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関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年追悼行事を開催…各地で真相究明を求める声が高まる

【2023年09月01日】

関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会など(関東)

関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年を迎え、都内で様々な追悼行事が開催された。

「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会実行委員会(追悼大会実行委員会)」は8月31日、文京シビックホールで「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会」を開催。1800人が参加した。

大会では犠牲者遺族や支援団体をはじめ関連団体・個人がアピール。韓国からは「関東虐殺100周忌追悼事業推進委員会」の李娜栄(イ・ナヨン)共同代表が連帯あいさつ。日本政府に対して「虐殺の責任を自警団に転嫁し、調査も謝罪もしないとしている。どれほど反人道的で恥知らずか」と批判。「真の和解と平和は帝国主義と軍国主義、植民主義の克服と歴史正義の回復が前提となるとき、初めて可能となる」とし、真相究明および謝罪、軍事大国化政策の是正を要求した。

在日歌手の李政美(イ・ジョンミ)さんが紫金草合唱団とともに追悼歌として「ほうせんか」「ネエサンの愛」などを合唱した。

実行委員会が宣言文を朗読。「虐殺の事実の隠蔽と、他民族に対する公的な差別の継続は表裏一体だ。いま再び隣国への敵がい心をあおり『敵』基地攻撃を正当化する政府の戦争動員に立ち向かおう」とアピールし、全体の拍手で採択された。

9月1日午前には都内の横網町公園で「関東大震災100周年朝鮮人犠牲者追悼式典」が開催された。主催は同実行委員会。追悼式典では追悼碑を前に読経、黙祷が行われ、各界から追悼あいさつがよせられた。午後には総聯東京都本部と東京朝鮮人強制連行真相調査団が「関東大震災朝鮮人虐殺100年東京同胞追悼会」を開催。韓国から関東虐殺100周忌追悼事業推進委員会が連帯あいさつ。「日本政府は100年間の欺瞞(ぎまん)をやめ、歴史正義を確立し、アジアの共同繁栄のためにともに進んでいこう」と語った。式典後、総聯東京都本部の高徳羽(コ・ドグ)委員長が記者会見。「東京都の小池百合子記事に追悼文送付を求めたが、拒否された」と語り都の姿勢を批判した。

9月2日には追悼大会実行委員会が国会議事堂前でキャンドル集会を開催。1700人が参加した。集会では朝鮮人・中国人遺族をはじめ各市民団体、政党がアピールし、実行委員会が日本政府への抗議文を朗読。△虐殺の真相と原因を明らかにせよ△虐殺犠牲者の名簿を公表せよ△国家としての責任を認め、犠牲者に謝罪・賠償せよ△事実に即した歴史教育をせよ△一切の民族差別的政策を撤廃せよ、と日本政府に要求した。

9月3日には在日大韓基督教会川崎教会で国際交流シンポジウムが開催された。

「関東大震災朝鮮人虐殺100年―虐殺犠牲者の追悼と責任追及の行動」実行委員会は1日、銀座ブロッサム中央会館で「朝鮮人虐殺犠牲者追悼集会」を開催。関東虐殺100周忌追悼事業推進委員会の李鴻政(イ・ホンジョン)共同代表(6.15南側委員会代表常任議長)が発言した。2日には連合会館で「朝鮮人虐殺犠牲者の追悼と責任追及の行動 国際シンポジウム」を開催した。

「朝鮮人虐殺の真実から、日本の歴史修正主義を問う9・1集会」(愛知)

関東大震災から100年にあたる9月1日、韓統連愛知本部、「日朝教育・文化交流をすすめる愛知の会」、「韓国併合」100年東海行動実行委員会が名古屋市内で「朝鮮人虐殺の真実から、日本の歴史修正主義を問う9・1集会」を開催した。

韓統連愛知本部の趙基峰(チョ・キボン)代表委員が実行委員会を代表しあいさつ。「関東大震災時の朝鮮人虐殺を知ったのは22歳の時。友人の家にあった雑誌『世界』を読み、その惨状に恐怖と怒りを感じた。現在もウトロ放火事件など起こっており、差別に鈍感な日本社会で再び関東大震災での朝鮮人虐殺が起きないか憂慮している。今日の集会が歴史を直視する機会になることを期待する」と述べた。

来賓あいさつと詩の朗読のあと、今年「関東大震災朝鮮人虐殺を読む」を上梓した名古屋の「風媒社」の劉永昇編集長が講演。「不逞鮮人」のイメージはいつ作られ、それがなぜ関東大震災での朝鮮人虐殺までに至ったのか自身の問題意識にもとづき講演した。

劉氏は「1919年の『3・1独立運動』で湧き上がる朝鮮民衆の蜂起に恐怖を感じた総督府・日本政府は、独立運動を行う朝鮮人を『不逞鮮人』とし、朝鮮人との戦いを「テロとの戦い」として弾圧・虐殺を正当化してきた。関東大震災時には混乱のさなか朝鮮人が襲ってくるのではないかという恐怖の中で虐殺が行われ、更に官と軍が流言飛語を流し自警団による虐殺となった」と解説。「正当化された虐殺行為はその後も隠蔽(いんぺい)と流言のみが拡散され、日本人の罪責感の『正当防衛』として長く記憶され現在に至っている。今も朝鮮人へのネットなどでの流言飛語は止まず、アジア人への差別感情の拡大に繋がっている」と語った。

愛知では関連行事として映画「隠された爪跡」上映会(7月9日)、金鐘銖(キム・ジョンス)さん講演会(8月12日)、追悼式典(9月1日)、第49回橘宗一少年墓前祭(9月16日)が開催された。

映画「隠された爪跡」上映会(三重)

「関東大震災100年・朝鮮人虐殺を忘れるな/『隠された爪跡』上映会」が9月3日、四日市市総合会館で開催された。主催は韓統連三重本部、韓青三重県本部を中心とした「隠された爪跡」上映実行委員会。

開会前に会場全体で虐殺・被災による犠牲者に黙祷。金相祚(キム・サンジョ)実行委員長(韓統連三重本部代表委員)が主催者を代表しあいさつ。「三重の地でも関東大震災の3年後に熊野で朝鮮人虐殺事件『木本事件』が起こった。朝鮮人虐殺から100年が経った今、その事実を無くそうとする動きがある。この上映会・講演会を通し、『今わたしたちにできること』を考える契機にしてほしい」と語った。

映画上映後、韓統連大阪本部の金昌五(キム・チャンオ)副代表委員が「血で書かれた歴史を墨で消すことはできない『韓日関係の現状と私たちの課題』」と題し、講演。△韓日関係はなぜ史上最悪の状態になったのか△尹錫悦政権による対日(対米)屈辱外交△わたしたちの課題の3つのテーマに沿って展開。日本の歴史修正主義との闘い、日本軍国主義復活に対する闘い、韓米軍事演習・韓米日軍事同盟に反対する闘いを韓国と日本の民衆の連帯運動によって展開していくことの重要性を訴えた。

上映会には地域同胞、連帯関係を中心に約100名が参加した。

※写真―紫金草合唱団と追悼歌を歌う李政美さん(写真中央)