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憲法裁判所、国家保安法毒素条項の違憲可否を再び判じる

【2022年9月9日】

市民社会「国家保安法が生きている限り、すべての国民が被害者。7条・2条に違憲決定の一言を」

民衆の声 2022.09.06

 

憲法裁判所(憲裁)が9月15日、国家保安法の毒素条項に対する違憲可否を争う公開弁論を開く中、市民社会は憲裁に向けて違憲決定を求めた。

全国150余の宗教・人権・市民団体が集まった「国家保安法廃止国民行動(国民行動)」は6日、ソウル市内のプレスセンターで記者会見を開き、「憲裁は公開弁論で国家保安法の違憲性を幅広く論議し、今回こそ代表的な毒素条項である7条、2条に対し、違憲決定の一言だけでも下さなければならない」と求めた。

憲裁が公開弁論で扱う国家保安法条項は2条1項(反国家団体定義)と7条(称賛・鼓舞など)1、3、5項。国民行動は「国家保安法の違憲性は明らかだ」とし、その理由について項目ごとに説明した。

国民行動は「(国家保安法は)わが社会の自己検閲を強制する憲法の上に位置する法として君臨してきた。特定思想や政治的意見を禁止し、思想や信念は国家が許容したものだけ」「行為の結果ではなく行為者の経歴と性向を基準に捜査機関の恣意により処罰が異なり、平等権を侵害し、沈黙する自由さえ認めず良心の自由を侵害する」と指摘した。

また「平和統一の相手である北を敵とみなし、南北関係に関する特定意見を刑事処罰することにより、統一政策樹立に関する国民主権原理を棄損し、平和的交流へと進もうとする民間の努力さえ妨害し、憲法上の国際平和主義と平和統一原理にも正面から反する」と主張した。

国民行動は特に「国家保安法7条は代表的な毒素条項として、直接的な表現行為だけでなく、具体的な表現となる前に読み書き考えた内容まで処罰し、憲法上の人間の尊厳、思想と表現の自由などを根本から侵害する」「さらに表現物を外部に伝播する前の段階である『制作・所持・取得』まで処罰することにより、内心の自由の絶対的保障原則にも反し、『称賛・鼓舞・同調』概念が曖昧になり、罪刑法定主義に基づいた明確性原則にも反する」と述べた。

国家保安法2条に対しては「国際冷戦体制の終息に伴い、1991年に南北が国連に同時加盟し、1992年に南北基本合意書が締結されてから南北交流が活発になり、現在、北を反国家団体とみてすべての構成員を処罰する国家保安法2条もこれ以上実効性がない」と主張した。

国民行動は国家保安法の悪影響がすべての市民に及ぶ点も強調した。

国民行動は「10万人の国民が国家保安法廃止請願を国会に上程させたまさにその時、統一運動家が国家保安法違反で拘束された。憲裁の国家保安法公開弁論を前にするいまも、8・15労働者大会で北側の連帯辞を朗読した労働者は告発された」「国家保安法の適用対象は単に『特異な』一部の国民ではない」と述べた。

国民行動は「全世界数十億の人口中、わが国民だけが許可なく北を往来できず、北の住民と会うこともできない。出版物やニュースをみることももだめだ」「数十年間積み重なってきた数多い国家保安法被害事例は、語り表現する自由、自身の意志で思考する自由のような最も根本的な人権が、果たして大韓民国で真に保障されているのか、問うている」と指摘した。そうして「国家保安法が生きている限り、すべての国民が被害者」だと断言した。

国民行動は「国民の基本権を踏みにじり、民主主義の発展を阻害し、朝鮮半島の平和統一を妨害するこの悪法が、これ以上憲法の上に位置し君臨できないことを明らかにしなければならない」「憲裁が歴史と民衆の長きにわたる念願に応え、韓国の人権と民主主義前進の礎を築いてほしい」と付け加えた。

一方、国家保安法違憲審判は今回が8回目。この間、国内外で国家保安法廃止を要求する声が次第に大きくなっている。国家人権委員会は2004年に国家保安法廃止を勧告、国連の国際人権機構も1990年代から国家保安法廃止・改正を勧告した。21代国会にも国家保安法7条廃止案と全面廃止案が発議された。国家保安法廃止を要求する国会国民同意請願も10万人の同意を得て成立した。2018年には国家保安法7条5項の一部内容に対し憲法裁判官5人が違憲だと明らかにしたことがある。

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