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情勢解説

朝鮮半島の戦争の危機を高める韓米・韓米日合同軍事演習を中止しろ!

【2023年3月3日】

韓国国防部は2月17日、韓米合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾、FS)」を3月中旬(※14日が有力)に11日間連続で実施し、期間中に大規模な野外機動訓練も行うと発表した。国防部によると、同演習ではコンピューターシミュレーションを通じて北の核実験と軍事的挑発事態のシナリオを想定し、合同防衛態勢を点検。また、師団級の双龍合同上陸訓練など合同野外機動訓練の規模と範囲を拡大し、過去に実施した「フォールイーグル」訓練の水準で集中的に展開する計画。

朝鮮外務省は同日、韓米が予定する演習を行えば「持続的で前例のない強力な対応に直面することになる」と警告する報道官談話を出した。談話では国連安保理も非難し、韓米の軍事行動を不問にする一方、朝鮮だけを問題にする敵視行為を取っていると訴えた。20日、安保理では中ロの反対で一致した対応は合意に至らなかった。

朝鮮は18日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」を発射。これに対し、韓米両軍は19日、朝鮮半島上空で米軍の戦略爆撃機B1Bを動員した合同訓練を、22日には韓米日三カ国が東海上でイージス艦によるミサイル防衛合同訓練を実施した。韓米日は昨年10月上旬にも東海上で同様の訓練を行った。韓米は北の核への対応に向けた机上演習「拡大抑止手段運営演習(DSC TTX)」を22日に米国防総省で実施。2月初旬から3月初めまで航空機を利用して敵陣に侵入する特殊部隊の韓米合同訓練も行われている。

こうしたなか、朝鮮外務省は24日「われわれの度重なる抗議と警告にもかかわらず、米国が朝鮮民主主義人民共和国に対する敵対的かつ挑発的な慣行を続ければ、わが国に対する宣戦布告と見なされる可能性があることを肝に銘じなければならない」と警告し、「朝鮮半島と周辺地域で軍事的緊張激化の悪循環を防ぐための唯一の方法は、米国が南朝鮮(韓国)に対する戦略資産展開の公約を放棄し、朝鮮民主主義人民共和国に反対する各種名目の合同演習を中止するといった明白な行動で立場を示すことだ」と主張した。

これに対し米国務省は27日「北に対する敵意はなく、1年以上無条件対話を提案しているが、北が挑発を続け提案を拒否した」と責任を転嫁する一方、戦略資産や合同軍事演習に関する北の要求には答えなかった。

バイデン米政権の新冷戦覇権戦略のもとで対米追従姿勢で一貫する尹錫悦政権。戦略爆撃機B1Bなどの戦略資産の動員が示すように米国の韓国に対する拡大核抑止力は強化され、野外機動訓練を含む大規模な合同軍事演習は朝鮮半島の軍事緊張をさらに高め、これに強く反発する朝鮮は弾道ミサイルの発射でけん制するなど、朝鮮半島の戦争の危機は増すばかりだ。

戦争の危機を克服するためには、韓米は合同軍事演習を即刻中止しなければならない。そうしてこそ対話環境を模索することが可能となる。米国が「無条件で北と対話する」と呼びかけても、敵視行為の最たるものである合同軍事演習を強行していては応じるはずはない。

尹政権は同族対決をやめて南北関係の改善へと、バイデン政権は朝米関係の改善へと進むべきであり、その過程では2018年の南北合意・朝米共同声明が力を発揮するだろう。

韓国内では2月14日、763団体で「停戦70年 朝鮮半島平和行動」が結成され、停戦協定締結から70年を迎える今年、朝鮮半島の恒久平和を実現するために様々な平和行動を計画し開始している。軍事同盟と合同軍事演習に反対して戦争の危機を阻止し、平和を実現する闘いを推し進めよう。