシールドが終了しても、規模と形態を変えながら継続実施、米原子力空母が参加する韓米日合同海上訓練も行われ、戦略爆撃機も展開するなど、朝鮮半島の軍事緊張は高まりこそすれ、緩和することはない。

こうした中、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長・朝鮮労働党総書記3月28日に核兵器研究所で、「絶えず核能力を強化するための努力を続けなければならない。いつでも、どこでも核兵器を使用できるよう完璧に準備してこそ永遠に核兵器を使わないようになるだろう」とした上で、「想像を超える強力かつ優勢な核武力が攻勢的な体制を整えてこそ、敵がわれわれを恐れ、わが国権、制度、人民に手出しできなくなる」と強調した。朝鮮はこの間、対離間弾道ミサイル(ICBM)試射、核攻撃を想定した訓練、核水中・核空中爆発実験と核・ミサイル体制の高度化を進めている。

3月16日の韓日首脳会談における強制動員問題の政治決着により韓日関係の「改善」が進展し、韓米日軍事同盟化へ向けた障害は取り除かれたとする米国と韓日の三カ国。4月26日の韓米首脳会談を経て5月19日から始まる広島G7サミットを、ウクライナ支援とともに韓米日三カ国の協力態勢を全世界にアピールする場と企図している。

朝鮮半島の平和を破壊し戦争の危機を煽る韓米・韓米日合同軍事演習と韓米日軍事同盟化に強く反対しなければならない。